「“アレ”は使うなって先生言ったよな?ん?」 前にもそう言ったよな、と煙草の紫煙とともに吐き出された科白には多少怒気が交じっている。 男鹿がベヘモット34柱師団のナーガ達と激闘を繰り広げたのはつい先のこと。 早乙女の元で修行をしていた最中、偶然生み出された技とも呼べぬ副産物。 スーパーミルクタイムの用量を超えた摂取の所為でベル坊の精神と男鹿の精神が入れ替わってしまった。 ミルクを飲み過ぎてしまう事の危険性は男鹿も少しは理解して・・・・・・いなかったのだろう。 2人の意識が混じって作り上げる『あいまい』な、殆どベル坊の本能だけで暴れまわる状態――・・・そう、 言ってしまえば男鹿の理性なんて殆ど残っていない状態に陥るにも関わらず、だ。 初めてミルクを飲んでしまった時にヤバイ、と感じながらも使用してしまった事を早乙女に責められて 少しムくれた表情をフイ、と横に反らした男鹿に、早乙女は紫煙ではなくため息を吐きだす。 あの技は危険とリスクが生じすぎる。 仕組みも解っていない未知なるモノだ、早乙女としては今後一切使わせたくないというのが本音だろう。 今回は後遺症として精神が入れ替わる程ですんだが、次は何が起こるか分からない。 そんな危険極まりないものを生徒に―・・・否、恋人である男鹿に使わせることなど出来る訳がなかった。 ベヘモットの元に向かう際、早乙女はこれでもかと言うほど口を酸っぱくして言い聞かせたつもりだったが 残念ながら、我が道を自由に突っ走る男鹿の耳にはこれっぽっちも入っていなかったようだ。 「・・・・・仕置きが必要、らしいな?」 「あぁ?!も、十分反省したっつーの!あんな事になるって知ってたらオレもっ・・・!」 「うっせぇ、心配掛けやがってテメーは。オラ、こっちこい」 「あ、ベル坊はちょっと待機な」 「だうっ」 「嫌な予感しかしねぇ!!」 恋人たちの大晩餐会 職員室を出て少し歩いた先の部屋のドアを開けると、ひんやりとした冷気が足元を抜けていく。 鼻腔を突く埃臭い匂いに男鹿は顔を顰めたが、背を押されながら「入れ」と促されて、仕方なく中へ足を 踏み入れた。綺麗に片づけられてはいるがそこはあまり使われていない応接室のようで。 黒いソファーが薄らと白くなっているのが見える。後から入ってきた早乙女はガチャリとドアに鍵を掛けると、 ソファーの埃を軽く払ってからドカリと腰を下ろした。 「男鹿、お前に新しい技を教えてやるからこっちきて此処へ、そう。そのまま座りな」 「・・・・新しい技ってなんだよ?つかなんでこんなとこへ座らなきゃ・・・」 「まぁまぁ取りあえず待て」 座る早乙女の両足の間に座れと命じられた男鹿は不審気に目の前の男を睨み上げた。 それが上目づかいになって男の加虐心を煽るなどと、彼は知る由もない。 にやりと口角を上げて笑った早乙女は自身の肉を取り出すべく、ズボンのベルトをはずして前を寛げた。 事もなげにカチャカチャと響く金属音。 突然の行動に驚いた男鹿は目を見開いて、動く男の手と顔へ忙しなく交互に視線を移している。 意味が解らないと困惑の目を向けてくる男鹿もクるな、と早乙女は早く苛めてやりたい気持ちを内心だけに 押さえて、己の足もとに座るまだ少年らしいさらりとした、見た目を反する柔らかな髪を愛撫するよう 撫でてから後頭部へ回した掌をぐい、と股間へと引き寄せた。 「こっちのミルクなら飲み放題無料で赦してやるよ」 「・・・・はああぁぁ?!ちょ、嫌なんですけどっ!!いらねっ」 早乙女が何をさせようとしているのか理解した男鹿は身の危険を感じて慌てて後ろへ下がろうとしたが がっちり大きな掌に固定された頭は動きそうもない。 「お前だけの技だぞー、大人のスーパーミルクタイム。使用時間は無制限でオッケー」 「なんだそのセクハラ!!ただのフェラじゃねーかソレ!!」 「仕置きだっつったろーが。