内容証明郵便とは? |
|
内容証明郵便とは、「どのような内容」の文章を、「誰に」対し、「いつ」出したかを郵便局が証明してくれるものです。 |
|
内容証明郵便には次のような証明文が文末に記載され、文章を発信した年月日が証明されます。 |
この郵便物は平成○年○月○日
第○○○○○○号書留内容証明郵便物として
差し出したことを証明します。
○○○○郵便局長 印 |
|
また、内容証明郵便を出すときに「配達証明付」とすることで、後日郵便局から「郵便物配達証明書」が送付され、相手方に配達された年月日が証明されます。 |
受取人の
氏 名 |
○ ○ ○ ○ 様 |
引受番号 |
○○○○○○ 号 |
上記の郵便物は○年○月○日
配達したのでこれを証明します。
○○○○郵便局 印 |
|
|
普通の郵便では、手紙が相手に届いたということを証明する効力がありません。従って、相手方が「そのような手紙を受け取っていない」と言われれば、そのことを立証する証拠はありません。
これに対し、内容証明郵便は後々のために手紙を出したことの証拠を残したい場合に、郵便局がそれを証明してくれ、トラブルの予防などに有効な手段となります。
|
|
なお、内容証明郵便も普通郵便と同様、単なる手紙にすぎません。証明してくれるのは「出した(相手方に届いた)という事実」のみで、手紙の内容が真実であることが証明されるわけではありません。
従いまして、内容証明郵便を出したからといって、相手方に対して法的な強制力を発生させるものではありません。 |
|
また、内容証明郵便は3通作成しますが、そのうち1通は郵便局で保管されます。万が一差し出した内容証明書を紛失しても、郵便局でその謄本を作ってもらうことができます。 |
|
|
内容証明郵便を利用するとどのような効果があるのか? |
|
内容証明郵便自体には、出した内容を相手方に強制するといった法的効果はありません。
本来効果はあくまでも、「どのような内容の文章を誰にいつ出したか」を証拠として残せるということですが、付随的効果として、次のような効果を与えることができます。 |
|
- 1.心理的効果
-
- 相手方は受け取る際に押印を要求されることから、「重要な手紙である」という緊張感を受ける。
- 内容証明郵便は通常、普通の手紙とは異なる格式ばった様式で書かれるため、相手方は「何か対応しないといけないのではないか」という気持ちになる。
- 文末に郵便局長が「内容証明郵便として差し出されたことを証明する」という記載があり、相手方は「何かされるのでは」という気持ちになる。
- 文章によっては、差出人の「場合によっては、出るところに出ますよ」という真剣な意思が感じ取られ、相手方は圧迫感を受ける。
- 2.法律効果が発生
-
- 法律によっては、「効力が相手方に書面による通知をしたときから発生する」ものがあります。このような場合は証拠力を残すために内容証明郵便を利用すべきです。(債権譲渡通知、クーリングオフなど)
- 3.証拠づくり
-
- こちら側に証拠書類がない場合、差し出した内容証明郵便に対して相手方の反応から証拠となるものがつくれる場合があります。
|
|
■ 内容証明郵便を出したほうが良い場合
|
- 1.契約の解除
-
- 契約を解除するには、相手方にその意思表示をすればいいのですが、証拠を残すためにも確定日付ある内容証明郵便ですべきです。
- 訪問販売や電話による勧誘売買などで商品販売契約をした場合、8日以内であれば消費者側で一方的に契約解除することができます。(クーリングオフ,特定商取引に関する法律9条1項)
この申込の撤回は書面により行わなければなりません。(特定商取引に関する法律9条2項)
- 2.貸金の請求
-
- 相手方にお金を貸したが、約束の期日を過ぎても返してくれない、相手方から誠意が受け取れないといった場合、内容証明郵便でこちら側の意思表示を明確にし、相手方の対応を促すべきです。
- 3.債権譲渡の通知
-
- 債権者が第三者に債権譲渡した場合、そのままにしておいたのでは債務者は第三者に弁済をしてくれません。債権者から債務者に債権譲渡したという通知を「確定日付ある書面」でしなければなりません。(民法467条1項)
- 4.債権放棄
-
