| 監督が、自分の名前を作品に載せたくない場合に使う偽名。
ハリウッドでは伝統的に、映画の最終的な編集権を映画会社(プロデューサー)側が持っています。そのため、映画会社の意向により監督の意図しない編集が作品に加えられ、最終的な作品の出来が監督にとって納得の行かないものになってしまうこともよくあります。そんな場合、監督は全米監督協会に直訴することにより、自分の名前をクレジットから削ることを主張します。つまり、「監督は匿名です」というときの偽名として、アラン・スミシーという名前が使われるわけです。
有名な例として「ハートに火をつけて」(1991)がありますが、この作品はもともと「BACKTRACK」というタイトルで、デニス・ホッパーが監督したものでした。
| 「BACKTRACK」チラシ裏解説より |
| その存在が知られるようになって、各マスコミからの問い合わせが殺到した「BACK
TRACK」。これは、1991年に公開された「CATCH
FIRE(邦題:ハートに火をつけて)」のデニス・ホッパー監督版なのだ。
もともとこの映画は「BACK
TRACK」というタイトルでシアトル、ロサンゼルス、タオスで撮影、製作された。しかし最終編集権を持っていた映画会社によって再編集され、音楽も差し替えられた。当然怒ったのは監督した我らがデニスホッパー御大。訴訟など、この件をめぐって起こったトラブルの結果、アメリカ著作権協会の指示に従って監督の名前をアランスミシーに替えることが同意され、タイトルも「CATCH
FIRE」に変更された。そして4年後の本年、デニスホッパー自身の手によってまったく違う映画として、当初予定されていた本来あるべき姿として「BACK
TRACK」が完成した。これは、テーマ、リズム、タッチがまったく変わり愛に関する作家の映画として強烈な個性を発揮しており、その映像はあたかもJ・フォスターを犯しているかのごとく執拗である。
巷で流行っている未収録部分を加えただけの完全版とは違い、監督、音楽、編集が変わり冒頭から「ハート〜」とは違うカットつなぎになっている。さらに同じカットでも違うテイクを使っていたりするほどこだわっており、前述したテーマ、リズム、タッチの変貌、作家の映画としての個性など、全く生まれ変わった別の作品として十分なポテンシャルだ。(以下略)
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アラン・スミシーはジャドソン・テイラー監督「フェイド・イン」(1968)で初めて使われました。その他のアラン・スミシー名義の作品としては「ハリー奪還」(1986)、「クライシス2050(インターナショナル版)」(1990)、「ヘルレイザー4」(1996)、「サブ・ダウン」(1997)、「ジョー・ブラックによろしく(エアライン・バージョン)」
(1998)、などがあります。
また1997年、アーサー・ヒラー監督により、アラン・スミシーを通して映画界の実状を描く「アラン・スミシー・フィルム」が製作され、話題となりました。(日本では公開されなかったけど)
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