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 契約とは?

 契約とは双方で合意することです。したがって、基本的には契約を書面でかわしていなくても、契約書に調印がなくても、契約する当事者間の意思が一致すればそれだけで契約は有効に成立します。

 たとえば物の売買や貸し借りなどの契約の代表的なものは、一般法において次のように規定されています。


 ■民法

第555条(売買の意義)
売買は、当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれにその代金を払うことを約するによりて、その効力を生ず

第601条(賃貸借の意義)
賃貸借は、当事者の一方が、相手方にある物の使用及び収益をなさしむることを約し、相手方がこれにその賃金を払うことを約するによりて、その効力を生ず

 ただし、ものには例外があります。一般法にも例外としての特別法があり、法律によっては契約書の作成を要請しているものがあります。


 ■借地借家法

第22条(定期借地権)
存続期間を50年以上として借地権を設定する場合における、契約の更新、建物の築造による存続期間の延長、買取りの請求をしないことを特約する場合には、公正証書による等書面によってしなければならない。

第24条(事業用借地権)
事業用借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

第38条(定期建物賃貸借)
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。

第39条(取壊し予定の建物の賃借権)
法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。この特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。

 ■任意後見契約に関する法律

第3条(任意後見契約の方式)
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

 ■建設業法

第19条(建設工事の請負契約の内容)
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

 ■宅地建物取引業法

第34条(媒介契約)
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

 また契約は、原則として当事者の自由な意思表示に基づいて決定されるものであり、国家からの干渉を受けないという、「契約自由の原則」が基本となっています。

契約の相手方を選択する自由
誰と契約しようと自由であり、また契約を拒否することも自由である。

契約内容の自由
契約内容は、当事者の自由な交渉により決められる。

契約方式の自由
電話であろうと、口頭であろうと、書面であろうと契約の形式は自由である。

 しかしながら、いくら「契約自由の原則」だからといっても、すべての契約が有効に成立するわけではありません。次のような要件を満たさない場合には、効力を有しないと考えられます。

 

適法にして社会的妥当性があること
例えば、前述の特別法のような社会的弱者保護のための個別規定があるもの。
公の秩序または善良な風俗に反するもの。

可能なことであること
売買契約を交わしたが、目的物がすでになくなっている場合など。

確定できるものであること
契約の成立時期、有効期限、当事者や目的物が確定されなければ、その有効な契約とはいえません。


 契約書を作成しておくとどのような効果があるのか?

 それでは、なぜ契約書を作成するのでしょうか?
 それは、契約を書面により残しておくことで、次のような効果が発生するからです。


  1. 紛争を予防することができる

    • 権利義務について明確な証拠を残すことにより、紛争の発生を未然に防ぐ。


  2. 将来の紛争に備えて証拠を確保しておくことができる

    • 相手方が契約を履行してくれずトラブルとなった場合、契約書は確実で有力な証拠となる。


 契約書にはどのような種類があるか?

 契約(書)には、典型的なものとして次のような形態があります。


  • 売買契約
    • 売り主がある物を売る約束をし、買い主がその目的物の代金を支払うことを約する契約

  • 交換契約
    • 当事者が互いに金銭以外の財産を移転させることを約する契約

  • 贈与契約
    • 財産を無償で与える意思を示し、相手が受諾することを約する契約

  • 消費貸借契約
    • 金銭など、使って消費してしまうものを貸し借りする契約

  • 使用貸借契約
    • 無料で物を借りて使用・収益した後、その物を返還することを約束して、借主が貸主からそれを受け取る契約

  • 賃貸借契約
    • 当事者の一方が他方に対して物の使用収益を認め、その対価(賃料)を徴収することを内容とする契約

  • 雇用契約
    • 労働者が雇い主に命ぜられた通り、特定の期間に報酬を受取って労務に従うことをする契約

  • 請負契約
    • 注文者(頼む人)が請負人(頼まれる人)に対し仕事を完成することを委託し、仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束し、請負人がこれを承諾する契約

  • 委任契約
    • 委任者(頼む人)が受任者(頼まれる人)に対し法律行為をなすことを委託し、受任者がこれを承諾する契約

  • 寄託契約
    • 当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために有償で保管することを約し、ある物を受け取る契約)

  • 組合契約
    • 2名、またはそれ以上が集まって、それぞれなんらかの出資を行い、そこから発生する利益を分配する目的をもって成立する契約

  • 和解契約
    • 当事者の双方が譲り合って、ある物の保全を取り決め、現在の紛争を終了させ、あるいは訴訟事件の発生を防ぐための契約


 契約書作成のポイント

 契約書は、その表題(契約書・示談書・念書・覚書など),体裁(用紙サイズ・縦書横書・条文形式表形式など)は自由ですが、記載内容については次のようなことをポイントとして作成すべきです。


  1. 契約の当事者を確定すること。

  2. 契約の目的を明らかにすること。

  3. 契約の対象・目的物を明確にすること。

  4. 契約における権利・義務の内容を明確にすること。

  5. 契約の成立時期・有効期限を明確にすること。

  6. 契約書作成日付を明確にすること。

  7. 契約当事者の記名(署名)・捺印を明瞭にすること。

  8. 契約当事者分の部数を作成し、各自保管すること。



弊事務所では、契約書に関する相談・作成を行います。

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