- 相手方が倒産してしまい、有していた売掛債権が回収できなくなった場合、不良債権として資産計上されたままになります。債権放棄の通知をすることにより、税務上損金処理できますが、通知をしたという証拠を残しておくべきです。
- 5.時効の中断
-
- 債権は、請求しないで放っておくと時効によって消滅してしまいます。時効の進行を中断させるには裁判上の手続を行うか、裁判外の請求により一時的に時効を中断させる必要があります。
◆時効の主なもの◆
債権の種類 |
時効期間 |
私人間の債権 |
10年 |
商事債権(商行為) |
5年 |
利息債権 |
〃 |
賃料債権 |
〃 |
請負代金債権(建築費等) |
3年 |
医師・薬剤師等の債権(治療費等) |
〃 |
商品の売掛金債権 |
2年 |
給料債権 |
〃 |
旅館・飲食店の債権 |
1年 |
運送費の債権 |
〃 |
※ 裁判外の請求の場合には、請求後6ヶ月以内に裁判上の請求を行うか、差押、仮差押、仮処分のいずれかをする必要があります。
|
|
内容証明郵便は「諸刃の剣」です。
内容証明郵便を送るということは相手方に対し喧嘩を売るようなものですから、内容証明郵便で解決を探ることをしないほうが良い場合があります。このような場合、粘り強く話し合う、ある程度の譲歩をするなどして、平和的に解決することが得策となります。
また、こちらから出した内容証明郵便は、相手方にとっても証拠となります。従って、自分に不利なことを認めたり、事実と食い違う内容、相手方を脅迫するような内容はかえって状況を不利なものにしてしまう可能性があります。 |
|
■ 内容証明郵便により解決をさぐるべきではない場合
|
- 1.相手方に誠意がある場合
-
- 相手方が自分の非を認め対応をしようとしている場合には、かえって相手感情を害することになり。トラブルの拡大となるおそれがあります。
- 2.将来的に親交が見込まれる場合
-
- 親族や隣人関係にある人、仕事関係で今後も取引を見込む場合など、内容証明郵便により受けたショック(裏切られたという気持ち)はすぐには消えません。
- 3.差し出す側にも非がある場合
-
- こちら側にも非がある場合、内容証明郵便を出すことで相手方も応戦状態となり、裁判にもちこまれるなど逆効果となることがあります。
- 4.相手方の首が回らない場合
-
- 相手方が倒産しそうな場合、不渡りの場合など、内容証明郵便を出しても債権回収ができない場合には、他の即効性・強制力のある手段で対処すべきです。
|
|
内容証明郵便を出すには? |
|
内容証明郵便を郵送する場合にはきまりがあります。
きまりから外れるものは、郵便局で受理されませんので注意が必要です。 |
|
- 1枚の用紙に書ける文字の数は、1行20字・1枚26行以内。
- 同じ内容の内容証明書を3通作成。
- 使用できる文字は、かな(カタカナ)、漢字、数字、固有名詞の英字、一般的な記号。
- 差出年月日、差出人住所、差出人氏名
- 受取人住所、受取人氏名
- 内容証明書が2枚以上にわたる場合は、ホッチキス止め等を行い割印。
- 内容証明郵便には文書以外のものを同封することはできない。
|
|
■ 内容証明郵便の出し方
|
内容証明書の作成(3通)、封筒の記載。(封はしない、切手は貼らない) |
↓ |
郵便局へ持参。(訂正に備え印鑑持参)
※ 内容証明郵便を扱う郵便局は限られるので要確認。 |
↓ |
内容証明郵便の申込。(配達証明を付けてもらう) |
↓ |
郵便局での審査、訂正、処理。 |
↓ |
- 書留・配達記録郵便物受領証の受け取り
- 内容証明書(謄本)1通の受け取り
|
↓ |
相手方へ郵送。 |
↓ |
差出人へ「郵便物配達証明書」が郵送される。 |
|
|
内容証明郵便は郵送によるもののほか、電子内容証明(インターネット利用による内容証明差し出し)も利用できます。
|
|
|
|
プロが使用する内容証明書作成様式・定型文を販売します |
|
|
|
- 内容証明書を作成したいけれども、プロに頼むほどでもない。
- 内容証明書の内容・送付先を、プロを含め、他の者に知られたくない。
- クーリングオフ等で一刻を争う。
などの場合にお使いください。
|
|
|