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 有料老人ホームとは?

 有料老人ホームは、「老人福祉法」により、次のように規定されます。

 老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって、厚生労働省令で定めるもの供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設。

 つまり、高齢者住宅等において、入居者の数に関係なく、次のいずれかのサービスを提供(委託、将来の提供を約束)するものは、「有料老人ホーム」に該当することになります。


  • 介護の提供

  • 食事の提供

  • 洗濯、掃除等の家事

  • 健康管理
   
ただし、次のものは除かれます。


  • 特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム等の老人福祉施設

  • 認知高齢者グループホーム

  • 「適合高齢者専用賃貸住宅」として都道府県知事に届出たもの

平成18年4月以前の旧老人福祉法では、有料老人ホームの定義に「常時10人以上の老人を入所させ」とありましたが、法改正によりこの人数要件は撤廃され、有料老人ホームに該当する範囲が広がりました。

 有料老人ホームの設置を届け出なかった場合は30万円以下の罰金に処せられますので注意が必要です


 有料老人ホームの種類は?

 有料老人ホームは、提供するサービス種類に応じて次のように分類されます。

類    型 概    要
介護付 一般型 介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。

・介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能。

・有料老人ホームの職員が介護サービスを提供。
介護付 外部サービス利用型 介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。

・介護が必要となっても、当該有料老人ホームが提供する特定施設入居者生活介護を利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続することが可能。

・有料老人ホームの職員が安否確認や計画作成等を実施し、
介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供。
住宅型 生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。

・介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該有料老人ホームの居室での生活を継続することが可能。
健康型 食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。

介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければならない。


 有料老人ホームを開設するには?

 有料老人ホームを設置するには、事前に都道府県知事への届出が必要となります。(ただし、届出といっても実際には許可相当となります。)

長野県では、有料老人ホームの設置・事業開始は概ね次のフローとなります。
 
事業計画の作成
市町村、県への事前相談
設置事前協議書の作成
県との事前協議
施設の建設
設置届出
事業開始届出

※ 介護サービスを提供する場合(特定施設入居者生活介護等)、その事業者指定をあわせて行う必要があります。


 有料老人ホーム開設の要件は?

 有料老人ホームを設置するには、様々な要件をクリアした事業計画を作成し、受理される(実行する)必要があります。

 要件は、各都道府県ごとに「有料老人ホーム設置運営指導指針」という形で有料老人ホームの設置や運営の関する規定が置かれていますが、長野県においては概ね次のようになっています。


■ 基本的事項

  1. 開発許可、建築許可等の関係諸法令との調整が計れるものであること。

  2. 地域の特性、需要等に適合した施設となること。

  3. 地元の高齢者福祉施策との適合がとられること。

■ 設置主体

  1. 法人格が必要となります。個人での設置はできません。

  2. 公益法人の場合には、主務官庁の承認が必要となります。

  3. 法人の役員の中には、有料老人ホームの運営について知識・経験を有する者等を参画させる必要があります。

  4. 介護サービスを提供する有料老人ホームの場合は、役員等の中に高齢者の介護について知識・経験を有するものを参画させる等の必要があります。

■ 立地条件

  1. 交通の利便性、安全性、医療機関等との連携が考慮されていること。

  2. 事業の用に供する土地、建物については、確実な使用権原があり、利用を制限する権利が存しないこと。

■ 規模及び構造設備

  1. 建物は、建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物であること。
    避難設備、消火設備、警報設備等の設備を設けること。

  2. 提供するサービス内容に応じた設備を有すること。

    一般居室又は介護居室 一時居宅室 食堂 浴室 便所 洗面設備 医務室(健康管理室) 談話室(応接室) 事務室 宿直室 洗濯室 汚物処理室 看護・介護職員室 機能訓練室 健康・生きがい施設

    ・一般居室は個室とすること。
    ・介護居室は床面積13u/人以上であること。
    ・各居室は界壁により区分されたものであること。
    ・介護居室のある廊下の幅は、一定以上のものであること。

■ 職員の配置等

  1. 入居者の数、提供するサービス内容に応じ、次の職員を配置すること。

    施設長 事務員 生活相談員 介護職員 看護職員 機能訓練指導員 栄養士 調理員

  2. 夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置すること。

  3. 職員の研修、職員の衛生管理を行うこと

■ 施設の管理・運営

  1. 管理規定等を制定すること。

  2. 入居者・身元引受人等の名簿を整備すること。

  3. 緊急時の対応計画をたてること。

  4. 医療機関との連携をはかること。

  5. 運営懇談会を設置すること。

■ サービス

  1. 契約内容に基づき、食事、相談助言、健康管理、治療への協力、介護、機能訓練、レクリエーション等に関し、入居者の心身の状況に応じ適切なサービスが提供されること。

■ 事業収支計画

  1. 市場調査等により、相当数の者の入居が見込まれること。

  2. 資金の確保にあたっては、適切な方法で調達すること。主たる取引金融機関等を確保しておくこと。

  3. 最低30年以上の長期資金収支計画及び損益計画を策定すること。

  4. 経理・会計の独立をはかること。

■ その他

  1. 契約に関する手続き、内容等。

  2. 重要事項の説明。

  3. 体験入居の制度。

  4. 情報開示。


弊事務所では、有料老人ホームの設置、事業計画・管理・運営に関する相談、申請書類作成、並びに提出を代行します。
また、必要に応じて、他法令に基づく手続きについても支援いたします。

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