平成13年9月17日
大分合同新聞社殿
前略、突然の手紙をお許し願います。我が家は戦中、戦後から一貫して貴紙を愛読しているものです。最近の記事(特に行政側から提供のもの)ついて、突っ込み、追求が足りないのではないでしょうか。以下に気になることを列記しました。
1.田ノ浦人工ビーチ関係
記事1(H13.6.1 朝刊)「主要海水浴場の水質調査」
(気になる点)
田ノ浦は行政(県)が造成した人工ビーチである。他は全て自然海岸である。行政が造成した人工ビーチの、水質検査を同じ行政機関(もちろん担当は相違)が実施するのは、何かおかしい。田ノ浦人工ビーチの水質検査の結果が悪く「不可」で、海水浴は出来ません等と報道発表できますか。少なくとも人工ビーチの検査は、公平性、透明性を期すため第三者機関(委員会)に委託するべきであると思います。報道発表時に、以上の事を行政に質問をして欲しいのです。そうしないと、行政の使い走りになるだけですよ。
また、6月は人工ビーチ内に何回も、赤潮が発生しており、時々異様な臭いが発生しておりました。赤潮発生の原因は、人工ビーチ内が東西の両突堤、離岸堤で外海から遮られ、海水が入れ替わりにくくなり、滞留することによるものです。水質検査の日時も、何か意図的に決定したのではないかと勘ぐりたくなります。
記事2(H13.8.22 朝刊)「今週末まで遊泳禁止」
(気になる点)
現在、別府湾南岸(別府市浜脇から大分市神崎)は、そのほとんどが護岸で守られた人工海岸となっている。唯一田ノ浦が砂浜海岸(人工的ではあるが)である。荒天時、海を浮遊している木切れ、雑木、ゴミ等は波浪により、砂浜海岸の方に打ち上がりにやすいのです。(海面とほぼ垂直にたつ護岸には打ち上がりにくい)このため、南岸唯一の砂浜海岸である田ノ浦人工ビーチに浮遊物が集中する。言い換えると、昔は南岸のほとんどが砂浜海岸であったので、ゴミは1箇所に集中することなく、分散していた。「流木、、、、などが波打ち際に漂着」、漂着ではなく必然的に打ち上げられたのです。
以上のことは、自然の砂浜海岸においては、当然のことです。したがって、原因が明確なため、強風の度にゴミが打ち上げられる事になるのです。昔の浜町、勢家の砂浜では、台風通過後は汀線沿いにゴミの山が生じた。しかし、地元の漁師が木切れ等を拾い集め、風呂やかまどに利用していたので、いつのまにか奇麗になった。一方、砂浜にゴミが打ち上げられるので、海水そのものは透明度が高く奇麗になることは有難いことです。
記事3(H13.2.21)「砂浜ピンチ田ノ浦ビーチ」
記事4(H13.3.28)「田ノ浦ビーチ 凸凹砂浜きれいに」
(気になる点)
離岸堤間にある汀線の砂浜は波浪により、侵食を受けること、一方離岸堤の後背地の砂浜が増加し離岸堤まで繋がるように延びることは、海岸工学の常識である。したがって、汀線の凸凹を直すため、砂を移し変えてもだめ、砂崖の段差は必ず生じる。県大分土木事務所の設計ミスでは。専門家に聞き取りし、もっと追求するべきでは? 自然を破壊して、こういう人工ビーチを造成したが、環境アセスメントを充分したのか。代償は結構大きい気がする。
さらに、最近、東西両突堤の背後の砂浜が陥没するようになった。工事の手抜きでは。国、県の予算で建設土木会社を儲けさせただけではないか?
2.別大国道拡幅関係
記事5(H11.2.21)「別大国道拡幅」
記事6(H12.1.27)「拡幅工事 着々と」
記事7(H12.1.7) 「高崎山海岸線埋め立てヘ」
(気になる点)
地域の活性化、交通渋滞の緩和等を目的にして、自然の海岸線を破壊して(干潮時、護岸下に現れた自然の砂浜が失われた)、よいのでしょうか。埋め立てをする場合、単に地元漁協の了解を得るだけでよいのか? 自然の海岸美は県民共有の財産である。利便性を強調する行政の発表を、そのまま報道するのでなく、唯一の地元紙として、一歩下がり客観的に考察し、片や自然が破壊されてもいいのかというような議論を県民、市民に提起してはどうでしょうか。?(もう時期は遅いが)
3.住吉川関係
記事9(H13.6.30)「住吉川が変わった」
(気になる点)
河口に近い部分は、海の干満の影響を受けます。特に住吉川下流にかかる新川橋付近は、その影響を顕著に受けます。経年測定では条件が同じでなければ、測定結果も連続性がなく、意味を持たない。条件とは、@春夏秋冬、A時間帯(干満潮、大潮、小潮)、B流量(雨が降った直後、雨が降らない時期)等などである。
このため、測定結果が良くなっているといっても条件を明示しなければ無意味。行政の発表にだまされないように。個人的にはそんなに奇麗になっているとは、思えませんが、、、、。また、記事からでは、水質検査をどこが実施したのか不明ですが(多分、市、県の機関か)、行政と利害関係のない第3者機関が実施するべきでは。
もともと、マスコミは行政に対して批判的、懐疑的(良い意味で)であるべきだと思います。その方が社会は健全になる。もう少しチェック機能を発揮するため、勉強して欲しい。最近の長野県、田中県知事(行政側)と記者(マスコミ)との緊張感ある対応の方が望ましいのでは。以上は、読者の声欄などに掲載を希望するものでは決してありません。期待しています。頑張って下さい。