よいこの日本語講座
【 第一回 】
日本語って本当に面白い言語ですよね。言い方をちょっと変えるだけで、意味やニュアンスをまったく違ったものにすることが可能なんですから。この意味の変化、ニュアンスの変化は本当に多彩です。そこが日本語の素晴らしさなんですが、あまりに多彩すぎるため、普段なにげなく使っている言葉でも実は皆さんが気づいていない用法がたくさんあったりします。
そこで、当日本語講座では皆さんに日本語の素晴らしさ、面白さをより理解してもらうために、ちょっと変わった日本語の用法をお教えしたいと思います。
今回のテーマ
長いものには巻かれろ
この言葉にはどうしてもネガティブなイメージがありますが、ちょっと語尾を変えるだけで非常にポジティブなニュアンスに変わります。
ポジティブ例
長いものに巻かれたい
使用例
「なあ、昼飯はなにが食いたい?」
「長いものに巻かれたい」
《解説》
集団で行動している時になにか意見を求められたら、自分がどうでも良いと思っていることでも、きちんと答えないと悪印象を与えてしまいます。例えば「昼飯なに食いたい?」とゆー質問に「なんでもいい」と答えてしまう。すると、消極的だとか、主体性がないとか、真面目に考える気がないとか、時と場合によっては「あなたはいつもいつもそーやって曖昧なことしかいわない!」と修羅場に導かれてしまうこともあり、とにかく良いイメージを相手に与えることができません。
そこで、この語尾変化を利用するわけです。「〜たい」という希望を意味する語尾を使うことによって、質問に対して「どうでもいいよ」というスタンスを示しながらも、多数派の意見に迎合する、いや、むしろ多数派の意見に従う以外ありえないという、自分の多数派迎合の立場を積極的にアピールすることができます。普通、多数派の意見に従う言葉、例えば「みんなの食いたいものでいいよ」とかゆー発言は、消極的なニュアンスを聞き手に与えます。ですが、「長いものに巻かれたい」では逆に積極的印象を与えることが可能です。なんといっても長いものに巻かれることを希望しているんですから。
これがさらに進化するとこうなります。
進化例
「なあ、昼飯はなにが食いたい?」
「俺も」
《解説2》
これは上記の語尾変化をさらに推し進めたもので、「俺も」の一言の中に全てのニュアンスを凝縮させたわけです。なんだかわからないけど「とにかく自分も同意見だ」ということをアピールすることによって、相手に安心感を与えつつ、曖昧な表現で質問を煙にまいてしまう。単純な言葉ながら、これほど巧みな日本語用法も珍しいのではないでしょうか。
このように日本語は奥が深いです。皆さんは日本語が母国語であり、普段から無意識的に使っているため、大抵その奥深さに気づかずにいます。しかし、やはり日本人なら一応の日本語用法は押さえておきたいものです。皆さんもここで日本語の用法を勉強して、それをどうか忘れずにお子さん、お孫さんと教えてあげていって下さい。