オークションで腕試し
更新そっちのけでオークションにハマっていた2003年1月、『スキーの板とブーツを格安で購入できた』と掲示板に書き込んだら、『ひろ』さんや、『やさやさ』さんちょっとオークションの話で盛り上がった時がありました。
で、さらっと書かれていた『やさやさ』さんの一言。
『俊さんお手製フライでも出品したらぴゅーーーーっと売れそうですけどね^0^』
・・・本当に売れるんかいな??
純粋な好奇心と、邪悪な陰謀にそそのかされ、とりあえず出品してみる事にした。
言葉でも文章でも無い、自分のフライへ付けられる『金額』。これほど分かりやすい評価は無い。
しかも買うのは、全く面識の無い他人。義理も何もない。ということは、その人が自分のフライに付けた金額=『お前のフライになら、これだけ出してもいい』という、純粋な評価。
フライを始めて8年。自分のタイイング技術がどれほどのモノになったか、試してみたくなった。
金は二の次です。(多分嘘です)
出品前にまずはヤフーオークションの『完成品フライ』のカテゴリをリサーチ。
管理釣り場用のフライが結構多い。目を引いたのは超リアルなエッグ。エポキシかホットメルトで作ってあるのだが、結構入札が入っている。
一通り入札があるフライの価格に目を通してみて、ヤフーオークションでのフライの相場は1本≒100円ぐらいだと知る。
管理人がフライを巻く速度は1本あたり3分〜15分。商品だから丁寧に巻くと考えると、1本あたり10分はかかってしまう。仮に一本100円で売れたとすると・・・
10分×6本=60分・・・作業時間
6本×¥100=¥600・・・売り上げ
そこから3%のシステム利用料18円と材料費を引くと・・・¥500以下確実
・・・・・・・・・・・・・・!!
ちゃぶ台返しっ!!
バカヤロー!!
時給500円でやってられっか!!
高校生の時給どころか、三重県の最低賃金を下回ってどうすんだよ!
えーい!ダメだダメだ! 酒だ! 酒もってこい!!(←ダメオヤジかよ)
・・・・いや、待てよ。仮に1本200円で売れたらどうなる?? 15本出品したとして、1本¥200で売れたら¥3000。巻くのに2時間かかったとしても、材料費を抜いても¥2500ぐらいの小遣いにはなる・・・。時給に換算しても¥1200/h以上?
・・悪くない。2時間頑張れば、大安トラウトレイク1回分の費用にはなる!
問題は何か? 1本200円で売れるフライを作ることだ!
今、市場が求めているフライは何だ・・・??
もうすぐ2月→渓流解禁→ミッジフライの出番です!
さっそくカテゴリ内で『ミッジ』を検索。予想通り、結構入札がある。しかし出品数自体が結構少ない。手間がかかるからか?
さらに、ある事に気が付いた。
#26以下が出品されていない!
出品するフライは決まった。#30のミッジセット。これで勝負!
下が実際に出品した写真と説明文。オレンジ頭のマッチ棒は、Fly High Fisherのタイイングのページで実際に使ったやつです(笑)
■解禁用・#30ミッジフライ16本セット■ |
||||
解禁用ミッジフライ#30、16本セットです。 気合い入れて巻いてたら、作りすぎてしまったので出品します。 フックは全てTMC2488の#30。ボディ色は全て汎用性の高い黒色です。見ての通り極小サイズです。 写真左上から順に・・・・(以下フライの説明)・・・・ ・・・・以上16本セットです。プロタイヤーではありませんので、フライの質は写真を見て判 断してください。ノークレーム・ノーリターンでお願いします。また、使用するティペ ットは10X〜12Xになります。初心者では魚を釣る前に全て紛失する恐れがあるため、経験のある中〜上級者の方でないと使いこなせません。 |
||||
>>気合い入れて巻いてたら、作りすぎてしまったので出品します。
ダウトおッ!!
大嘘もいいとこです。
実際は、『自分のフライがいくらで売れるか知りたくて、目の色変えて必死で巻いたフライです。血と汗と涙が染み込んでいますが、ノークレームでお願いします。』
これがホントだろっ!! ハッキリ言う。これほど真剣にフライ巻いたのは初めてかもしれん。魂を削って巻き上げたフライ、出品間際に『やっぱもったいないな・・・』と思って、出品をためらったぐらいだ。
>>経験のある中〜上級者の方でないと使いこなせません。
さり気なく、フライフィッシャーのプライドをくすぐる一言も入れてみたりする。
いざ出品。開始価格は¥100。横で見ていたオカンの一言。
『はッ!? こんなゴミ、売れんの?』
・・・(泣)
とりあえず、目標は2000円。巻くのに要した時間は意外と早く、2時間半程度。#30パラシュート5本で1時間少々かかったが、あとの11本も同じぐらい時間で完成。
材料費はフックが400円(安売りで購入)/25=一本あたり¥16。それに×16本=256円。ハックルとCDC、スレッドは、全部合わせても50円いかないと思うので、材料費は300円ぐらいか。
+++落札価格別の私見+++
入札なし・・・やけ酒。
¥100・・・ちゃぶ台返し
¥300・・・材料費は償却。しかし自信喪失
¥500・・・フックは1箱は買える。
¥1000・・・最低コレぐらいはいってほしい
¥1600・・・1本100円。最も可能性がある価格
¥2000・・・目標金額。
¥2500・・・上出来。時給なら1000円突破。
¥3000・・・1本200円レベル。自分のタイイングの技術に自身が持てる。
¥5000以上・・・仕事辞めます。目指せプロタイヤー!
