「うわっつら」

その川の河口のほとり
首都高が灰色のため息を吐き
意味の取れない罵倒の声を吐き続けてる
聞こえないふりをするように
青い川の中にはのんきに雲が浮かんでる

やがて向こう岸から
鉄の背骨の上を
銀色の8両編成が入り込んでくる
真夏の熱射をうけて
きらきら光ってるその人工っぽさ

腰を下ろしたベンチは埋め立て地の上
整備の行き届いた焼ける砂地の嘘の中
居場所を決められた花々がしらけ顔で笑ってる

ここんとこ
うわっつらだけ
めちゃめちゃ悲しい誰かの話に
気のきいた言葉も出てこない

ジリジリと焼けてゆく皮膚を感じても
スーツの中は妙に冷たく冷え切っている

ここんとこ
うわっつらだけ
汗ばむシャツが
まとわりつくいらだち
俺なんて
このまま日干しにでもなっちまえばいい

仕事もくらしも愛も夢も
ここんとこ
うわっつらだけ