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Amnesiac | |||||||||||
| 1.Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box 2.Pyramid Song 3.Pull/Pulk Revolving Doors 4.You and Whose Army? 5.I Might Be Wrong 6.Knives Out 7.Amnesiac/Morning Bell 8.Dollars and Cents 9.Hunting Bears 10.Like Spinning Plates 11.Life in a Glass House |
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| 「KidA」のレコーディング作業の時点ですでに準備されていた数々の楽曲、あるものはほぼ完成形であり構想途中のものもあった。 それらを収めた彼等の第5作が2001年6月にリリースされた「Amnesiac」。前作発表からたった半年あまりでのリリースからもこのアルバムが基本的に「Kid A」の流れをそのまま受け継いでいることがその事実とともに楽曲からも容易に理解できる。 あえて変化を指摘するならば、かなりエレクトロニックだった前作よりは多少人間的・現実的なイメージを感ずる点だろうか。 相変わらず逆回転やサンプリング、オンド・マルトノ等を使った非現実世界の音作りが主流だが、ジャズを取り入れたりシングル・カット可能なポップ的サウンドが聴かれるあたりはバンドとして本来の立ち位置に戻りつつあるのかなぁと思わせる。 小気味良いパーカッシヴなリズムに乗って歌われる「Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box」。「潰れた缶詰の中のイワシの気分」とでも訳すのか、歌詞は継続されていたパリでのレコーディングの最中にプラス広場という場所で書かれたそうだ。 シングル発売された2曲目「Pyramid Song」は「死」をテーマにした歌詞をトムがピアノの弾き語りで聴かせる美しいバラード曲。 トム自身はこの曲がジャズの名ベース奏者チャーリー・ミンガスの「Freedom」から多大な影響を受けたと語っている。また、ダンテの「神曲」やトムの好きなドイツの詩人ヘルマン・ヘッセの影響も小さからずあるという。 続く「Pull/Pulk Revolving Doors」は前作同様のサンプリング・ヴォーカルを使った不思議なサウンド。次々とドアを開け続けまさにループに陥って行く様を歌っている。「You and Whose Army?」では眠そうな歌い方のヴォーカルが実は痛烈な権力批判をしている。後のインタビューでトムはこの曲が当時のイギリス首相トニー・ブレアを皮肉ったものだと証言した。音楽としてはウッドベースとピアノの存在が強調されたジャージーな仕上がり。起伏のある印象的なナンバーだ。 「I Might Be Wrong」はアルバム中でもっともロックしている曲。繰り返されるギターのリフと4.5拍にシンコペーションを入れたドラムがリードする。ライヴでは原曲よりアップテンポでかつパワフルに演奏される。次作「Hail to the Thief 」の発表前に正規盤としては初のライヴ盤がリリースされるわけだが、そのタイトルにもなっている人気ナンバーだ。また、後に映画「バニラ・スカイ」のサントラにも使われた。 続く「Knives Out」は第2弾シングルとして発表されたもっともポップなロックナンバー。ポップとはいえ展開するコードはマイナーのため印象は暗め。でも、聴きやすいテンポやメロディーのおかげでヒットした。プロモーション・ビデオでは何やらおどろおどろしいシーンもあり、トムはカニバリズムがこの曲のテーマの一部になっていると仄めかしている。 「Amnesiac/Morning Bell」は前作の同名曲の別アレンジ。ここではテンポを遅くし、ドラムを始めとするリズム楽器が極力取り払われたアレンジになっている。最終部は何となくビートルズの「Flying」に影響されてるんじゃないかと思えるサウンドが展開する。 コペンハーゲンでレコーディングされたとされる「Dollars and Cents」は社会における様々な不可避なつながりをシニカルに捉えたトムらしい曲。公式ライヴ盤での演奏に比べ減り張りが欠けている点が残念。続く「Hunting Bears」はアルバム中の唯一のインスト・ナンバー。オーソドックスなギターとシンセサイザーのみのシンプルな曲。ジョニー・グリーンウッドの独り舞台だ。 「Like Spinning Plates」は全編テープの逆回転によるナンバー。トムは事前に歌詞を用意し、その逆回転用にヴォーカル・パートを録音した。前半はその逆読みのテイクがそのままレコーディングされている。後半部分ではそこに普通に歌うヴォーカルをオーバーダブしている様だ。この美しい旋律は、彼等の次作に収録される事に成る「I Will」のメロディーを反転再生したものだ。と、言う事はすでにこの時点で「I Will」がレパートリーにあったという証拠でもある。YouTubeにこの曲の逆回転ヴァージョンがアップされているので興味の有るファンはチェックしてみてほしい。また、この曲のオリジナルが前述のライヴ盤で聴くことができる。はるかに美しい作品である事に驚かされた。 エンディング・ナンバー「Life in a Glass House」はニュー・オーリンズ・ジャズのスタイルを持つ特異なナンバー。実際にベテランのジャズ・マンであるハンフリー・リトルトンというトランペット奏者が率いるバンドをフューチャーしてレコーディングされた。 さて、全体の評価としてのこの「Amnesiac」。当初、「Kid A」との2枚組も計画されていたという噂からも音作りの点ではまさしく「Kid A」の延長線上にある。ただ、あまりに衝撃的過ぎた前作と比較されるという運命の必然から一般の評価はそれほど高くはない様だ。しかし、唯一無二のレイディオヘッド・サウンドの世界は間違いなく生き続けている。そしてこのアルバムに感じられる不可解さや混沌とした世界は次作で大きく開花する事になる。 |
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