緊急企画2!

謎の宗勧外人部隊
不思議な外人から手渡されたパンフ
その内容は狂気か!?
それとも真理か!?
やはり甘い罠には罠があるのか!?
そしてやっぱりリンよ、お前もかぁぁ!?


 ある日、教皇様から拙者こと宰相に電話があった。教皇様はかなり興奮しており、発言は支離滅裂気味。なにを言いたいのかしばらく理解できなかった。よくよく話を聞いてみると、どうやら非常に凄い物(ブツ)を入手したってことらしい。

 以下、教皇様のお話。


 その日、俺(教皇様)はのびてきた髪を切ろうと思い、床屋を求めて街中を歩き回っていた。俺はつい最近某訓練学校を卒業して、ここS市の配属になったばかりだったので、ぜんぜん街中の様子を知らない。だから「どこそこの床屋は良い」とかいう情報はもちろん、そもそも床屋が街中のどこに存在するのかってことすら知らなかった。で、まあ、しかたがないから街をさまよい、とりあえず適当に目に入った床屋に入ることにしたのだ。

 俺が入った床屋には先客が二人いた。が、特に待つこともなく、すぐに床屋用作業椅子(命名:俺)に座ることができた。ラッキーだ。俺は「全体的にカットだけして」と店員に注文すると、あとはボーッと作業が終わるのを待つことにした。まあ、待つ以外にできることもないのだが。
 そして・・・

 作業中

 しばらく自分の髪の毛が切られていく様を正面にある鏡で黙って見ていたのだが、どうもおかしい。本当にこのカットでいいのか? ちゃんと全体的なバランスを考えながら切ってるんだろうか? なんか変な感じなのだが・・・

 まだ作業中

 完成。作業はすべて終了した。
 そして店員が一言。

「あれぇ、俺、才能ないのかなぁ?」

 おいおいおいおい!!!
 それが切り終わった後に言う床屋のセリフか!? どうりで変だなぁと思ったんだよ。なに、このカット? たしかにこれを見る限り、彼には才能がなさそうだ。ハッキリ言って才能のサの字も感じられない。言うなれば最低だ。だがな、そんなお前に刈られちまった俺の髪、どうしてくれるんだこの野郎!?
 俺は怒りで爆発しそうになっていたが、時すでに遅し。いまさら文句を言ってもどうにもならない。一度刈られた髪はもうもとには戻らないのだ。
 しかたなく不愉快さを我慢して沈黙していると、その店員はさっさと道具を片づけてどこかに行ってしまった。おいおい、一言お詫びの言葉もないのかよ。まったく不愉快な奴だ。才能がないんだから、せめて愛想ぐらい良くすればいいものを。

 そのうちさっきの店員とは違うおばちゃんがあらわれた。どうやら俺の髭を剃る人らしい。このおばちゃんは大丈夫なんだろうか? 不安だ。そんな俺の気持ちも知らずに、おばちゃんは無言のまま熱いタオルで俺の口周りを熱しはじめ、次いで髭剃り用の泡をぬると、おもむろに髭を剃り出した。

 うっ・・・ニンニク臭ぇ!

 おばちゃんの両手はなぜか殺人的なニンニク臭を発していた。髭を剃るため、おばちゃんの手はどうしても俺の鼻そばに位置せざるをえない。そのため、俺はニンニク臭から逃れようにも逃れられない状況にあった。
 なんだ? ここの店員はわざと俺を不愉快にさせようとしてるのか!?
 さすがに文句を言ってやろうと思った。しかし、相手は刃物を俺の肌にあてている。下手なことを言うと下手なことをされるかもしれん。ここは我慢だ。

 イテッ! この野郎、切りやがったな!?

 俺は半狂乱になりそうな自分を必死におさえた。なにせ、まだおばちゃんは刃物で俺の髭を剃っているのだから。ここのイニシアティブはまだおばちゃんの手の中にある。チラリと鏡で痛かった部分を見たら、鼻の頭がザックリ切られていた。最悪。しかし、ここは我慢だ・・・我慢するんだ俺!

