Because (ビコーズ)
2分45秒
1969年9月26日/アルバム「アビイロード」収録
1969年8月1日・4日・5日録音/アビーロード・スタジオ N0.2
曲/詞=ジョン・レノン
ギター/ヴォーカル=ジョン
ベース/コーラス=ポール
ムーグ・シンセサイザー/コーラス=ジョージ
タップ=リンゴ
電子ハープシコード=ジョージ・マーティン
ビートルズとしての最後のアルバム「アビイロード」の中で、もっとも印象深い美しいメロディーの作品である。非常に分かり易い歌詞にも関わらず、その奥深さはジョンの天賦の才によるものだろう。そしてこの曲がヴェートーヴェンのピアノ・ソナタからインスパイアされて生まれた事は有名だ。
詳しく説明するとある夜、ヨーコが弾いて聴かせたピアノの旋律に興味を示したジョンはそのメロディーを部分的に逆から奏でてみる様に頼み、そこから曲のイメージが出来上がっていった。その曲とはヴェートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番作品27第2楽章だった。彼はその旋律に相応しい詩を書き綴り、複雑なコーラスパートを作りはじめる。そのパートをポールとジョージの3人で納得のゆくまでリハーサルを続け、69年8月1日に8時間をかけて録音した。
メイン・ヴォーカルを収録後3パートのコーラスを3つ、すなわち9コーラス分がその晩7時30分から10時30分の3時間をかけてレコーディングされた。
おおかたのレコーディング・データにはリンゴが不参加となっているが、事実は彼がハイハットによるリズム・ピッチを担当しており、そのタップ音は他のメンバーのヘッドフォンに流れ、テープには入っていない。だからこの曲にはビートルズ全員の力が注ぎ込まれているのである。
4日後の8月5日にはジョージがムーグ・シンセサイザーをダビングし、この素晴らしい作品が完成する。
サウンドとしては何と言っても全面にながれるハープシコードの物悲しい旋律に乗って漂う3人の和声に尽きるだろう。ビートルズの素晴らしさはこのハーモニーが占める部分がかなり大きいのだが、最後の最期でその大輪の花を咲かせる事の哀しさが余計にこの作品の素晴らしさを増長させている様で世の中の皮肉を感じてしまう。
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