「これは君の所為なんだからね?」


そう言って、にこにこと胡散臭い笑みを浮かべる男が此方に近づいてくる。

何がどうなってこの状況に陥ったのかは覚えていないが、理解できる事は只一つ。

朦朧とする意識、鉛を付けた様に上手く動かない四肢。

要するに今、何をされても殺されかけたって、オレは指一本動かせないヤバイ状態だと

言うことだ。痛みはない、とすれば殴られた訳ではないのだろう。

霞む視界で辺りを見渡しても見覚えがまったくない。此処が何処かすら解らない。

ひんやりと冷たいコンクリートの部屋、窓ガラスに辛うじて引っかかっているカーテンは

痛んで破れかかっている。他には何もない。

それだけでこの部屋が随分と使用されていない事が安易に解る。

もしくは廃墟かも知れないが―・・・・。


「今何考えてんの?どうやって逃げようかって、考えてる?」


パイプベッドの上に横たわるオレの目の前まで歩み寄ってきた男が視線を

合わせるようにしゃがみ込んだ。人を見下す底冷えするような冷めた目つき。

普段人の視線など気にしないが、今日に限って居心地悪く感じるのは何も身につけて

いないからに違いない。気づいた時には丸裸にされていたのだ。

肌に直接あたる質の悪いシーツの感触が不快感を催す。


「逃げちゃってもいいよ、ただ動けないだろうけどねー?」

「・・・・・ざ、けん・・・・な」

「ふざけてなんかないよ。オレ言ったでしょ、必ず君を奪うって・・・・まぁ取りあえず
 手初めに、オレを覚えてもらう為に身体に教え込んでやろうと思って」


君、バカなのかちっとも覚えてくれないから仕方なくこうしてるんだよ。

クスクスと楽しそうに笑いながら言う男は同じ学校の夏目という男だ。

そういえば以前校舎でばったり会った時だったかそんな事を言われた気がする。

あの時は特別気にも留めてなかったがまさかここまでするとは。

夏目の言う通り、この身体では逃げるどころか自分で起き上がる事も出来ないだろう。

ましてや声すらまともに発せないのに助けなど。


「っ・・・・・!?」


少しづつ繋がる記憶を整理していた最中、ふいに夏目が行動し始めたのに気づく。

突然前触れもなく下腹部を圧迫される感覚。


「さっきから出したいんじゃない?我慢してるの丸解り。男鹿ちゃんが飲んだあの
 ジュースにね、身体の自由を一時的に奪う神経性の薬を入れてたんだけど、
 あれには副作用として利尿効果があるんだ」


オレが飲んだジュース?

言われてみれば学校から出てくる前に飲んだ覚えがある。そういえばあれは自分で

買ったものじゃない。あれは、どうやって手に入れた?誰lに・・・貰った?


「人をそんな簡単に信用しちゃ、だぁめ」


下腹部から薄い茂みをサラと撫でられて鳥肌が立つ。

続けてその先の萎えた下肢を手で包み込まれ、驚愕に身体が大きく跳ね上がった。

逃げ腰を打ったつもりだったが実際には身体はそこから動いていない。

夏目はくすりと優しげな表情を浮かべて、ベッドの下から取り出した長い管の先端を

包み込んだ下肢の割れ目にひたりと宛がう。

それをどうするつもりかなんて聞きたくもなかった。


「男鹿ちゃん動けないからトイレ行けないし、手伝うから此処で出しちゃおう」

「や、めっ・・・・・・!」


鋭い痛みがそこから脳へ駆け上がってくる。

柔らかい管が押し込まれる度、少しづつ尿道を広げ圧迫されていく痛みと違和感に

パニックを起こしそうだった。反射的にビクつく身体、上がる声。

時間を掛けて膀胱に辿りついた管から、強制的に溜まっていたものが排出されていく。

周到に用意されたバケツに流れていく音が更に羞恥を襲い、堪らず目を背けた。

すべて排出される頃にはオレの頭の中は何も考えられず真っ白に染まっていた。


「お疲れ様。抜いてあげるから暴れないでね、って動けないんだったっけ」

「もうィ、ヤだっ・・・・さわ・・・な・・・」

「ん?抜いたら別のものも出ちゃう?ちょっと反応しちゃってるもんね」

「ッツ・・・・」

「痛みがイイなんて、淫乱。それとも恥ずかしいのがイイのかな」


もしかしてどっちも?

と、耳元で囁きながら、夏目は管の入ったままの下肢を乱暴に抜き始める。

硬度を増すそこを痛いほどに擦られれば、割れ目の隙間から漏れ出した体液が伝って

絡む男の指を濡らしていく。

これ以上の屈辱はない。これ以上は絶対に―・・・・

思うようにならない身体に無理矢理力を込めて動かした手が、どうにか夏目の腕を掴む。

殴ってやろうと思ったところで、限界だった。

一瞬驚いた顔をした夏目だったが、すぐさま女性受けの良さそうな笑みを作り

膀胱まで潜り込んだ管を持ち上げて、クィ、と見せつけるように引っ張ってみせた。

またあの鋭い痛みがそこから襲う。


「抜くよ」


ナカ傷ついたらごめんね、なんて白々しい。

勢いをつけて一気に引き抜かれていく管、その荒々しい行為に尿道が摩擦され

強烈な快感ともいえる痛みが身体中を支配した。


「・・・・―ッあアァ!」


共に吐きだされた白い濁液が腹の上を汚す光景は、何故か他人事のように見えた。

達した所為か生理的に流してしまった涙が目尻から頬を伝いシーツに零れて。

それを見た夏目が何を思ったのか解らないが、これまでの暴行にそぐわない程の

優しげな手つきでオレの乱れた髪の毛に手櫛を入れてきた。



最後の最後まで、あの底冷えするような冷たい目線で此方を見下し。








「ごめんね?でも、これは君の所為なんだからね?」









じっくり覚えるといいよ。

時間はたっぷりあるのだから、と、にこやかに言う夏目の言葉に絶句する。

オレは一刻も早く身体の自由が戻る事を祈るのだった。





















                            
 10: ごめんね

















お題その14。
私は夏目さんを何だと思っているのか・・・いや、でもこんな感じに見えて仕方ないんです。
ちなみにお題「手」から続いています。カテーテルで強制スカプレイって何だ。
ごめんなさいもうやめます(笑)