 おばちゃんが髭を剃り終わると、俺はさっさと金を払って逃げるようにその床屋をあとにした。こんな不愉快なところにはもう一分たりともいたくない。もう絶対ここには来ないぞ! 頼まれたって来るもんか!
 俺は床屋を出ると、まっすぐ家に向かった。本当はこの後S市に慣れるために街中をブラつく予定だったのだが、このヘアスタイルをあまり人様の前にさらしておきたくなかったし、鼻の頭もズキズキ痛むので、とにかく帰路を急ぐことにした。

 そんな時であった。あの外人に出会ったのは・・・

 俺が家に帰るには歩道橋をわたらないといけないのだが、その歩道橋の上に子供連れの変な外人がいたのだ。外人はどことなくうさんくさげな長髪の白人中年男。口髭とあご髭ともみあげがつながっているのが印象的だ。子供の方はどこにでもいそうな日本人のガキ。どう見ても東洋人。だからであろうか、二人が手を握り合いながら立っている図は、どこかちょっとアンバランスに思えた。まあ、国際化が進む昨今のことだ。別に驚くことでもないのだろう。
 外人と子供はどこかあさっての方向を指差していた。どうやら子供が「あれなに?」と聞いているのに対して、外人が「あれはね・・・」と説明しているようだ。問題なのはその方向には何もないということだ。いったいこの二人はなにを見ているのだろうか?
 まあ、外人とガキがなにしていようと俺には関係ない。俺は特に意識することなく、この二人の横を通り過ぎようとした。
 その時である。
 外人は俺の方へサッと一枚のパンフを差し出した。それがあまりにも自然なフォームだったので、条件反射的にそれを受け取ってしまう。すると、外人とガキは逃げるようにどこかへと行ってしまった。
 いったいなんだったのだろう?
 なんとなく呆気にとられてしまった俺は、その手渡されたパンフを見てみた。

 そこには、狂気としか言い様がない世界が待っていた・・・


 以上、教皇様のお話し終わり。

 電話の内容はだいたいこんなものだった、と思う。なんか床屋のエピソードの方がメインだったような気もするが、ともかく、そのパンフが凄い逸品なのだそうだ。なんでも、基本的にわけがわからないらしい。かろうじて宗教勧誘のものであることは判別できるのだが、なにかが微妙におかしいとか。教皇様はしきりに「狂っているという表現が一番ふさわしい」とおっしゃっていた。うーむ、気になる。ぜひ見てみたい!
 一応、教皇様は電話でもパンフの詳しい内容について説明してくれたのだが、やはり実物を見ないことには、いまいちその凄さが良くわからない。そこで、後日そのパンフを教皇様が届けてくれることになった。

 そして・・・
 それはやって来た!

やって来ちゃいました

 確かにそれは「凄い」としか形容し難いものだった。
 まず第一に驚くのはその表紙。上半分には、デカデカと知らないオッサンの顔がプリントされている。教皇様の話によると、このオッサンはパンフをくれた人と同一人物らしい。そして、そのオッサンを見上げるようなポーズで、左には黒人男性、右には白人女性が書かれている。問題なのはそれ以外のスペースだ。なにやら英単語らしき文字が、不規則に、ありとあらゆる空間を埋め尽くすかのようにギッシリと並んでいるではないか!
 さ、サイコか!?
 冗談抜きで連続殺人犯の手紙とかを連想しちゃうよ、これは。それぐらいこの文字の羅列はなにか異常な雰囲気をかもしだしている。雰囲気というか、腐臭。魚の腐ったようなスメル。
 パンフの下半分には、両手をつきだして天を仰いでいる若い男がプリントされている。その下には「チェック・ミー・アウト!」と日本語で書かれており、英語でも同じように「CHECK ME OUT」と書かれている。

 ここで質問。
 チェック・ミー・アウトってなんですか?

 良く見ると表紙の左端にもなにか書いてある。
 なになに・・・

「オレたちの世代って何かおかしいけど、誰もおかまいなしかよ?」

 へっ?
 どういう意味だろうか?
 いや、言葉の意味はなんとなくわかる。しかし、なぜこのセリフがここに配置されているのかがわからない。この問いかけが何に対して、どんな意図で発せられたものなのか、さっぱり見当がつかない。これ以上の文字は表紙には見当たらないし・・・わからん。まったくもってわからん!

