保護者の方へ

「地震対処法」と聞くと、「身の安全の確保」「すばやく火の始末」など答えられる人は多いが、実際に新潟中越地震のような大地震が起きたらパニックを起こさず行動することができるでしょうか。防災意識は関心があるようで自分の身にふりかかるまでは後回しにしがちなのが現状です。大地震が起きたときに被害を最小限に留めるためには、日ごろの備え、防災意識を持っておくことがとても大切なのです。

私はこのような防災知識を学齢期より早期である幼児期に持っておくことが必要なのではないかと考え、調査を進めてきました。その結果、多数の方々が幼児期からの防災教育を必要だと考えていることが分かりました。そこで、小さい時から防災知識を学ぶ仕掛けの一つとして、この絵本を作成しました。

なお、この絵本の内容は、家庭内での防災教育があまり浸透していない現状から、子供と一緒に保護者の方にも防災対策を心がけるきっかけにして頂ければと思い、子供にも理解できる「身の安全の確保」ということを目標として、家庭内における地震時の対処法を教えるものになっています。また、子供が主人公と自分を同化させて「なぜ?」という疑問を解いていくなぞなぞのような雰囲気を含めた構成にしました。絵本の対象年齢に関しては、脳の成長期である3歳前後の教育が、子供に大きな影響を与えると考え、3歳からとすることにしました。この内容・構成については、事前に3〜5歳の子供をもつ親を対象に行ったアンケート調査の結果を参考にしております。絵本全体を子供の恐怖心をあおらない楽しいものに仕上げたので、絵本を楽しみながら地震対処法を身につけて頂けたら幸いです。

文化女子大学 住環境学科 助教授 久木章江 
住居デザインコース 4年 土屋絵里