モンキーズ「スター・コレクター」
Pisces,Aquarius,Capricorn & Jones Ltd.
アナログ・レコード/ザ・モンキーズ「スター・コレクター」
日本ビクター株式会社  レコード番号/SHP-5672
1967年10月25日リリース
収録曲目
SIDE A:
1.スター・コレクター
2.セールスマン
3.シー・ハングス・アウト
4.ザ・ドアー・イントゥー・サマー
5.ラブ・イズ・オンリー・スリーピング
6.カドリー・トイ
SIDE B:
1.恋の合言葉
2.ハード・トゥー・ビリーブ
3.恋の冒険
4.ピーターの可愛い小豚
   ~プレザント・バレー・サンデイ
5.デイリー・ナイトリー
6.ドント・コール・オン・ミー
現在40代以上の音楽好きならみんな知っているはずのあの人気TVショウ「ザ・モンキーズ」。彼らの4枚目のアルバムはサマー・オブ・ラブ/フラワー・ムーブメントの真っただ中で発表された。
俗に言う「サイケ」の時代だ。彼らのファンならご存知の様に、モンキーズは当時の人気ではビートルズと肩をならべる程のすごさ。
ただ、決定的な違いは彼らは全員が演奏できた訳ではなかったという点だ。マイク・ネスミスは後に自分のバンド「ファースト・ナショナル・バンド」で活躍しただけあってギターは得意だった。
デイビー・ジョーンズ、ミッキー・ドレンツそしてピーター・トークはショウのオーディションで選ばれたキャラクターで、楽器にどれだけ関わっていたのかは不明だ。しかし、ミュージシャンとしてのモンキーズはなかなかのもの。みんな歌が巧いのでレコードも大ヒットしたものだった。
特にこのアルバムには素晴らしいものがある。その大きな理由は直前に発表されたビートルズの「サージェント・ペパーズ」の影響だ。実際にはこのアルバムが意識していたのは前作「リボルバー」だった事は曲名からも容易に分かる。「アイム・オンリー・スリーピング」が「ラブ・イズ・オンリー・スリーピング」であり、「タックスマン」が「セールスマン」だったりする辺りはいかにもモンキーズらしいお茶見ぶりだ。
前述の様に演奏だけでなく作曲も彼ら自身ではない。
タイトル曲の「スター・コレクター」はあの人気ヒット・メーカーのキャロル・キングとジェリー・ゴフィンのコンビによるものだ。これまでモンキーズの人気を支えていたトミー・ボイスとボビー・ハートのペンになるのはシングル・ヒットした「恋の合言葉」だけなのも時代を感じさせる。ハリー・ニルソンの曲もあり、メンバー唯一のミュージシャンでもあるマイク・ネスミスのオリジナルも収録されている。
各曲にはいかにも67年のサウンド・テイストが溢れ、当時やはりビートルズを意識して発表されたローリング・ストーンズの「サタニック・マジェスティーズ」よりもはるかにいい出来なのだ。
ろくに演奏も出来ないバンドがこれほどの作品を作れた事は、やっぱり当時の音楽界を包み込んでいたビートルズを筆頭とする「ラブ&ピース」の精神が突き動かしたものに他ならないと断言できると思う。
昨年、アメリカのリノ・エンタテーメントからこの作品が2枚組のCDで発売された。オリジナルのステレオの他にミノ・ミックスやオルタネイト・ミックスが収録されている。つまりはそれだけ熱烈なファンが世界中にいるという事の証明だろう。60年代後半のあの平和な時代を追体験したいファンには絶対に「買い」だろう。
モンキーズも馬鹿にしたもんでもないんだね。
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