「仕事人間28号」
ぽっかり空いてしまった心に
気づいちまった夜
好きだった曲を
閉店間際に買い込んだ
ぽっかり空いちまった心に
気をぬけば汚れた液が
流れ込んでくるから
ガードをかためて壁を厚くした
ぽっかり空いちまった心が
鉄の球と化したころ
漏電するナルが
頭と心と体のバランスを乱れさせていく
平日から明け方の新宿をふらつく
僕のネクタイがそこにいた
頭が理想を追う
頭が24時間しかない1日を否定する
頭が付加価値をつけた仕事に
結果を付けて
また仕事をもってきた
産業ロボットのように
仕事だけをこなしてれば
生き残れる自分を連れて来た
心がアーリーのロックを要求する
眠りの3時間を削ってでも
一瞬のゆとりを欲し続ける
そのくせ人の喜ぶ顔まで要求する
体は悲鳴をあげてる
体は大丈夫だよといいながら
見え透いてるくせに
やさしくて純情な女を演じて
ラッシュに自分を運んでくれる
このごろの僕を本当の意味で知る人は
世界中に誰もいない
そんな急な孤独が
ぽっかり空いた鉄の球にひびを入れた
いっぱい聞いて欲しいことがあって
いっぱい伝えたいことがあって
もうそのころには
舌が上手にまわらないから
宿題にして店を出る
また孤独の明け方に
やっと自分の時間ができて
15分のうちには消え去ってゆくんだろう
明日のために深く短く眠るだけ
昨日のことも思い出せないまま
明日に突き進む
明日を忘れながら
今日を生きる
誰もいない自分の時間
心がこのところずっとかけたがってた人に
ダイヤルした
頭が早く切れと怒鳴ってる
君を楽しませるものが
今の僕からは出てこないと
体は会う体力なんてあるわけないと
いじけてる
君は普通だった
僕は普通を演じた
今の僕と付合える人なんてどこにもいない
早目に受話器を置いた
ぽっかり空いた心をうめるのは
君だと思っていたいから
もう少しだけ
自分勝手にすがっていたいだけ
ぽっかり空いちまった心に
気づいてしまった夜
君と出会ったころ好きだった曲を
閉店間際に買い込んだ
音楽がまた
僕を僕に引き戻してくれた
頭と心と体のバランスを取り戻した
僕はロボットで
僕は人間で