 そもそも、この表紙だけではこれがなんのパンフなのかすらわからない。
 これって大問題なんじゃ? パンフの存在意義とゆーか、なんとゆーか。

 仕方がないので、とりあえず次のページにいってみることにする。とは言っても、実はこのパンフ、4ページしかない。つまり、一枚の紙切れを半分に折っただけ。まあ、一応ページはページなんだろうけど。
 とにかく、次のページである。

やっぱりサイコか?

 そこには二人の人物が対話をしているかのように文章が配置されている。人物の一人は表紙のヒゲ親父。もう一人は下半分で天を仰いでいた若者。二人の顔写真が各文章の左側に交互に配置されているのだ。パッと見は、若者の悩みについてヒゲ親父がアドバイスしてあげている構図に思える。まあ、とりあえず中身を読んでみよう。まず最初の発言はヒゲ親父から。

 最近、どう!?
 夢もキボーも愛もないって?
 使えねえヤツと思われるし、気分はチョベリバでつるんでダベル奴もいないし、ちまたでは悪いニュースばっかか?

 はぁ???
 いきなりなんのことだかサッパリわからんのですけど。突然こんなこと言われても。しかもこの文章の文字、女子高生が書くような丸文字なのだ。なんか気持ち悪い。文章の内容とあいまって不気味さ倍増である。
 とにかく、続きにいってみよう。

 野郎はモテないし、ねえちゃん達はエステで恋する準備中!?
 みんなめちゃくちゃシケてるか喧嘩ばっか。
 みんなはアウト・オブ・眼中。「もオ、どうでもいい!」か。
 どいつもこいつも、ヤル気はないし・・・。
 世界は戦争だらけで、街はますますかん違いしている奴がふえてるし、奴らにからまれたら、マジでうざってー。
 お先真っ暗の世の中・・・だってか。

 恐い、恐いよこの人! なに言ってんだよ!? 『街はますますかん違いしている奴がふえてるし』とか言ってるけど、一番勘違いしてんのはアンタだよ! なんか変だぞ。なにが『めちゃくちゃシケてるか喧嘩ばっか』なんだ? なにが『みんなはアウト・オブ・眼中』なんだ!? なんつーか、年寄りが無理矢理若者言葉を使った時のような不自然さを感じるんだけど、これは拙者の勝手な思いこみですか? でも、間違いなくズレてるよね。なにかが。
 さて、これでヒゲ親父の言葉はおしまい。で、次は若者がそれに答えているみたいな形になっている。が、内容はこんな感じ。

 あんたさァ、「あきらめんな、がんばれよ」なんてEASYに言うけどォ。これが自分の将来って考えらあ、やってらんないつうの!

 いきなり話が噛み合ってねぇ!
 あまりにも唐突すぎる。文章の配置的には、どう見てもヒゲ親父と若者の対話としか思えないんだけど、どうやら二人とも勝手なことしゃべってるみたい。どうなってるんだ? どーゆーことなんだ?
 まあ、いい。続きを見てみよう。

 ちょっとヤクでもくらって、ラリったほうが、イケてるなんて思ったりして。
 だって世の中、競争社会やら、学歴社会やら、もう、うんざり。
 運良くいい会社に入っても、社交なれした奴らと一生つきあって、自分もそんな連中と同じ人間になるとおもうと、やってられねェーけど、そこがこの世ってもんだろ。
 そうそう、外ヅラはきばっとかないとね。
 でもさあ、心の中はMK5。

 あのー、むしろ読んでるこっちがMK5なんですけど。
 一応、わからない人のために説明しておこう。MK5とは、「マジで(M)、切れる(K)、5秒前(5)」の略語(なのか?)だ。女子校生の間で一時期アホみたいに流行ったのだが、その後大方の予想通り消えた。
 しっかし、アレだ、なんというか、「現実社会に不満をもっている若者」の主張のステレオタイプみたいだね。実際にこんなこと考えている奴って本当にいるのかな? 「ヤクでもくらって、ラリったほうが、イケてる」ってのも凄い。たしかに若者のドラッグ問題は現実として存在しているけど、この発想は絶対に間違ってると思うぞ。
 この若者の主張はまだ続く。

 むなしくってさあ、なんで生きてるかなって思ったりして。
 ちょっとでいいから、オレのほう見てよ。愛だろ、愛・・・

 急に女々しくなったな、オイ。ヤクくらってラリってるんじゃなかったのか?

