「嫁ってゆーくらいなら、きちんと奉仕してやんねーとな?」


いえ、オレ頼んでませんけど。

ニヤリと口角を吊りあげて笑う神崎の、にじり寄りながら放つその不穏な気配ににゾッと身を震わせながら

男鹿は虫を払うかのようにシッシ、と手を振った。















ことの発端は王臣紋について、説明をしていた際にラミアが発した科白の所為だ。

嫁。

王臣紋を継承したものはその主であるものに生涯つき従うものであり、すなわちそれは『嫁』のようなもの。

ラミアは邦枝を冷やかしてからかうためにそう言った。

しかし王臣紋をもつものは邦枝だけではない。すでに“ 1 ”を継承しているものがいる。

その“ 1 ”のナンバーを持つ神崎は、皆の前では嫌そうに嫁呼ばわりなんてふざけるなと不機嫌

丸出しで抗議していたはず。

はずだが、はずなのに、男鹿は今、小さな攻防の末神崎にジワリとベッドの壁際に追い詰められ

始めていた。喧嘩やなんだと拳を交える事に関しては譲らないし負けも引きもしないが、

こう言った性的な事にはめっぽう弱かった。身体を重ねた事がないとは言わないが、始める前には必ず

こうやって暗黙の攻防がベッドの上にて繰り広げられるのだ。

頼れる本妻が戻ってくるのを焦り気味に伺ってみてもドア一枚隔てた向こうからは足音も一切聞こえない。

タイミングよくうつらうつらし始めたベル坊を隣の部屋に寝かせていったヒルダは、どうやら余計な気を

使って邦枝達と外へ出ていってしまったらしい。

いつ神崎との関係を知られてしまったのかは定かでないが、こういう優しさはいらない。

本当心底いらないと男鹿は思う。

今頃ドヤ顔で電信柱の上から見下ろしているあの女とはいつか対等に話し合う必要がありそうだ。


「おい男鹿、嫁が奉仕してやるっつってんだ、大人しく股開け」

「それが夫に向かっていうセリフか!!どんな嫁だ怖い!!」


差しで喧嘩して負けるはずがない相手。

そう思っているのに、男鹿は本気で抵抗出来ずに終いには防御が崩されズボンを剥ぎ取られる。

返せと近づいた処を狙われてピアスの付いた口唇がすぐさま近づいて重なって。

シャラ、と金属音と漏れた吐息が2人の耳をついた。

恐らく経験値の差だろう。

キスだけで完全に力の抜けてしまった男鹿をベッドに仰向けに寝かせる神崎の手は驚くほど優しい。

格好や態度は不良そのものだが、基本彼は育ちの良さゆえ真摯である。

だがそんな彼も恋人の艶姿の前ではただの下半身バカだ。最後の砦である下着も奪われて僅かに

反応を見せる男鹿の下肢に、一度下唇をぺろりと舐めてみせてから楽しそうに食らいついた。


「っぁう、ん!ん!」


最初から刺激の強いディープスロートで始まった神崎の口淫に男鹿の身体がビクつく。

嘘だろ、というような驚愕に見開かれた目は仕掛けた男の劣情を大いに煽った。

不意打ちの攻撃に喘ぎを完全に噛み殺す事も出来ず、鼻から漏れる常より高めのそれが

更に煽りをかける。のけ反る首筋にだってしゃぶりつきたい。


(この普段との差がなぁ・・・エロいんだよなぁ。自慢したい誰かに。見せてやんねーけど)


舌を使って巧みに裏筋をねぶってやれば、男鹿はあっけなく悲鳴を上げて精を吐きだした。特にそれを

美味いと思った事はなかったが、神崎はいつも口に放たれたものを飲み込む。

一番の理由は、真っ赤になりながらも何故吐きださないのか、と怒ってくる恋人が可愛いから、

だが本人には伝えていない。言ったら二度とさせてもらえなさそうだからである。

精液の伝った口唇を拭いながらふと男鹿の手元を見やれば、無意識だろう結構な強い力で

掴まれた頭部から抜け落ちた金色の髪が数本、指に絡まっていて。

痛かったが悪くはない、と神崎はほくそ笑む。

何はともあれ手癖の悪い猫は大人しくなった時を狙うのが最適。つまり今が完全にその気にさせる時だ。


「取りあえず・・・いただきます?」


細くも綺麗に筋肉を付けた、男鹿の長い脚を大きく左右に開いて腰が浮くまで持ち上げる。

すでに、はくはくと呼吸をするかのように開閉する後ろの窄まりに、こっそりいつでも使えるようにと

ポケットに忍ばせていた小さなボトルを取り出して、中身をすべてそこへ垂れ流した。

ローションの冷たさからか暴れ始めた身体を無理矢理上から抑え込んで、ヌメりを帯びた窄まりに

指を潜らせていく。緊張に強張った肉の輪の力を抜かせるようにゆっくりと。

丁寧な指の動きにこれから何をされるか悟った男鹿は、硬く目を閉じて羞恥とも呼べるこの時が過ぎるのを

ひたすら待つしかなかった。


「あ、ぁや、やっ・・・も、嫌だって、い・・・あッ・・・・神崎の、バカや、ろっ・・・!」

「愛する嫁が夫に身を捧げてんだぞ、嫌だはねーだろ」

「捧げて、んのはっ・・・オレ、あ、ぁっ!」


早くも3本の指を銜え込んだ窄まりの内側をぐい、と開きながら引き抜いていく。

強く擦られつつ抜け出ていく摩擦の感触にすら、男鹿は身を震わせて喘いだ。

赤くぽってりと膨らんだそこに、ひたと熱い何かがキスをする。

反射的に開いた先に見えた、獰猛な目をした男。今にも取って食われそうなほど昂奮と欲に満ちた目が

男鹿の乱れる様をずっと見据えている。見られていたのだ。

恥ずかしくてどうにかなってしまいそうな心を、そんな欲に満ちた男が待つはずがない。己の尻に

宛がわれた熱の正体を理解した男鹿が待て、と声を発する前に、ニヤリとひとつ。








「愛してやるよ、旦那様」




























終わらないベッドの軋みと嬌声と。

彼ら2人は、我関せずで無視を決め込んでいる、隣部屋の実姉に感謝と謝罪の土下座の

ひとつくらいはすべきであるに違いない。













END













こないだの王臣紋の説明の巻は萌えた・・・はげ萌えた・・・!!
いっしゅん神崎受けもいいなと思ったことは内緒だぞ。
久々小説打ったので文章むちゃくちゃですねはずかしwww
微妙なエロで超短文なんですけど楽しんでもらえたならば幸いです。