Mar. 31, 2009

大好きなF1の2009年シーズンが始まった。今年はレギュレーションの大きな変更が目立つ。中でも特に画期的な変更に「K.E.R.S」システムの導入が挙げられる。
この「カーズ・システム」と言うのはKinetic-Ener
gy-Recovery-Systemの頭文字で、F1の場合はブレーキング時の摩擦エネルギーを電気信号に変換してエンジンのパワーに使うというテクノロジーだ。そうする事で燃料の消費を抑える効果が生まれる。いわゆる鉄道の世界で言うところの回生ブレーキと同じだ。この動きの裏には昨今の温暖化問題に対するF1界の前向きな姿勢をアピールする狙いがある。実際問題として、高価な化石燃料をふんだんに消費しながら競い合うフォーミュラー・カー・レースに、この時期だからこその風当たりの強さも当然の結果と言えるわけだが、マスコミ的な見方をすれば単にそういった非難をかわす手段ぐらいにしか報道されないだろうけど、が、しかしもっと実際的な眼で考えるてみると、この命がけのF1パイロットたちが将来の車社会に効率的かつ先進的な技術を取り入れる為に闘っているとも言えるんじゃないだろうか。例えば我が国でこれまでF1に多額の投資を続けてきたホンダやトヨタは先進技術を大衆車に導入してきた。安全性や効率性に関するテクノロジーは間違いなくF1の中で培われてきたデータがあってのものだと思う。1900年代半ばにはターボエンジンの技術が生まれた。排出エネルギーを別のエネルギー源に変えようとする発想は時代や手段は変わっても不変なんだなぁと感心させられる。今や主流になりつつあるハイ・ブリッド・テクノロジー。ホンダの「インサイト」に使われているIMAバッテリーは低速駆動エネルギーを利用した画期的な充電システムを搭載している。ここに「KERS」の技術を付加するのは簡単だろう。更にタイヤが地面を擦る摩擦エネルギーを何らかの技術で電気信号に変える事さえも可能だろう。これぞ人類の知恵そのものだ。
さて、話をF1に戻すが、今年の開幕戦を制したのはこの不況からF1撤退を余儀なくされたホンダを引き継いだ新生チーム「ブラウンGP」だった。新チームのデビュー勝利は過去に一度あったらしいが、今回は予選から決勝まですべてトップ独占という偉業を成し遂げた。エンジンはホンダからメルセデスに変わったとはいえ、基本的なシステムはホンダの残したものだった。チームはこの偉業に酔いつつもホンダの旧スタッフたちへの感謝も決して忘れていなかった。先人たちに報いようとする気持ちは更にあとへ続く者たちを育てるという事だ。レーシング・スーツにもマシーンにもほとんどスポンサー名が付いていない白い車が、有名チームを次々と凌駕してみせてくれた今回のレースを見ていてふと、オバマの「チェンジ」という印象的な言葉を思い浮かべずにはいられなかった。

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