よいこの日本語講座

【 第三回 】


 日本語講座も三回目です。って、そんな書き出しの能書きはもういいですよね。少なくとも拙者はもういいです。皆さんはいいですか? え、いい? いいのは誰ですか? 拙者ですか?
 そんなわけでさっそく本題に入らせていただきましょう。今回のテーマはコレ!

今回のテーマ

野郎

 一昔前の海外ドラマの邦題では、よく「○○野郎」ってついていましたよね。例えば…。

特攻野郎Aチーム

冒険野郎マクガイバー

白バイ野郎ジョン&パンチ

 これらのタイトルって、題名を見ただけで心踊りませんか? なんつーか、日常生活では滅多に味わえないスリルと興奮を提供してくれそうな期待感とゆーか、絶対に普通では終わらない、いや、終われない雰囲気とゆーか。そんなワクワク感がこれらのタイトルにはあるんですよね。
 「オイオイ、そんなのお前の気のせいだよ」って思う人は、試しにこれを見て下さい。

特攻Aチーム

冒険マクガイバー

白バイジョン&パンチ

 どうですか? タイトルにほとんど変化は無いのに、この見事なまでのスケールダウンっぷり。あんなに面白そうに思えた番組が、急にショボくなってしまいました。さて、なぜでしょう?

 そう、野郎です。これは「野郎」の魔力なんです!

 例えば、「特攻Aチーム」ってタイトルには元来なんの魅力も無いんです。だって特攻するだけのチームですよ? 第一話で玉砕して終わりじゃないですか。そんなもん面白いわけがない。
 「冒険マクガイバー」も同じです。冒険したいのか、したくないけどするハメになったのか、そこら辺の事情がパッと見ただけじゃわからない。だから本編に対しても「感情移入しづらいんじゃないかなー」とゆー先入観を与えてしまう。
 「白バイジョン&パンチ」なんて論外です。だってジョンもパンチもバイクだし。人じゃないし。

 ところが、これらのタイトルも「野郎」がつくことによって一気に大変身! 玉砕チームは勇敢なチームに、態度が曖昧だったマクガイバーは冒険大好きっ子に、ジョン&パンチはバイクから人間にと、今までパッとしなかったタイトルなのに、急にワクワクドキドキ感が増大してきました。
 なんで「野郎」がついただけでこうも魅力的になるのか…正直な話、その仕組みは良くわかりません。ただ、間違いなく「野郎」という単語には力があるんです。力・・・そう、魔力としか言いようがない未知のパワーが!

 この「野郎」の魔力については、詳しいことがいまだ解明されていないため、業界でもあまり積極的に利用しようとゆー動きはありません。でも、近い将来流行ると思うんですよね。つーか、絶対に流行る。こんな美味しい言葉(魔力)を放っておくわけがないッ!
 そこで当結社では、どこよりも先駆けて新旧の有名TV番組のタイトルに「野郎」をつけてみることにしました。もし以下の番組名が放送各局で採用されることがあれば、それは当結社の影響をうけたからだと思ってもらって間違いありませんヨ!

使用例

チキチキ野郎猛レース

奥様は魔女野郎

救命野郎ER

名犬野郎ジョリー

ケダモノ野郎トム&ジェリー

《解説》
 最初の「チキチキ野郎猛レース」は、頭の悪さを表現する「チキチキ」を「野郎」にかけることによって、テンパった連中が命がけの猛レースを繰り広げるとゆー想像するだに凄まじいイメージを喚起させることができました。これで興奮度アップ!

 「奥様は魔女野郎」「救命野郎ER」の二つは、従来のタイトルに「野郎」の持つバイオレンス&エロスを追加することに成功しました。きっと奥様も救急救命士もマッチョで、ピチピチのボディスーツとかを着用しているに違いありません。ウワァオ! ワンダホー!

 残りの二つは、ただでさえ内容を予想し辛い動物タイトルに「野郎」をつけたため、もうどうなるのか予測不可能です。「名犬野郎」って言われても、なんか獰猛な感じするし。でも名犬だし。「ケダモノ野郎」なんて、これじゃ仲良く喧嘩やってられませんよ? もうガチンコの殺し合いですって、これは。

 これをさらに進化させると、海外ドラマだけじゃなく国内TV番組にも適応させることができます。

進化例

7時のニュース野郎

笑っていいとも野郎

HEY! HEY! 野郎!

8時だよ野郎全員集合!

渡る世間は野郎ばかり

北の野郎の国から

暴れん坊野郎

水戸野郎

《解説2》
 上三つは見るからに荒々しいイメージが生まれていますね。キャスターやパーソナリティが北斗の拳で登場するモヒカンみたいのでも誰も疑問に思わないでしょう。魅力増大です。「HEY! HEY! 野郎!」に至っては明らかに視聴者に対して喧嘩売ってます。これでアドレナリン噴出&興奮度アップ間違いなしです。でも、視聴者からクレームがついて番組終了の恐れもある諸刃の剣でもあります。

 4、5、6番目は間違いなくホモ系番組ですね。コント、ホームドラマ、旅情ドラマとゆー違いはありますけど、登場人物は全員男。どれもかなり濃い番組になりそうです。
 特に「8時だよ野郎全員集合!」は、一応バラエティ番組なんですけど、なんか油断ができないイメージが感じられませんか? 「シムラ〜、後ろ、後ろッ!」ってゆーおなじみのフレーズも、野郎だけ全員集合しているこの番組では今までとは少し違った意味も生まれてくるような…そんなある意味ドロドロとした雰囲気がとても新鮮で良い感じです。

 最後の二つはもうなんだかわかりません。「暴れん坊野郎」は、時代劇っぽいけど、ただの暴れん坊の様な気もするし。「水戸野郎」なんて暴走族の可能性だってあるし。ただ、そんじょそこらの番組とは一味違うってことは間違いなく視聴者に伝わるでしょう。これは大きい。

 このように日本語は奥が深いです。皆さんは日本語が母国語であり、普段から無意識的に使っているため、大抵その奥深さに気づかずにいます。しかし、やはり日本人なら一応の日本語用法は押さえておきたいものです。皆さんもここで日本語の用法を勉強して、それをどうか忘れずにお子さん、お孫さん、近所の中国人、イラン人へと教えてあげていって下さい。日本語の未来のために!


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