早くやれや」 未だボクサーパンツに隠されたそこへ一層頭を引き寄せられて、カァと顔が赤らんでいく。 力で敵わないことは今更の事だ、それに言いだしたら終わるまで逃してはくれないだろう事も経験で 解っている。男鹿は意を決したのかふ、と息を吐いた後少しだけ下着をずらして早乙女の下肢を取り出した。 まだくたりと力を持たないそれなのに、ひと目で男のものが一般の標準を逸脱してるのが解る。 大人の雄を匂わすそこへ恐る恐る舌先を這わせ始めた恋人に、早乙女は“よくできました”と押さえつけて いた力を抜いて後頭部をくしゃりと撫でた。次いで聞こえるはぺちゃと唾液を含ませた水音。 男鹿はフェラチオをされた経験はあってもしたことがない。 教えられた訳でもないこの舌技は、恐らく自分がされて気持ちよかった事を思い出しながらの行為だろう。 薄らと頬に朱を走らせて懸命に舌を駆使する姿は普段の彼からは想像もつかぬほど艶やかだ。 持たないな、と早乙女は思う。 導かれて柔らかな口腔内に包まれた自身を襲った熱は思ったよりも凄まじくて。 稚拙すぎる行為なのに彼の従順な素直さに愛おしさを感じずにはいられない。 解っているのかいないのか、じゅぶり、くちゃりと音をたてて口唇を動かす卑猥さにも。 「・・・だがヘッタくそだなお前」 「ふ、はっ・・・そーゆーアンタの息子、すでにガッチガチだけど・・・ンンッ」 「あん?あー、いま精神的に気持ちがイイからな」 「精神的に・・??」 「お前が好きだからこうなってんだ、って言えば解るか辰巳」 「・・・・・・・・・恥ずい奴・・・」 絨毯の上に座り込んでいる男鹿の腕を引いて立たせると、早乙女は己の膝の上に腰を下ろさせた。 もういいのか、と問うてくる目線ににやりと笑って、摩擦によって赤く色づいた恋人の口唇に吸いつく。 と、同時にズボンを脱がしにかかるという早技は男鹿も暫くは気づかないほどであった。 「何もミルクを飲む口はひとつじゃない、ってか」 「しっ・・・・信じらんねぇ、教師のクセにンなとこでっ・・・・・・ぃあッ!」 己の唾液で濡らした指を、慎ましげに閉じた尻の狭間に這わせ先端を潜り込ませれば短い悲鳴が上がる。 何度開こうが男鹿の窄まりは硬く、異物の侵入を拒むように閉じてしまう。 慣れない所為もあるのだろうが、面倒とは思わない。その処女の様な頑なな場所を丹念に解していくのも 早乙女にとっては男鹿とのセックスを楽しむひとつの過程だからだ。 それに男のごつごつとした太い指が三本、内側の深くまで潜り込むまで慣らされた肉の、あの快楽を求める 貪欲な動きと包み込む柔らかさを堪能出来るならば前戯のひとつやふたつ、喜んで致すだろう。 くい、と早乙女が内道を指で広げれば跳ねる身体とともに上がる、押し殺せない悲鳴。 捲り上げたTシャツから露わになった、小さな尖りに舌を這わせて吸ってやれば感じるのか弄られる事もなく 勃ち上がった男鹿の下肢はびくりと震え、先端から滲み始めた体液をパタパタと零れさせるのだった。 「も、いいっ・・・指、抜けエロ親父がっ・・・」 「誰が親父だオイ。可愛くねーと一気にブチ込むぞ」 「上等、だっ」 抱かれるたびに色気を増す男鹿の細腰を煽るように指先で滑って、辿り着いた双丘を両手で鷲掴めば、 少し汗ばんだ肌がしっとりと掌に吸いつく。程良い弾力は思わず揉みしだきたくなるほどで。 彼の方がよほどエロティックなのだと理解しているのだろうか? 例えばこのまま学園の男共の中へ放り出してみれば、彼も己の持つ危うさに気づくだろうか。 割り開いたそこに砲身を宛がい、早乙女は男鹿の耳たぶに口唇を添えながら、腰にくるような 重低音を持ってこう囁いた。 「ヨすぎて意識、飛ばすなよ」 *********** きつ過ぎる締め付けに誘発されるように吐きだした早乙女の精は、男鹿の胎の最奥にたっぷりと 注ぎ込まれ、また男鹿も中に出される刺激によって自身を包み込む男の掌の中に吐精した。 