毎年俺は正月にクラス会出席のために帰郷する。俺が生まれ育った所は佐久市の岩村田という町だ。
以前は家族と車で出掛けた帰郷だったが、歳とともに安全・健康を考え最近では新幹線での日帰りに切り替わった。中学3年まで住んでいた故郷には常にやっぱり何とも言えない空間を感じるものだ。
しばらくぶりに子供の頃によく遊びに行った通称「お稲荷さん」に行ってみた。
この神社、実は
京都伏見、 愛知豊川、佐賀祐徳、茨城笠間とともに五大稲荷の一つに数えられている素晴らしい神社なのだ。子供の時には単なるデっかい神社ぐらいにしか考えていなかったけどね。
雪と氷の滑りやすい足下に充分注意しながら本殿まで登ってみた。
普通なら観光客のために通路の整備ぐらいしていそうなものだが・・・とぼやきつつ無事に本殿到着。
いゃー。・・・昔のまんまだ。ここでは時間と空間が止まったままの様に感じる。何かワープホールの様な、どこでもドアから転がり落ちた様な感覚。周りの景色、特に町並みは現代の洒落たものに変わり間違いなく時の経過を実感するのだが、なぜここだけが昔のままなのか???
やっぱり神社仏閣には独特の空気があるものだ。単に時間の進み方がゆっくりなだけなのかも知れないなぁ。
本殿の中には様々な銘柄のお神酒が樽で積み上げられ、新年のあらたまった雰囲気が伝わってくる。
壁面には大昔からの寄進録がずらりと並び、すでに文字が消えかかっていたり紙がはがれ落ちていたりと自然に委ねられた状態で今日に至っている様だ。
本殿の前庭にご本尊がある。2匹のキツネがそれぞれ口に巻物と鍵らしきものをくわえてシンメトリーのポーズをとっている。俺はもともと不信心なのでその辺の意味合いや御利益については解らないが、この神社では毎年2月の最初の「午」の日に初午と呼ばれる大きな市が開かれる。関東一円から商売繁盛を願ってかなりの規模で人々が集まるそうだ。
俺の住む群馬が有名な「だるま」が巡り巡ってここにたどり着き一年間の無事を感謝するお焚き上げや、この一年の無病息災・商売繁盛を願い新しくだるまを買うなど大勢の客でごった返す様子は一見の価値ありだそうだ。
この鼻顔稲荷神社は湯川という大きな川のすぐ端に建っていて、その造りは京都の清水寺によく似ている。歴史ロマン派にとってはなかなか楽しめそうな神社だと思うよ。
それにしても「はなづら」とは何とも格好わるい名前だよねぇ。
鼻顔稲荷神社
およそ400年前に、京都の伏見稲荷[ふしみいなり]から勧請[かんじょう]して創建された神社で、古くから養蚕と商業の神として信仰を集めている。近年では学業の神としても人気が高い。神社境内の由来書によれば、永禄年間(1558-1569)に京都伏見稲荷大社から御分霊をいただいたものという。
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