 何か、希望がわいてくるものってないのかよ?
 心の安らぎってやつが持てたらいいのに。
 ホント言うとさあ、まわりにいる連中って、オレを利用してるだけなんだから。世の中シケてんだよね、コレダってものないのかよ?

 凄い、いや、素晴らしい被害妄想である。まわりの人間は自分を利用しているだけだって言うけど、そもそもお前さんに利用価値なんてあるのかにゃ? だってヤクくらってラリってる方がイケてる人間なんでしょ? そんなのがなんの役に立つの? 非常に疑問なんだけど。
 ちなみに、この文章の横には写真があり、そこではこの若者が警察官や女教師、牧師、親に囲まれて肩をすくめたポーズを取っている。そして、その下の吹き出しみたいな部分には「でも、そんなの関係ないよ。どっちみち年をとる前に死んじまうんだから。」という、意味不明なネガティブ発言が。なんつーか・・・マジで恐いよ、このパンフ。
 さて、これで2ページ目は終わり、3ページに入る。文章はまだ若者の主張のまま。

 ホントのオレのことなんて、みんな、しかとぶっこいてるし、オレたちの世代って何かおかしいけど、誰もおカマイなしみたいな・・・。
 オトナたちは「おまえら無恥なんだから黙って座って、頭ん中に詰め込んでもらえ」だし。
 オレたちの言うことなんか、聞く気もない。ただ、ガキあつかい。
 「黙って聞いてろ。ツベコベ言うな!」
 「レールに乗るんだ。おとなしく型にはまってればいいんだよ」だって。
 でも、そんなの関係ないよ。どっちみち年を取る前に死んじまうんだから。

 なんか、読んでいるこっちが恥ずかしくなってくる文章内容なんだけど。ホント、マスコミなんか針小棒大にして取り上げる典型的な若者の主張ってやつだね。しかも本当は寂しがり家っていうお約束つき。『ホントのオレのことなんて、みんな、しかとぶっこいてるし』ってあたりが笑わせる。もし諸君の周りにこんなこと言う奴がいたら、面とむかって「甘ったれんな」と言ってあげよう。もしくは殴ろう。グーで。

 オレの生きている内にオゾン層はなくなっちまうし、おまけにガンやら、エボラ出血熱やら、麻薬やら、犯罪やらでおだぶつかもしれないじゃん。
 マジでブッソーな世の中って感じ。

 おいおい、エボラガン麻薬って同じレベルの話か!?
 ガンと麻薬だって厳密に言えば違うぞ。ガンはかかりたくなくてもかかっちゃう病気だし、麻薬は自分が望んでするもんだし。しかも、オゾン層って・・・そんなに未来に希望が持てないのか、この若者は? まあ、そういう悲観的な人を宗勧は獲物にするんだろうけど。それにしても悲観的すぎる気がするが。

 オレの言いたいこと、わかる?
 それにさあ、核ボタンの鍵持った奴がちまよったらオレたちゃ、一瞬であの世行みたいな。

 もちろんお前さんの言いたいことはわからん。ってゆーか、こういうのをまさに杞憂って言うんだろうね。お、なんか難しい言葉が登場。わからない人は辞書を引いてみよう!
 さて、この若者の主張もいよいよクライマックス。これが最後の段落だ。

 だから、今のことだけ考えてりゃいいじゃん。
 ダベル奴はまあまあいるけど、自分で何いってるか、さっぱりわかってないんだよね。
 けどさ、ここだけの話だけどォ。
 夜とか、一人でいると、恐くなるんだ。
 ふとんで寝てても、不安で不安でたまらなくなって。
 夢ん中で何か必死こいて叫んでるんだよね。
 「まんぞくできる本当のものがほしい!」ってさ。

 とりあえずこの若者には精神病院に行くことをお勧めしたい。いや、だって、ねぇ。ちょっと異常だよ、これは。本当にこんな人がいたらヤバイって。不安で不安でたまらないのに、「まんぞくできる本当のものがほしい!」だなんて、完全にイッちゃってるって。これを読んでるこっちの方が不安になってくるぐらいだよ。ハッ、まてよ、これこそが奴等の狙いなのかもしれない。このパンフを読んでいろんな意味で不安になった心を攻める・・・うーむ、もしそうだとしたら恐るべき深慮遠謀な宗勧だ。

