The Bends
1.PLANET TELEX
2.THE BENDS
3.HIGH AND DRY
4.FAKE PLASTIC TREES
5.BONES
6.NICE DREAM
7.JUST
8.MY IRON LUNG
9.BULLET PROOF..I WISH I WAS
10.BLACK STAR
11.SULK
12.STREET SPIRIT (FADE OUT)
「PABLO HONEY」から2年という時間をかけて万を持して発表された95年4月リリースの彼らの2作目は、レイディオヘッドというバンドのみならず90年代のロックシーンに於いても重要な位置を占める名作だ。
当初1作目で仕事をしたプロデューサー、ポール・コルデリーが引き続きこのアルバムのレコーディングに関わっていたが過激なツアー・スケジュールやメンバーの疲れなどから一旦中止となり、様々な動きの後に新たにジョン・レッキー(ストーン・ローゼスの初期プロデューサー)が起用された。ポイントはその事実ではなくレッキーと行動を共にしていたナイジェル・ゴッドリッチの存在とレイディオヘッドとの運命的な出会いなのだ。ナイジェルをエンジニアとして再開されたレコーディングは順調に進んだ。彼はバンドの持つ独特なセンスとチャレンジ精神を尊重し一緒に成長していく事になる。
ツェッペリンのジョン・ボーナムを思わせるフィルのドラムから始まる1曲目は前作には無かった落ち着きさえ感じさせる。
タイトルは宇宙を思わせるもののそれはサウンドだけで、内容は単に世の中の不合理を訴えたもの。続くタイトル曲は静かに滑り出し徐々にエキサイトしていく典型的な彼らのスタイル。メロディーやリフは強烈に印象に残る。アコースティック・テイストなHIGH AND DRYからメロディアスなFAKE PLASTIC TREES、そして美しいとさえ言えるNICEDREAMや、さらに夢の中にいる様な雰囲気を漂わせるBULLET PROOFなどは彼らの内面に形成され熟成されたセンシティヴな面を感じさせる。
それとは対照的に完璧なロック・ミュージックを聴かせるBONES、JUSTに於いてはジョニーのギターが炸裂する。その自由奔放なフレーズといいトレモロやエコー、ディストーション・ワウ等のアタッチメントの可能性を追求するかの様な挑戦的かつ攻撃的なギターは素晴らしい。ジョニーはきっとジミ・ヘンが大好きなんだろうな、と思わせるフレーズが次々に飛び出すMY IRON LUNGも強烈な一曲。これらの曲の随所に、彼らのその後に顕著に現れるノイズを多用したサウンド創りの一端が聴き取れる。
10曲目のBLACK STARは次回作からプロデューサーになるナイジェル・ゴッドリッチが初めて自らレコーディングを担当した記念すべきナンバー。ジャズ的要素が感じられるSULKから続く最後のSTREET SPIRIT (FADE OUT) は本国イギリスでシングル・ヒット。この曲に代表されるマイナー・サウンドは後の彼らの音楽要素の基軸をつくる事になる。年齢的に若いファンから圧倒的に支持されているこのアルバムはロック・ギター・バンドとしてのレイディオヘッドという意味合いでは2作目にして最後のアルバムになろうとは当時誰も予測しえなかった。
ジャケットに使われているのは救命訓練用の人形。その恍惚とした表情に魅せられたトム・ヨークが病院から借りてきたという逸話は有名。もう一つ曲にまつわるエピソードとしてオープニング・ナンバーPLANET TELEXでトムは酔った状態でレコーディングさせられた。外食から酔っぱらって戻ったトムの声の変化を聞きつけたジョン・レッキーはそのままの状態での録音を強要したらしい。結局そのテイクが採用されたというわけだ。知れば知る程に興味の尽きないアルバムとも言えよう。
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