My Favorite Tunes : Part1

 

   

第 1 回 ( 16 / Nov / 1999 )

Iris (イリス)
Mascagni, Pietro (マスカーニ, ピエトロ)

 

    マスカーニのオペラというと、26才の時に作られ爆発的な成功となった
    処女作「カヴァレリア・ルスティカーナ」だけが有名となり、
    それ故に、その後の彼の作品が忘れられているという結果を生じてしまったようで。
    それではあまりにも彼が可哀相ということで、栄えある第1回に選んでみました。

    大変美しい曲です。初めて聴いたときには、
    プッチーニはこの曲を聴いたおかげで、「蝶々夫人」という素晴らしいオペラが出来たのでは、
    なんて思いを勝手にしてしまう ・・ そんな私でした。

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パタネ / ミュンヘン放送管弦楽団&バイエルン放送合唱団
トコディ(S) : イリス / ドミンゴ(T) : オーサカ / ポンス(Br) : キョート / ジャイオッテイ(Bs) : イリスの父
フェローニ(S) : ディーア / アントゥナーノ(S) : 芸者 / テデスコ(T) / ウェーバー(T) : 浮浪者
SONY / CSCR8060-1

Gelmetti / Orchestra del Teatro dell'Opera
Dessi : Iris / Cura : Osaka / Servile : Kyoto / Ghiaurov : Father
Nakamaru : Geisha / Cesare / Amici / Menotta
Ricordi-BMG / RFCD 2027


台   本 :


Luigi Illica (ルイジ・イルリカ)

初   演 :

1898年11月22日 コンスタンツィ劇場、ローマ

登場人物 :

イリス (主人公 S) / オーサカ (裕福な若旦那 T) / キョート (芸者屋の主人 Br)
イリスの父 (目が不自由 Bs) / ディーア (人形劇に出る主人公 S) /芸者(S) / 浮浪者(T) / 行商人(T)

 

物語の舞台となるのは昔の日本。

第一幕 :

    夜が次第に明けて太陽の光があたりをつつむ。
    イリスは見ていた恐ろしい夢を語り、悪夢を追い払ってくれた太陽に感謝している。
    イリスの父が小屋から現れ、イリスの手で日差しの中へ導かれ祈りを始める。
    オーサカはキョートの手を借りイリスを手に入れようと狙っている。
    旅廻りの人形使いに変装したオーサカとキョートによってイリスは連れ去られる。
    イリスの父は娘を探すが、彼女は吉原に行ったと聞かされ、
    イリスに捨てられたと、思い込み、行商人に吉原へ連れて行ってくれるよう頼む。

第二幕 :

    オーサカがイリスに言い寄るが、あどけないイリスは愛の言葉にあきれて笑っている。
    やがてオーサカの本心がわかり、父親のもとへ帰してくれと頼む。
    オーサカは失望し、キョートに彼女を追い出すよう勧めるが、キョートは
    芸者にして稼ごうともくろみ、暗い穴をみせ従わなければ穴に落とすと脅かす。
    父親があらわれイリスは居場所を指示するが、助けてくれると思った父親から
    激しくなじられる。失望のあまり穴に身を投げるイリス。

第三幕 :

    真夜中、どぶ川の土手、浮浪者達がごみを漁っている。
    絹の着物を見つけ、その着物をはぎ取ろうとするが、
    死んでいると思っていた人間が動くのを見て逃げてしまう。
    横たわっていたのは、深い傷を負ったイリス。
    薄れる意識に人生は無情だと告げるオーサカ、キョート、父親の声が。
    やがて夜が明け、太陽が温かい光を彼女に投げかける。
    彼女は手を差しのべ太陽に呼びかける。
    「お前の光の中で私は休むわ」 ・・ 息を引きとる。

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