 さて、今度はヒゲ親父の文章が始まる。

 おい、ちゃんと聞かせてもらったぜ。

 あれ、やっぱりこれって対話になってるじゃん。
 じゃあ、出だしの会話が噛み合ってなかったのはなぜ?
 まあ、いいや。続き。

 いいこと教えるぜ。今日、オマエを自由にしてやるよ!
 これがオマエの姿かよ!
 答があるんだ。オレはマジで言ってんだ。
 こっちのパワーは、そんなもんよりずっとバカデカいんだぜ。
 何でも変えちまうパワーだぜ。
 ナイフや銃や戦争のことじゃない。「愛」のことだ。
 めちゃめちゃスゲーパワーで全快バーリー。そりゃあ、すげーパワーさ。
 落ち込んでいる時には、オレがいつもそばにいてやるよ。オマエへの愛は本物なんだぜ。心の安らぎもちゃんと、あるぜ!

 これまたなに言ってんだかさっぱりわからんな。まるで高熱で頭をやられた病人のうわごとみたいだ。『答えがあるんだ』って、なんの答えだよ!? ぜんぜん話が見えないヨ!? 恐い。非常に恐い。このパンフを読んでると、自分が精神的に不安定になっていくのがハッキリとわかる。狂気の世界の入り口に自分が立っている感じすらする。マジ恐いよー! 助けてー!

 それはともかく、『全快バーリー』はカックいいネ!
 拙者も全快バーリーになりたい。

 これで3ページ目は終わりなんだけど、結局このパンフがなにを言いたいのかってことが、いまだにさっぱりわからない。宗教の勧誘がくれるパンフにもいろいろあるけれど、これはかなり異質だ。だって本当に宗教勧誘のパンフであるかどうかすらも良くわからないんだもん。ハッキリ言ってこのパンフ、文章的にもそうだけど、内容的にもブッ壊れてるよ。

 さて、一応最後の4ページ目も眼を通しておくことにしよう。

マジやばいって、これは

 おそらく前のページから文章的につながった構成と思われる。
 つまり最初のセリフはヒゲ親父のものってこと。
 具体的な文章内容はこうだ。

 どえらい変化が起こるんだ。オレの言っていること、わかるだろ!

 だからわからないって。
 少なくとも今までの内容はさっぱり理解できん。

 感じるだろう。ただ信じればいいんだ。ただの一時的な変化じゃないぜ。
 ホントの愛のパワー、そいつをオマエにやりたいんだ。
 ただ、オレを呼んでくれ。そして試してみな。
 オレのこと、ヤボの石頭で、ダセーって聞いてたって。
 時代遅れもいいとこで、あの世にいるって。
 ところがどっこい、バリバリの現役なんだぜ。ちょっと、試してみな。
 オレの名は「ジーザス」。そう、イエス・キリストさ。

 うそ!? あんたキリスト様本人なの!? やっと宗教の勧誘らしくなってきたと思ったら、なんて大胆発言。ビックリだ。しっかしやけに軽いキリスト様だな。このノリはなんなんだ? キリスト様がいる天国ではこんなノリが流行しているのか? 嫌な天国だな、オイ。それに、さかんに『試してみな』って言ってるけど、なにをどう試すというんだろ? 入信しろってことか? キリスト教に?

 オレの愛はタダなんだ。
 オマエのこと愛してるから、オマエのために死んだんだ。

 なんか凄いこと言ってるんですけど、この自称キリスト様。どうもイエス・キリストのことを勘違いしているような。まあ、キリスト様のことをどう解釈しようと、それは個人の自由だけどさ、でも、『オマエのこと愛してるから、オマエのために死んだんだ。』ってのは違うと思うぞ。それに『オレの愛はタダなんだ』ってのも、妙に俗っぽいよなぁ。本当にそんなことキリスト様が思ってたのか? 聖書に「神の愛はタダです」とか書いてたっけ?

