手を伸ばせばすぐに届く距離。アイツに触れるなどたやすい。 例えば髪の毛、頬、肩、手。 どこにだって、「友人」の俺はさり気なく触れる事が出来る。 ほら今だって凄く無防備に眠るアイツ―・・・・男鹿との距離はほんの数センチ。 遊びに来たかと思えば人のベッドで眠りこけやがってとは言わない。 だって寝顔が堪らないほど可愛い。額丸出しで凄くあどけなくて。 隣で一緒に眠るベル坊と同じ格好だ、ホンモノの親子かお前ら。 「男鹿」 小さく呼んだが反応はない。 ん、と不意に漏れた男鹿の声に、自分の顔が緩むのが解った。 ずっといい友人で「いてやっている」俺は、実はコイツにベタ惚れなのだ。 「起きろよ男鹿ー、俺は寂しいぞー」 改めて意識するともう触りたくて仕方なくて。 見た目よりも柔らかい髪の毛に手櫛を入れる。昔から変わらない猫っ毛だ。 ベッドサイドに肩肘をついて眠る男鹿の表情を眺める。こうやって寝顔を見るのは すごく久しぶりのような気がする。 あの野郎の所為だ。 「最近お前冷たいぞ?そりゃあんだけ重度のお前命なカレシが出来りゃ ダチの俺なんて二の次だろうけどさ」 ぼやいてみるが肝心な相手には、当たり前だが届いていない。 もともと聞かせるつもりもなかったのだが、人の気も知らずに悠々と眠る男鹿に 少なからずムカ、ときたとしてもそうだな、許してもらえるだろう。 むに、と頬を緩く摘んでみたが、少し眉間に皺が寄せただけで身動ぎもしなくて。 ふてぶてしいのに本当、可愛い。 欲目だって解っていても。 閉じると意外に長い睫毛が目立ってて。 薄く開いた口唇の存在に、あぁ、何でかな、イケナイ。ダメだ。 でも。 「自業自得、でしょ」 誘惑に負けた俺は。 一瞬だけ、その口唇を塞いでやった。 01: スライトキス ― オマケ ― 「・・・・・古市」 「あ、起きた。お前人ン家遊びに来て何寝てんだよ」 「古市」 「あぁ?何―・・・・」 「てめー小学校の時もそうやって俺の寝込み襲ったろ」 「は」 中学までは許してやったけど、もーダメだから。 と。 綺麗に口角を上げて笑う男鹿に、俺はどう言い訳しようかと必死で頭を回転させた。 END |
キスのお題その3。古男で軽いキス。
古市はきっとこの先も友人ポジをやめない。堪んなくなってちょっかい出すけど。