You Know My Nane Look Up The Number(ユー・ノウ・マイ・ネイム)
4分17秒
1970年3月6日/シングル「レット・イット・ビー」B面収録
1967年5月17日&6月7,8日/1969年4月30日録音/EMIスタジオ
曲/詞=ジョン・レノン
マラカス/ヴォーカル=ジョン
ピアノ/ベース/ヴォーカル=ポール
シロフォン/コーラス=ジョージ
ドラム/ボンゴ/ヴォーカル=リンゴ
サックス=ブライアン・ジョーンズ  バッキング・エフェクト=マル・エヴァンズ
サージェント完成後'67年半ば、彼等は精力的にセッションを続けた。 「Baby You're Richman」録音後にジョンが持ち込んだ未完成の曲は彼特有のアヴァンギャルドなものでタイトルの歌詞だけで延々と演奏しようという提案からジャム・セッション的に録音された。ポールの親友で麻薬所持による逮捕から釈放されたばかりのストーンズの故・ブライアン・ジョーンズがこのセッションに招かれサックスを演奏している。彼等のレコーディングのスタイルの中では珍しく曲が完成するまでに2年という空白が存在する。そこには面白いエピソードがある。ベーシック・トラックが完成した後に彼等は全世界に向けた衛星放送に出演するために「All You Need Is Love」の製作に取りかかり、その後ポールのアイデアによるテレビ映画の撮影・録音と忙しい時期を迎え、しばらくこの曲はお蔵入りされる結果となった。そしてEPアルバムの「マジカル・ミステリー・ツアー」「ホワイト・アルバム」「イェロー・サブマリン」をリリース。この頃には彼等の会社「アップル」を巡りビートルズの内部に大きな亀裂が生じており、もはや解散は時間の問題とされていた時期でもある。この'68年から翌'69年には映画「レット・イット・ビー」で観られたあのセッションが続いていたわけだが、その後彼等の危機感から一念発起して作られたあの「アビーロード」のセッションの中でこの曲が再び陽の目を見ることになった。ここではヴォーカルをポールとジョンだけでダビングしている。同じくジョンの前衛的な曲「ホワッツ・ニュー・メリー・ジェーン」もこの時期に録音され、この2曲がビートルズ名義のシングルとしてリリースされる事になっていた。しかし様々な問題が浮上してリリースが見送られる事になる。そこでジョンはビートルズと同時進行で結成した自分のバンドであるプラスティック・オノ・バンドのレコードとしてリリースするつもりだったが契約上の問題でそのリリースも中止となる。この様にこの曲には様々な因縁が詰め込まれる結果となった
さて、そのサウンドはと言うとこれがなかなかいいムードで自分としては気に入っている曲のひとつだ。ベーシック・トラックが彼等の絶好調の時期に収録されたせいかサウンドのキレが小気味良い。リズムのテンポはむしろスローだがリンゴのドラムの音とポールのレスポンスの効いた低音のピアノ・リフが相まって完璧なビートルズ・サウンドが感じられる。また、ヴォーカルではジョンのコミカルさとポール扮するナイトクラブ・シンガーのデニス・オベル(アップル・フィルムの重役デニス・オデルをパロディー)のキザっぽい歌が愉しい。後半のジャージーなパートでのポールのピアノは「マジカル・ミステリー・ツアー」のラストで聴かれるピアノと同等にミュージシャンからも評価されるほどにインパクト大。全体に「サージェント」のサウンドと言っていいだろう。
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