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2005/8/23
北海道見学実習 第1日
北海道開拓記念館/北海道開拓の村
今年の北海道実習は、まず北海道の歴史を知ることからはじめた。 記念館前のハマナス(道の花)が赤く色づく。

解説員の辻幸恵さん。1時間50分にわたり詳しく説明してくださる。まずは北海道の自然環境から。 専門は天文学とのことだが、地質・考古・歴史・文化と幅広い範囲の説明に、学生たちは知のシャワーを浴びる思い。
館内で見つけた「地底の森ミュージアム(仙台市)」のポスター(左端)。 仙台に開拓記念館のポスターはあるかな? つづいて隣の「開拓の村」へ。入口の建物は旧札幌停車場(1908)の縮小再現。それにしてもこんな青空見たことない!
「旧札幌警察署南1条巡査派出所(1885)」は、はじめ木造だったが個人の寄付で煉瓦造りに建て替えられたという。 今回初めて入った「旧広瀬写真館(大正末期)」。画家のアトリエのように北側に斜めの大きな窓がある。
2階にある写場。大窓からの自然光を用いて撮影した。 椅子の背景には、あの札幌停車場が。
「子どもの広場」。 竹馬の得意なものもいれば… …ブランコなら負けないというものもいる。
さわやかな風に吹かれて向かう先は…ケーテキリョー? 北大の「恵迪寮(旧札幌農学校寄宿舎・1903)」でした。
最後は「旧開拓使札幌本庁舎(1873)・再現」をバックに。 コロボックルが現われそうな下草の蕗。
藻岩山からの札幌の夜景は、見慣れたはずの井上も驚くほどの美しさ。

でも、夜景ツアー参加者はわずか2名。
みんな疲れていたのかも。
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戦前まで北海道経済の中心地だった小樽。今年は開拓記念館の展示のつづきのような展開になった。

札幌のホテルのそばを流れる鴨々川は、碁盤の目の街路を曲がりくねって流れる珍しい存在。
波打ち際を走る函館本線。小樽の街が見えてきた。

えっ! これが美術館? と言いたくなる外観だが、市役所分庁舎の再利用と聞けば納得。 再利用ゆえの悩みや苦労も、学芸員の星田七重さんは率直に語ってくださる。
美術館と文学館は事務室を共有する隣同士。今回は「伊藤整生誕100年特別企画」を開催中。 復元された伊藤整の書斎。

一時解散して各自昼食。北のウォール街と呼ばれた小樽の街をレトロなバスが走る。
山形出身というおじさんが美味しい寿司屋を教えてくれた。

仙台の街にもこれだけ古い建物が残っていたら…。 167個の石油ランプだけがともる北一ホールで昼食。
えーっ! これが博物館? とは、もう誰も叫ばなかった。 石川直章学芸員の熱のこもった説明に暑さを忘れる。
展示室に小樽の商家が復元されている。

小樽博物館で「一番危ない」展示物。「起こさないでください」の掲示がある。
アイヌ文様を作るワークショップ。ここで小川早苗さんの連絡先がわかり、急遽あすの日程に組み込むことに。 じつは約1名、作品が撮影に間に合わなかった。左はボランティアの学生さん。
森ヒロコ・スタシス美術館の長谷川洋行館主は、今は地方でのオペラ公演に情熱を注ぐ人。既成の権威が大嫌い。 版画家・森ヒロコさん。性格は夫君と対照的だが、情熱は負けない。学生たちは毎年圧倒されて帰る。
質屋の蔵を改装したギャラリー。1階は森ヒロコ、2階はブルノフスキーを中心とした作品が並ぶ。 ヒロコさんの母・国子さんは娘の勧めで花のスケッチを描き始め、65歳から81歳で亡くなるまで描き続けた。
ユゼフ・ヴィルコンの動物たちといっしょに。イヌも可愛いが、ハゲワシもなかなかチャーミング。 長谷川氏の話はまだ続く…。ヒロコさん、「しばらくイヌと遊んでてね。」と慣れたもの。
小樽の夜は何といっても海の幸・食べ物街が賑やか。最近できた屋台村風の飲食街は「小樽出抜小路」というらしい。 言わずとしれた小樽運河。もっと広くて、ちょっと汚い昔の運河を知る人は少なくなった。
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説明して下さる今井理江子さんは、札幌市の芸術の森美術館から出向中の学芸員。 岩橋英遠《道産子追憶之巻》を見るのは井上も久しぶり。でも、前半部だけの展示でちょっと残念。
二つある収蔵庫の中は、作品の材質に応じて異なった温度湿度で管理されている。こちらは「日本画」用の収蔵庫。 空調の心臓部、機械室のボイラー。開館以来、24時間運転で轟音を出し続けている。
急遽スケジュールに加えた「ピリカ・スウォプ」でアイヌ組紐の手仕事を見せてもらう。見事な手さばきに声も出ない。 「美しい箱」というアイヌ語名を持つこの美術館は、アイヌ刺繍作家の小川早苗さん(右奥)の私設美術館。
「近いから」と小川さん、学生をモエレ公園まで運んで下さった。
イサム・ノグチの遺作となったモエレ公園。
イサムの没後17年を経て、ようやく完成。 巨大なガラスのピラミッド。愛称は「HIDAMARI」。
豊平川の三日月湖に囲まれて、もとはゴミ処分場だった。 総面積189ヘクタール。とにかくスケールが大きい。
再集合までのゆとりのひととき。みんなちがって、みんないい! 札幌市内に戻ったときはもう日も落ちていた。
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最終日。ホテルをチェックアウトして、まずは札幌駅へ。台風の接近が気になる。 雨の降らないうちにと予定を変更して、まずはアルテピアッツァ美唄を訪問。
学芸員の伊東奈美さんが説明してくださる。ここは廃校となった小学校の校舎を転用したギャラリー。 作者の安田侃は、作品に直に触れて欲しいという。そばにはキャプションもない。
階下は幼稚園。園児たちは安田侃の大の仲良しという。 毎日この風景を見て育つ子たちは仕合わせだ。
美唄の町の最盛期。炭住が建ち並び、校舎はいまの3倍もの大きさだった。 校舎の一部がギャラリーと幼稚園に。
体育館がアートスペースになった。 人工の小さな山を登る。案内してくれる伊東さんは「サウンド・オブ・ミュージック」のマリアのよう。
山の真ん中には作品が隠れていた。《天翔》という。
「作品の前で涙ぐむ人がいて…。」と、自身も涙ぐみながら話してくださる。
ナナカマドが色づき始めていた。作品は《妙夢》。 《天沐》。友人は「ここは一種のアルカディアだ」と言う。
作品の上で休むトンボ。 指の先でも休む大胆さ。
最終見学先、三岸好太郎美術館は道知事公館のそばにある。 水路を隔てた向こうが知事公館。
去年の台風で巨木が折れてしまった。 公館の前にあるのは、安田侃の作品。
美術館の白い外壁が見えてきた。 学芸員の穂積利明氏から説明を受ける。
質疑応答には井上も加わって…。 札幌で2番目に美味しいコーヒーでしめくくり。