4/19 三重県
宮川
今週の土日は家でゆっくりするはずだったが、朝起きてカーテンを開けると、風が無く暖かい穏やかな陽気。
雲が少し多かったが、かえって釣りには好都合。スタッドレスタイヤをノーマルタイヤに交換するという彼女との約束を破棄し(拝み倒して勘弁してもらい)目指すは宮川ダム北西の某谷。
相変わらずの悪路を『死にませんよーに。落ちませんよーに』と呪文を唱えながらガタゴト登っていく。
道を外れて落ちたら即THE END(人生が)
ガードレールなんて気の利いた建造物はほとんど無い。所々気休め程度に設置してある場所は、多分以前に誰かが落ちたのだろう。
入渓点に到着するまで、1台も車が停まっていなかった。念のため少し上流も見てきたが、やはり人の影は無い。
つ・ま・り、今日は谷1つ丸々俺様のもの!
言い換えれば『遭難は自己責任でお願いします』
転がってきそう。
なんともアンバランスな状態で、山の中腹で立っている巨石を横目に、ロッドをセット。どう見ても岩なのに、木が生えてるのがすごい。
ハッチはほとんど無かったが、クモの巣に黒っぽいメイフライが数匹捕まっていたので、#16のクイルボディパラシュートを7.5Xのティぺットに結ぶ。
川に降りる。風がまったく無く、薄い雲の隙間から時々太陽が顔を出す。最高のフライフィッシング日和。
挨拶代わりにフライをキャスト。着水したフライに、ゆっくりと黒い影が浮上して・・・
1投目で1匹
『よっしゃーーっ!』美しい渓流に、下品な声が響き渡る。
少しだけサビの残るアマゴ。前回来た時は鱗がざらついた、黒ずんだ魚が多かったが、この数週間でかなり回復したようだ。
ストマックをチェック。
意外にもほとんどがニンフ。ヘアーズイヤーに替えようかと思ったが、ドライで釣れるならそのまま楽しみたいのが人情。
面倒くさいからという理由では・・・ないっ!
厳しい渓を登っていく。前回強風で寒かったので、念のため厚着したのが仇となった。とにかく暑い!
チビアマゴやカワムツの反応がほとんど無い。釣れた魚はほとんど15cm以上のアマゴという、素晴らしい日。
釣れた魚という表現でピンときたあなたはエライ。情けない話ですが、3連続で写真撮る前に逃亡された。
上みたいな場所なら、かなりの確率で魚がいた。釣り方は、右側の岩で体を隠しながら、左手でキャスト。魚が掛かったら写真中央下の岩場まで移動して、みたいな慌しいスタイル。
しかし、下まで降りても足場が悪く、魚が下流に走らないよう気を使いながらカメラ出して、寄せてきた魚を落ち着かせて・・・バシャバシャバシャッ!『おっと! 修理したばかりのデジカメに水がかかるところだったぜ!・・・外れてるよ・・。』みたいな一人コントを繰り返すはめに。
しばらく釣っていると、これ位の渓相なら『歩きやすいなー』と思ってしまう。
落ち込みになっている、狭いけど深いプールで反応があった。
この魚を寄せてきた時に、20cmクラスのアマゴが食おうとしたのか2匹追いかけてきた。やる気のある魚がいるのは間違いない。
慎重にフライを手前から落としていく。
2投目ぐらいに、少し大きめの影がフライめがけてゆっくり浮上。しかしUターンして戻っていく。心臓がドキドキする。
再度フライを落とす・・・見に来るがやはり帰っていく。『落ち着け・・・』しかし、落ち着けるわけがない。
フライを替えるべきか?しかし、このフライで反応があるということは、サイズ・色共にマッチしているのは間違いない。
そこで、ドライシェイクを使い、浮き方を変化させてみた。フライをキャスト、ぽっかり浮くフライがよく見える。
と思った瞬間、魚が横っ飛びでフライをくわえた。即座にロッドを立てると、アマゴはローリングファイトで下流へ向かう。
ビリビリビリ・・・! ティペットが水を切る感触がロッドを通して伝わってくる。
反転した魚が水中で鈍く光る。
一瞬見えた魚のサイズからは想像できないような鋭い引きをしている。
ようやく観念したアマゴは、ネットにおさまった。
21p
厳しい冬を乗り越えた、たくましいアマゴ。今年の秋まで生き延び、産卵に参加することを切に願う。
少し変わった光景。なぜか岩肌に丸い穴が開いている。もしかしたら札束とかが入っているかもしれない。入ってるわけない。
壁?
根性で岩を登る。
参考までに、宮川上流で釣りを楽しむなら、最低でも懸垂が5回できるぐらいの体力(つまり、両腕で自分の体重を持ち上げる事ができる力)は必要です。
岩を登ってすぐのところで、綺麗なアマゴが飛び出してきた。
振り返ると、『歩いてきました。こんな道』みたいな、どこぞの食品メーカーのCMを思い出してしまう眼下の風景。
しばら行くと、大きなプールが出現。そこでもう一匹追加した。
プールの上流も、気合入れたら登れそうな岩場だったが、膝と腕の筋肉が『もう無理だって!旦那、あんたもう若くないよ!無理はよくないよ!』と、言ってる気がしたのでおとなしく撤収。簡単に言えば疲れたので撤収。
川から上がり、林道めがけて藪を突き抜ける。
車に辿り着いた時は、膝が笑っていた。しかし、そんな事はどうでもいいぐらい、最高の1日だった。