第1回 「ヒールレス・カット改造」
これまで使ってきたストラトキャスターの中でも一番自分と相性のいいフェンダー・ジャパン '62年モデルをヒールレスに改造しました。ヒールレスとは飛び出た部分をなくすという事です。
つまりボディーのネック・ジョイント部を削ることでハイ・ポジションを演奏する時に、よりスムーズに運指ができる様にするための改造です。
今回は新品のヒールカット・ネック・プレートを購入しました。自分で通常のネック・プレートを削って造るという方法もありますが、ジェフ・ベックの絶大的な人気とともに専用のプレートが販売されているので簡単に入手できます。
まず、ネックを外します。ヒールカット・プレートを既存のネジ穴に合わせてカットするラインをマーキングします。次にディスク・グラインダーで尖った頭の部分から徐々に舐める様に削ります。
この時、あまりボディー表面側に削りすぎるとネックの支持力が低下しかねませんので自分の手が違和感無く回り込めるぐらいで抑える事が必要です。
次に、残ってしまったネジ穴を埋める工程です。今ではDIYセンターなどで丸く削られた木材が簡単に手に入ります。ネジ穴の口径よりやや太いものを用意し、ピッタリはまる寸法までヤスリをかけます。
この時無理して押し込むと周りにヒビが入りやすいので気をつけます。実際にはやや隙間ができるかなぐらいでOKです。はめこまれた状態から余分な材料を切り取ります。この時点で隙間が目立つ時にはパテで補修します。この工程の最終時に細かな紙ヤスリできれいに研磨します。
次はいよいよネックのジョイントです。まず、新しいヒールカット・プレートを3ケ所ある既存のネジ穴からネックと固定します。次に新たなネジ部分にドリルで穴をあけます。ここでのポイントはボディーを貫通したドリルの刃がネックに到達した時点でほんの少し穴をもむ程度で止める事です。
つまりはこれがネック側の新たなネジ穴の印となる訳です。次に再びネックを外します。先ほどのネジ穴の位置がマーキングされています。今度は既存のネジ穴の深さまでドリルの刃を差し込み、その位置にテープ等で印をします。そしていよいよ新しいネジ穴をあけます。真っすぐ垂直にあけていき、深さが印まできたらストップです。間違ってもフレットボードに達しない様に注意します。
最後の工程は塗装です。実際のボディーの色に合わせて塗料を調色します。材料はエナメルでもアクリルでも構いません。もし完璧な色合わせが不要なら近似色のスプレーでもいいでしょう。(ただ、その場合には養生という手間がかかりますが・・・)
削り出されたむき出しのボディーは最初は塗料を吸い込みますので、乾かしては塗りを何度か繰り返します。この工程には焦りは禁物です。綺麗に仕上げたい時はほこりに充分注意し、気長に重ね塗りをします。塗装が終了し完全に乾燥したら完了です。より美しい艶が欲しい場合にはクリアーニス等を上塗りします。ただし、ラッカー系のニスは塗料でもスプレーでも使えません。特にエナメル系塗料を使っている場合には乾いた塗料がラッカー成分で剥離されてしまいます。自分はニスは使わずにエナメル塗料のみで仕上げました。
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ちょっと見、けっこう艶があるでしょ