「NEUTRAL」

三月の真夜
海は広さと厚みと力をもって
押し寄せてくる
彼は彼女を前に
すべての力を抜いて
飲み込まれることを考えてた
意固地に拒みつづけたことに
意味がないようで
その時
何かがうかんで
何かが見えて
何かがはじけた
何百年も何千年も前の記憶のように
それが言葉にならなくて
人でいることさえ
馬鹿らしく思えてきた
そこに思い出は存在しない
そこに未来は存在しない
ただおしよせる巨大な彼女の体と
ちっぽけな僕が存在するだけ

生まれ変わりたいなんて言いたくもないけど

                  SO NEUTRAL