まぁこんな感じです。出品日数4日に設定し、いざオークションスタート。以下の内容は1日ごとに書いていきます。
[1月 27日 17時 47分] オークション開始。数量: 1 で 100
[1月 27日 20時 10分] 入札。数量: 1 で 100
[1月 27日 20時 59分] 自動入札。 210
※入札者のIDは消してあります。
アクセス数20、ウォッチリスト(品物をブックマークに入れるみたいな機能。入札する可能性のある人達)への登録数2!
とりあえず、とりあえずやけ酒はまぬがれた!
28日の夜
・・・ガッツポーズ!
[1月 28日 0時 7分] 入札。数量: 1 で 1,000
一気に価格が上がる。一晩で大台はクリア。
[1月 28日 20時 55分] 入札。数量: 1 で 1,200
入札総数10を突破。ウォッチリスト登録数6。
ぬっふっふ・・・順調に価格が上がっておるわ!
29日の朝、値段を確認。ヤフーオークションは夜(10時ぐらいから)はアクセスが殺到しているのか、繋がらない事が多い。
[1月 28日 23時 17分] 入札。数量: 1 で 1,700
[1月 28日 23時 17分] 入札。数量: 1 で 1,900
[1月 28日 23時 17分] 入札。数量: 1 で 2,000
[1月 28日 23時 17分] 自動入札。 2,100
目標達成!
2000円を突破したいたので、小技を使う。ヤフーオークションは、文字を太くしたり背景の色を変えたりして、出品した物を『目立たせる』事ができる。
価格は10円〜50円ぐらいかかるが、自分のフライが市場でどう評価されるか知るには、たくさんの人に見てもらいたい。(高く売るためにもな)
そこで1日あたり10円〜を支払い、自分の品物を上位に表示させる『注目のオークション』のシステムを使う。
1日13円で最上位に表示される事がわかったので、注目のオークションに申請。
時間割り計算なので、45円程を支払う。
目標を100円越えたので、コレぐらいの出費は余裕。
行け! 我が息子たち!
30日、朝。
[1月 30日 0時 51分] 入札。数量: 1 で 2,200
[1月 30日 0時 51分] 入札。数量: 1 で 2,400
[1月 30日 0時 51分] 入札。数量: 1 で 2,600
[1月 30日 0時 51分] 入札。数量: 1 で 2,800
[1月 30日 0時 51分] 入札。数量: 1 で 3,000!
[1月 30日 0時 51分] 自動入札。 3,100
ちゃ〜ら〜ら〜ちゃ〜らちゃらちゃちゃ・・・
やべぇ! ロッキーの曲がどこからともなく流れてきた!!
アクセス総数340!!。ウォッチリスト登録数20!
Fly High Fisherの1週間分のアクセス数を、3日で突破!(泣)
こ・・・コレって、ちょっと自慢してもいいんぢゃないのか??(オロオロ・・)
31日、オークション終了。終了間際の価格上昇を期待したが、3100円で何事もなく終わった。チッ! (←オイ)
アクセス総数 414
ウォッチリストに登録した人数23!
つまり、414人が自分のフライを見てくれて、23人が『買っても良いかな』って思ってくれたって事。
熱い・熱すぎる! 数年前なら考えられなかった事がインターネットの世界では起きている。
個人がこれほど簡単に市場に参入できる機会が、今まであっただろうか?
もしあなたがフライが巻けるなら、自分のフライを出品してみる事を強く薦めます。
自分の趣味が『職人』の仕事として市場に評価される。釣りの資金を釣りで調達できるなんて、最高ですよ!
しかしですね、管理人がフライを出品する事はもう無いと思います。
上の方で書いてますが、自分で巻くフライには思い入れがあるわけです。失敗作を売るわけにはいきませんので。
金で買えない物があるように、金で売れない物だってやっぱりあります。
自分にとって、自ら巻いたフライは『息子達』なわけです。
そうやすやすと売るわけにはいきません!
1本¥500で買ってくれるなら話は別だがな。