「可愛く笑ったところが見てみたい」 好きだから付き合ってくれと告白して、別にいいぜお前退屈しねーしと返された、 何とも恋人同士になったのかなってないのか微妙な関係になって間もない頃。 俺は男鹿の、なんて言うかこう、ほにゃっと可愛らしく笑う顔がみたくて、 そうストレートに言ったことがあった。 だってアイツにゃ曲げて言っても通じない。 好きな相手の笑顔って、見たいと思うものだろう? なのに何故アイツは同じ男なのに男心というものが解らないのか―・・・ 言った瞬間右フックが飛んできた。 本当に気性の荒いやつだな、そういや近所でウロついてるこげ茶色の猫も 呼んだだけでカッと牙をむいてくる。あんなに可愛いのにカッて。 ・・・・・話がそれた。 しかし酷い話だろう?告白の返しば微妙だったが一応付き合っている・・・のだ。 (と、思うんだがなぁ・・・ちゅーしたし) した後、幸せの余韻をかみ締める暇もなく鳩尾に膝を入れてきやがったけれど。 (セックスもしたしな) 始めの頃は暴れるわ蹴るわ殴るわの、エゲツナイ大乱闘だったけれど。 そんなこんなで俺は男鹿の笑った顔を見るために色々色々やってきた。 コロッケが好物だと聞けば美味いと評判の肉屋に買いに走ったし。 土下座が好きだと聞けば、男鹿に喧嘩を売ろうとしているやつらを叩きのめして アイツの前に突き出してやったし。あの時の男鹿は女王のようだった。 他にも出来る範囲はやりつくしたと思う。 けれど何をしようが俺に笑いかけてくれる事はなかったのだ。 だが最近になって気づいたことがある。 俺が寄って撫でて猫可愛がりしているときの男鹿は本当に無反応だ。 基本好きにさせてはくれるが、気に入らないと手足が出るし、常に鬱陶しそうで。 実は嫌われてるんじゃないかってくらい、ツレないのだが。 一度部屋に呼んだ時、男鹿を構わなかったことがあった。 呼んだのは良いがその日は眠たくて眠たくて、ベッドで寝てしまいそうになって しまった時のことだ。 腹の上に重みを感じると思い、落ちようとする意識を無理矢理浮上させて 瞼を持ち上げるとそこには・・・・・むくれ顔でTシャツを自分から脱ぎだす、 マウントポジションをとった男鹿の姿があるではないか。 そして何事かとその様子を凝視していた俺に向かって。 『ムカつく』 と、吐き捨てた後ガチリと歯と歯がぶつかるくらいのキスを寄越してきたのだ。 それはもう、眠気もふっとぶほどの情熱的な。 ぬるりと侵入してきた熱い舌に煽られる。 懸命に絡めてくる健気さが可愛い。「ン、」と鼻から漏れる喘ぎにも似たそれ。 息継ぎの合間に離れる口唇からは濡れた音ばかりが聞こえて。 切なげに寄せられた眉、赤く染まった頬に口唇。 珍しい男鹿からの積極的なディープキスだ、こんなチャンスめったにない。 心の中で嬉しさに小躍りしながら、思う存分堪能させてもらったのだった。 「―・・で?気づいた事ってなんだったんスか」 「おいおい聞いてて解らなかったのか?男鹿はな、庄司」 聞いてしまった。 告白劇から一連の惚気という過程をすべて聞かされた相沢は正直ウンザリというか ゲンナリしながらも、「質問してこいよテメー」オーラを放つ東条に逆らえるはずもなく。 尋ねてしまった。 「あれだよ、ツンデレって知ってるかツンデレ。ツンの時の男鹿が―・・・」 「知ってますよ!今しがためっちゃ聞きましたよ!ちなみにデレも!」 「そっか?でな、男鹿がこうカワイーく笑ってくれるまでちょっと 会わないでおこうかと思ってなー」 「・・・はぁ、そうすか」 東条の言いたい事は良くわかる。 解りたくもなかったが相沢には解ってしまった。 要するに少し放置しただけで男鹿があれだけ積極的になったのだから 会わない期間を長くすれば、もっと超特大のデレ姿が見れるのではないか。 その姿が笑顔なのではないか。 実に短絡すぎではあるが幸せそうな東条に意見なんて念仏にしかならない。 だが果たしてその思惑が吉とでるか凶とでるかは――・・・・・・ 「東条テメェ3日も俺を無視たぁ何様だコラアアァァァ!!」 スパーンと3年の教室のドアを破壊する勢いで開けて入ってくる姿は まさにアバレオーガの名に相応しい。最近は子連れオーガだったか? あの男鹿相手にそんな打算、上手くいくはずないよね。 相沢は綺麗に吹っ飛ぶ東条を眺めながら、この人喧嘩強いけどバカなんだよなぁ、 と思ったとかなんとか。 20: ディープキス |
キスのお題その2。
もうお題そのものを無視した感が否めない・・・・・ディープキスってお題をなんだと思っているのか。
色 気 が な い 。
そして東条さんがWJ42号に感化されすぎた。
ウチの虎辰のスタンスは、マイペースで唯我独尊な東条とツンツンデレな女王男鹿・・・だと思う。