目が覚めたら隣にあったはずの温もりが消えていた。

いや、まだほんのりと布団の中が温かい事を考えれば、布団を抜け出してから

幾分と経っていないようだ。

つい先ほどまでこの腕の中にいたはずなのに、冷めた恋人は朝のゆっくりとした2人の

時間すら味あわせてくれないのか。これが照れ隠しであれば可愛い奴だと思えた

だろうが、あの恋人―・・・男鹿に限って絶対にそれはあり得ないだろう。

はぁ、とため息がでてしまうのは赦して欲しい。もっと愛が欲しい。

僅かに残るつれない恋人の残り香を、シーツに顔を埋めるようにして吸いこむと昨日の

激しい情事を思い出す。

近頃は随分と与えられる欲に素直で、たまにだが良い声を聞かせてくれる。

本人は実に不本意そうだが、焦らしてやると見せる物欲しそうな表情などは、危うく

こちらが先にイカされそうになるくらいの破壊力があった。


(あぁ、そういや後ろだけでイクときのあの締め付けはやべーよなぁ)


前に触れずとも後ろだけで快感を拾う事が出来るようになった男鹿の身体。

最初の頃は痛いだの恥ずかしいだの暴れるだけ暴れて、到底セックスしましたなんて

言えるものではなかったのに。

自分がそう変えたのだと思うと顔がにやける。

恋人の残り香と脳裏に焼きついた数多の鮮明な記憶に、下肢が反応し始めた。


(・・・・・・・っ・・)


バサリと掛け布団を捲り、全裸のままで足早にバスルームへ掛けていく。

理由なんて知れた事。

恐らくバスルームには己がしこたま胎の中に出した精液を、掻きだすのに苦労している

だろう男鹿がいるはずだから。手伝ってやらないと。









「・・・・ぅわ!!何入ってきてんだ東条!!このエロッ変態ッ」

「指、めいっぱい突っ込んだところで届かねーだろうから手伝いに来た」

「余計な御世話だ!出てけよ・・・あ、や・・・め、っ!!」


怖々と、形の良い尻の狭間に存在する小さな窄まりに2本の指を突き入れて、出し入れ

させる男鹿の想像以上にいやらしい後ろ姿に煽られ、堪らず背後から抱きしめる。

油断していた男鹿は心底驚いたのだろう。

咄嗟に反応出来ずに強張ったままの身体を冷たいタイルの壁に押し付け、これ幸いと

腰だけを突き出した姿勢をとらせると、グリ、とすでに臨戦状態の下肢を割り開いた

双丘の奥に宛がい、最奥まで一突きで埋没させた。


「ひっィ!!」

「まだやらけーなぁ、俺サイズでぴったし」

「し、死ねっ・・・!ア、ぁっ・・・」


先ほどまで弄っていた所為かはたまた昨日の激しい行為の名残か。

赤くぽってりと腫れた窄まりはまるで受け入れる為にあるかのように己の形に広がり、

暖かな内側は肉に吸いつくように纏わりついてさらに奥へと飲み込んでいく。

本当に素直になったものだ、と思う。


「あ、そういや男鹿」

「・・・んっだ、よ・・・ぁ、はっ・・・・・と・・・う、じょ・・・?」


ぴたりと律動をとめれば不安げな声。

あぁ可愛い。

これは俺のモノなのだ。誰にも触れさせやしない。

好きだ。











「おはよーさん」

「・・・・・・・いまさらかい!!」










思わず後ろを振り返って怒鳴る男鹿の口唇を、塞ぐために首を伸ばした。
















                                  13: おはよう





















― 男鹿side ―




気持ち良さそうに鼾をかきながら眠る東条の腕の中を、起こさぬよう這い出てバスルーム

へ向かう。ヒヤリとしたタイルの冷たさに一瞬足が止まるが構っていられぬ事態が

己の身体に起こっているのだ。手早くシャワーの蛇口をひねってお湯を出す。


(マジ最悪だあの野郎・・・・毎回毎回)


ホッとするような温かいシャワーを身体に浴びさせた矢先、内側からドロリとしたものが

溢れだした。未だ慣れないその不快感。

知らずと開閉する窄まりから太ももを伝って排水溝へお湯と共に流れていく。

こぷ、と胎の中を逆流して流れ出ていくそれに、身体が震えた。まだ止まらない。


(だああああああ気持ち悪いっ!羞恥で死ねるぞこれ!)


止めろと言っても聞かない自分本意なあの男は必ずと言っていいほどセックスをすれば

吐き出す全ての精液を内側に注ぎ込んでくる。

しかも最も深い場所へだ、それこそ畜生の種付けの如く深く、大量の精を。

思い返せば初めての時から中に出されたような気がするが、ちょっと待てよあの男。

ゴムとか着けてした事あったか。

そうだ、今度襲われたらゴムを着けなきゃさせてやらん、と言ってやろう。

ともすれば毎回このような羞恥に見舞われる事もなくなるはずだ。

良い事を思いついたとばかりに今後のセックス事情に1人納得して、ようやくこれから

本題であるやらねばならぬ事の為に覚悟を決めるのだった。

まだまだ胎の中に治まっているであろう男の精液をすべて掻きだしてしまわねば。


「・・・しかし自分の指突っ込むのって怖いんだよな・・・」


そろり、とまだ熱を孕んで柔らかい尻奥の窄まりに指を這わせる。

先ほど流れ出た精液で濡れたそこはすんなりと指を迎え入れた。

届かない。

指の本数を増やして少し大胆に出し入れさせてみるが、かなり奥に放たれた所為か

掻きだすことが出来ない。しかも時々狙ってもないのに良い処を掠める。

ぬちゃ、ぬちゅ、シャワーの音に混じって卑猥な音が響き渡る狭いバスルーム。

「アッ、やぁっ」漏れる声も布団の中以上に抑える事が出来ない。

そんな己の恥ずかしい、自慰ともとれる後処理を、まさか見られていただなんて。





知らないし、知りたくもなかった。
















END










キスのお題その19。
もはやキスというか微エロがメインなお題な感じになって申し訳ない。
最後の虎辰です。なんか「おはよう」からのキスっていうと、こう、ベッドの中で互いに顔向き合わせてはみかみながら
チュッみたいな可愛いシチュエーションで書かれてるの多いのに。何故かセイギが書くとこうなりました。
楽しんでいただければ幸いです。ありがとうございました。