Her Majesty (ハー・マジェスティー)
0分23秒
1969年9月26日/アルバム「アビーロード」収録
1969年7月2,3日録音/EMIスタジオ
曲/詞=ポール・マッカートニー
アコースティック・ギター/ヴォーカル=ポール
他のメンバーの参加なし
ビートルズの事実上最後のアルバムの最後に位置する曲。(最後の録音曲は同アルバムに収録の「アイ・ウォント・ユー」) この曲はMBE勲章を授かった英国王室に捧げるという名目にはなっているものの、事実は皮肉を帯びたラブ・ソング。録音されたのはその年の11月にジョンが勲章を返却する4ケ月前という事になる。アビーロードのB面で展開されるメドレー形式の後半部分に演奏されている「ミーン・ミスター・マスタード」に繋げて一旦収録されたこの曲は、ポール本人が全体の流れに合わないという理由でテープ・オペレーターのジョン・カーランダーにカットするように指示。彼は他の曲と一緒にならない様に長めのリード・テープを挟んでリールの一番最後にくっつけた。そのため完成したメドレー・テープの最後にブランクをおいて「ハー・マジェスティー」が聴こえる結果に。この偶然の産物を気に入ったポールはそのままレコードにする事にしたという。その証拠に、「ミーン・ミスター・マスタード」とこの曲を続けて聴くと終わりと出だしのコードが一緒になっているので完璧に違和感なく繋がる。また、最後にAのコードで尻切れで終わっている部分は実際にはその後に定石通りDのコードが入っているが、それを敢えてカットした事で一段とこの曲の存在感が生まれる結果となっているあたりにもビートルズの「らしさ」が感じられる。サウンド面での評価は特に述べるものは無いが、音が右チャンネルから左にパンする様に工夫されている。ポールの弾くアコースティック・ギターは常に斬新でオリジナリティーに溢れている。そもそもギタリストだった彼の本質とも言えよう。
ホーム
戻る
トップ