フランス映画の持つあの独特な雰囲気は一体何なのだろう? 恋愛ものにしろ  アクションものにしろ、アメリカを代表するその他の国の映画とは何かが違う。ちょうどフランス料理のこだわりに似た、どこか職人的ポリシーが感じられるものが多い。自分が大好きなジャンル「喜劇」の世界でも同様だ。  この世にたった6本の映画しか生み出さなかったにも関わらず、フランス映画界の喜劇王と呼ばれるのがジャック・タチである。1949年に「祭りの日」 (邦題:のんき大将脱線の巻)でデビュー。モノクロの実にほのぼのとした作品だった。(この時、当時ではかなり最先端をいっていたカラーカメラでも同時撮影がされたものの、近年までカラー版は公開されなかった)        我らがユロ氏が登場する「ユロ氏の休暇」(邦題:ぼくの伯父さんの休暇)、そしてモダンなセンス溢れる「ぼくの伯父さん」。今観てもそこに登場するアルペル邸の近代的なデザインやインテリアはまったく色あせていない。   ユロ氏すなわちタチ本人が好奇心旺盛だったからこそ出来たシーンが数々ある。時代の最先端を体験しようと歩き回るユロ氏のファッションの古臭さと好対照なアンバランスが妙におかしく、それこそがまったく台詞のないユロ氏の観客に対するメッセージなのだ。
祭りの日
プレイタイム 67年から70年にかけて製作された「プレイタイム」「トラフィック」(邦題:ぼくの伯父さんの交通戦争) の2本は文明の進歩の功罪を面白おかしく問いかけた彼ならではのユーモア作品。特に「ブレイタイム」ではアメリカからパリに観光でやってきた団体旅行の女性に恋心を抱くユロ氏の優しい気持ちにホロリとさせられる。                 何かと忙しい現代人には、こんなのんびりとした昔の映画をゆっくりと愉しめる時間を作って欲しいと願っています。
ぼくの伯父さん
ぼくの伯父さん
トラフィック プレイタイム プレイタイム
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