 マジで言ってるんだから、試してみろよ。
 心に入ってくれって頼めばいいんだぜ!
 「ヘイ、ジーザス、マジで言ってんかよ?
 そんなら、見せてくれよ。今日、あんたを受け入れるからよ。
 大勢のヤツラに頭を混乱させられちゃって、もう何にもわらんなくなっちまったんだ。だから、あんたをやってみるよ。
 このどうしようもないブルーな気分をリセットしたいんだ。
 代わりに安らぎをくれ。何か、確かなものをくれ。オレには助けが必要だ。新しいスタートが必要なんだよ。
 だから、頼むよ、オレの心に入ってくれよ。」

 『試してみろ』って言ってるけど、この文章内のセリフって「神様、私の中に入って下さい」というお願いだよね。こんなこと言うのって、ズッポリ宗教にハマっちゃってる人間以外にはいないんじゃないの? もう試すってレベルの話じゃないと思うんだけど。それに、このパンフ見てそういう「試す」気持ちになる人っているか? いないと思うけどなァ。だって拙者は恐いもん、このパンフ。なんか精神的にチャレンジしている感じがビンビン伝わってくるし。こんな狂った世界をあえて覗こうとは思わないけどなぁ。
 さて、いよいよ最後の文章。

 簡単だろ。言ってること、わかったろ。
 この愛があれば、もっとハイになれるんだ。この愛は、君の痛みや苦しみを吹き飛ばす。
 一生、絶対になくならない愛。
 この愛のパワーは最高にキマってて、めちゃくちゃイケてるんだぜ。
 岩みたいにしっかりしてて、一瞬でいっちまうのとは、まるでダンチだぜ。
 そんなのマジかよとおもうなら、トライしてみな。
 チェック・ミー・アウト!

 オレこそ、
 オマエの探していた通りの
 やつさ。
 ジーザスより

 結局、最後までわけがわからんかった。だいたい『ジーザスより』ってさ、正気かよ? 恐いねぇ・・・世の中には、これほどまでに住んでいる精神世界が違う人間が存在するのか・・・
 この最後の文章の右側には、ヒゲ親父と若者が肩を組んで笑っている写真があり、その下には「YOUR MAN JESUS」と書かれている。どうも、このヒゲ親父はキリスト様らしい。よくよく考えてみると、このパンフは悩める若者(読者)をキリスト様が導く、というシナリオになっているとも解釈できる。わけわかんないけど。ってゆーか、あまりにも文章の電波っぷりが衝撃的すぎる。内容を吟味する精神的余裕が生まれない。なんつーか、ただただひたすらに恐いのよ、このパンフって。

 確かに、教皇様の言ってたことは正しかった。このパンフ、狂ってるとしか形容のしようがない。とにかく恐い。まさに狂気の世界だ。脳のどこかがブッ壊れてるとしか思えない。

 ちなみに最後の文章のさらに下、欄外のところに小さくこう書いてあった。

 もっと知りたいって?
 オレの友だちに手紙くれよな。

 誰が手紙なんて書くか!
 絶対に拙者はこいつらとは関わる気はないぞ。だが、どうしてもこいつらと関わってみたいという奇特な方がいらしたら、当結社まで連絡してもらいたい。手紙の宛先をお教えしよう。いないとは思うけど。いや、いないことを祈る。キリスト様以外に。

 あと、このパンフにはなんとインターネットサイトのURLも書いてあった。どうもこいつらは結構大きな団体で、ネット世界にも大々的に進出しているらしい。なんか嫌だなぁ。とりあえずこのURLはここで公開しておこう。見るも見ないも諸君次第である。

http://www.thefamily.org/(英語)

 あ、そうそう、こいつらって団体名が良くわからないんだよね。パンフにはそこら辺まったく書いてなかったし。←おかしいって
 で、上記URLのサイトを表紙だけ見てみたのだが、どうもこの団体は「ファミリー」という名称っぽい。正確なところは不明だが。調べる気にもならないし。誰かこの団体について詳しい情報を持っている人、ぜひ拙者に教えて・・・くれなくていいです。もうこれ以上この団体とは関わり合いたくないんで。

お・し・ま・い


ちなみに、この緊急企画は決して「ファミリー」さんをけなす意図をもって書かれたものではありません。もしこれを読んでご立腹された方がいましたら、ここにお詫び申し上げます。ただ、貴方がご立腹するぐらい、我々の感覚と貴方の感覚にズレがあることだけはわかってくださいませ。そして、望むらくはそのズレを許容してもらいたいものです。
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