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ノコギリガザミ

また食ったんですか?
すいません。食べちゃいました。おいしいんです。この蟹。
別名「マングローブ蟹」
その名の通り、西表なんかではマングローブ林内のヒルギの根っこの隙間や泥の穴に棲んでます。非常に大型になる渡り蟹の一種で、西表の特産品とまで言われます。

写真のものは、ビーチャー(酒飲み)のツギさんが持ってきてくれたもの。
ツギさん、本業は牛飼いなんですが、イノシシ猟も上手でガザミも良く獲る。西表育ちは伊達じゃないようです。料理もうまく、人もいいのですが、ただ、いかんせん、酔っ払うと手がつけられない。
僕は酔っ払ったツギさんが来ると、とっとと逃げ去ることにしてます。

ところで、今、ガザミは乱獲の為に数減らしてるらしいです。昔はオバアやオジイが鈎のついた棒を片手に潮の引いたマングローブの根元の穴を丹念に探して歩いて獲っていたらしいのですが、今や、大体はガザミ籠で捕まえてしまう。
ガザミ籠というのは中に魚のアラなんかを仕掛けてマングローブの水路なんかに沈めておけば、ガザミが入ってきても今度は出られず、捕まえられるという優れものです。これは場所さえ良ければ、さほど技術も経験もいらない。籠の数を多く仕掛ければ必ずいくつかは入るって代物です。

で、しかも簡単に手に入る。どこの釣具屋でも安く売ってます。しかし、みんながこんなものを使うようになったから、さあ、大変。西表にやってくるキャンパーさんやら地元の人やらまで、みんな籠を使う。そりゃあ、減ります。

困ったのはそれを本職としてる漁師さん。今までは昔からの慣習があったので、地元の人が獲る分にはそんなにうるさく言いませんでしたが、内地から遊びにきた人たちまでがやってる現状には黙ってられません。白浜地区なんかでは稚魚(?)放流までして資源回復図ってますから。で、今は八重山漁協で漁業権を持ってない人が籠を使うのは禁止されてます。勝手に水路に仕掛けられてる籠は回収されて陸の上にまとめてほられてたりします。
ガザミは牧志の公設市場などでも、キロ5000円はする超高級品。獲って食べたい気持ちはわかりますが、それをすると島人の気分を害しますよ。やめときましょう。島にはガザミを食べさせてくれるお店もありますので、是非そっちに行ってください。

ですが、地道にマングローブの根元探したり、干潟歩いててたまたま出くわしたりしたものを食べる分には相変わらず黙認してくれているようです。ただ、マングローブの根は折れやすく、下手に歩くと森を傷つけてしまいます。地元のオジイやオバアと親しくなって、連れて行ってもらうのが最良の方法でしょう。




両手に余るサイズの巨大ガザミ。生きている時の青みがかった体色は非常に美しい。が、この凶暴そうな爪!挟まれたら大変。地元の人は見つけたらまず甲羅を踏んで押さえつけ、両の鋏をもぎ取ってしまう。鋏のないガザミの姿は哀れだ。

茹でれば他の蟹同様、真っ赤に変わる。蟹独特の匂いが漂ってくる。

ツギさん特製、ガザミ汁とジューシー。意外にもツギさんらしからぬ優しい味で二度びっくり。

西表島、
隣人達の事件簿

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