「ポンコツ」
 
仕事へ向かう毎日
スーツが重くのしかかってる
名もない荒れ地を横切ると
ひまわりが目を閉じて
太陽の光をあびてる
君のことを思い出した

満員電車に揺られて
長い長い鉄橋をわたる
オヤジに足を踏まれながら
吊革ごしの河原
花火のあと
おんぶして駆け上った土手
君のことを思い出した

ホームに降りる
地下道を逃げるように走る
ひどい異臭につつまれて
やがてその正体が
下水わきに散らばった
無数の袋からだと気づいたとき
君のことを思い出した
少しだけ汚れたところで安心する
ぼくの体と心
魂がうずくまって嘔吐する
ともすればまた
袋に詰め始める
置き忘れたふりをして
すべて捨ててしまうことを考えはじめてる

君を求め続ける孤独が
君を逆恨みしてしまう前に出来るだけ早く
君の幸せな日常が
ぼくのせいで壊れる前に出来るだけ早く

袋に詰める手が震えて止まらない

末期になるまでほっといて
いまさら暴れるなんて
あと数日間ももてばいい方なんだろう
効きもしない特効薬女に
その場しのぎで体だけすがってきた罰だ
部屋の下で彼が
クラクションを鳴らす夜
押さえ切れずに抱きしめてしまったのは
君にかわる人はどこにもいないことを
深く思い知らされてたから
まる1年も片思いなんて
ぼくにしちゃ上出来だった

ぼくは君の日常になりたかった
君の自転車や本棚やカーテンのようになりた
かった
君の楽しそうな顔をそばで見てるだけで
ぼくはしあわせになれた
ずっといっしょにいたかった
君に彼がいてもいなくても

いいわけなんてない
今じゃもう
ぼくは君を抱きしめて
壊れかけたポンコツ
右も左も決められない
仕事へ向かう毎日
スーツが重くのしかかってる
名もない荒れ地を横切ると
ひまわりが目を閉じて
太陽光のシャワーをあびてる
これからも君のことを思い出すんだろう

そしていつか
いつか忘れてしまうんだろう