体力が自慢の男鹿が悪態もつかず早乙女に倒れ込んで身を任せるあたり、どれだけ先の行為が 激しかったのかが安易に知れる。 「・・・・・大丈夫か?ちっと張り切り過ぎたか」 「ん、んぁ・・・・」 「たつ、おい・・・?どうし」 「あっ・・・ぅ、ああっ・・・禅、なぁ、シて・・・シよ、ぁっ・・・アッ」 抜かずに達した胎の心地を楽しんでいた早乙女の下肢を、復活させるかのように腰を動かし始めた男鹿の 突然の痴態。いつもの情後の彼と違う言動に今度は男が慌てふためく。 彼なら絶対に言わない、彼なら絶対にしない、こんな事。 考えている間にも男鹿の腰使いは大胆になっていき、とうとう早乙女の下肢も再び頭を擡げてしまった。 「ア、禅、早くシて・・・・禅」 普段名前で呼ぶなどしない癖に、嗚呼どうしてこんなに甘く己を呼ぶのか。 早乙女はどこかおかしいと思いながらも目先の誘惑には勝てなかった。寧ろ負けてもいい。 「ひ、ぁっ・・・・アッ・・・・おくっ・・・・奥、がっ、ア、ンンッ」 「・・・えっろ・・・・」 一度目に吐きだした精によって滑りやすくなった内側を、先ほどよりも乱暴に擦り上げて最奥を穿つ。 漏れ聞こえる卑猥な科白に違和感が脳の片隅で理性を保とうとするが、「もっと奥に欲しい」と 可愛い恋人に強請られれば早乙女もただの男になり下がるまで。 煽られるままに対面座位のまま、彼らは二度目の高みに達するのだった。 *************** SIDE:Zenjyuurou あれから何度求められたのか。 数えるのも億劫なほどイカせたし、己もまたイッたのは間違いない。 窓の外が真っ暗に染まりきっている事がどれだけの時間が過ぎたのかを明白に表わしている。 一旦職員室に戻って持ってきた煙草に火を付けて紫煙を吐きだしたオレは、先の激しい 行為の余韻からかぼんやりとそんな事を思いながら、ふと視線を下にやった。 ソファーに座るオレの膝を枕代わりにして規則的に呼吸を繰り返す男鹿は起きる気配がない。 媚薬でも飲まされたかのように乱れ捲ったこいつが嘘だったかのように満足げに眠っている。 “あれ”はなんだったのか? “あれ”もまたスーパーミルクタイムの後遺症とでも言うのか。 後遺症、というか僅かだが効果がまだ身体に残っていたと考える方が近いかもしれない。 セックスは互いに深く相手の中に潜り込む。相手に合わせ、時に乱れ、ひとつになる。 スーパーミルクタイムも同様にベル坊と男鹿の意識が混じり合う技だ。 とは言え、2つの状態が同じ理屈とは思えないが――・・・。 それでも。 スーパーミルクタイム=ベル坊と男鹿の意識が混じり合う状態とし、オレと男鹿の意識がより近く同調して いたのがセックスの最中、と考えれば(否、男鹿は超絶否定するだろうが)ベル坊との時のようにひとつに 混じり合わず、中途半端に同調してしまった男鹿がオレとひとつになりたがった故の言動、だったらなんて。 『もっと、禅』 「・・・・健気だよな。愛されすぎて腰がいてぇ」 歳か?なんて呟くオレの顔はきっと緩んでいる。 さぁ。 愛しい可愛い恋人様を起こそうか。 煩く喚く口には口づけをして塞ごう、暴れる四肢は押さえこんでお姫様抱っこしてやる。 自分から誘いまくったこと、覚えていないってなら全部教えてやるよ。 真っ赤になって悪態をつく男鹿が安易に想像できて、オレは笑いながら眠る愛し子の頬へ手を伸ばした。 END |
禅辰です。甘甘・・・・甘い禅辰が読みたいとです。私が。
宣言してたとおりやっぱりこうなってしまいました、そして男鹿さんが可愛い感じになってしまいました。
クールが売りなウチの男鹿さんですが、すみません。やらかした感満載です。
後悔はない。
喘がない・誘わない・デレないが三原則だったのに・・・ええぇ、と思われた方すみません。
後悔はない。