2000年8月30日 初めての産婦人科
行くとなれば早い方がいい。
近所のショッピングセンターの上にあるクリニックへ行くことにした。
普段はパンツ派の私だが、このときばかりは数年来履いていなかったロングスカートを引っぱり出してきて着用。
こわごわとクリニックのドアを開けると、こぢんまりとした待合室には他に患者の姿もなく、テレビの音が小さく鳴っていた。受付を済ませ、ソファに座り待っている間、あたりに目をやると、壁に『開腹手術の方は開腹セットが必要になります』との貼り紙が。
『開腹手術』!! その恐ろしい響き・・・。早くもビビる私であった。
やがて患者がひとり、奥から出てきて帰って行った。 続いて私の名前が呼ばれる。年配の看護婦さんに促され、診察室へと入った。 やや薄暗い感じの部屋で、机の前にDr.が座っていた。思ったよりも若く、30代後半くらいか?
気になる症状を告げると、まずはエコーで診てみましょうということになり、同じ部屋にあったベッドに横になる。お腹を出し、ゼリーのような冷たいヌルヌルしたものを塗られ、機械を当てられる。すぐ脇にモニターのようなものがあって、そこにお腹の中の影が映し出された。
初めて見るエコーの画像は、黒っぽくて、なんだかよく分からない。
と、Dr.が、アッサリ
「筋腫がありますね」。
(えぇっ!)という気持ちと(やっぱり…)という気持ちが同時に沸き起こった。
今の今まで、実は筋腫でも何でもなくて、なにかもっと簡単な症状で、薬でも飲めばすぐ治るんじゃないかと期待してる気持ちもあったのだ。
Dr.はエコーを続けながら、「ほらここに大きい黒いのが見えるでしょう・・・(ここで機械を止め、サイズを計っている)大体7cmくらいあるね。それから奥の方にももう1個、小さいのがあるみたいですねぇ」
(ふ、ふたつも!? それに7cmって・・・デカくない?)
もう既に頭の中はパニックを起こしかけている。
やがてエコーが終わり、いよいよ内診ということになった。先ほどの看護婦さんに内診室へ案内され、部屋に入ったら内側からカギをかけて、下履きを脱いで用意してくださいと言われる。
入ったすぐのところに着替え用のカゴと、バスタオルがあった。スカートでない人は、このタオルで覆うようにとの心配りらしい。
すぐ横に、壁を向いて内診台が設置してあった。一見、美容室の椅子のようにも見える。カーテンの向こうから、看護婦さんが「お支度できましたら、椅子に座ってください」と呼びかけている。椅子に座り、足を両側の台に乗せたが、どうも思っていたよりガバッと開く感じじゃない。椅子も、横たわるというより普通に座っている感じだし・・・ それに向きがカーテンじゃなく、壁向きってどういうことだろ??
やがて看護婦さんが「よろしいですか?」と声をかけ、「ハイ」と返事をすると・・・
椅子がゆっくりと動き始めた! 電動で、壁向きから90℃回転し、カーテンの方へと向かう。そして足を乗せた台が両側に開いてゆき、お尻の下もポコッと落ちるようになっており、いつのまにか自然に内診しやすいような姿勢になっていた。おぉ〜すごい!! しばし感心。
用意ができるとカーテンの向こうにDr.がやってきた。
(内診のときは・・・力を抜いて、深く呼吸すると楽、と書いてあったな〜)と思い出し、落ち着こうと努める。Dr.が声をかけ、内診を始めた。
アラ?・・・思ったよりも辛くない。
経膣エコーといって、子宮の中を見るエコーもした。 ふと横を見ると、ここにもモニターがあり、エコーの様子が見れるようになっていた。Dr.が「ほら、ここにあるのが筋腫ね・・・こちら側は何もないきれいな状態の壁」と説明してくれた。自分の子宮の中が見れる機会なんて、そうそうないんじゃない?
念のため子宮がん検査もしておきましょうということで、それもお願いし、内診終了。身支度を整え、もう一度診察室でDr.の話を聞くことに。
診断結果は、やはり子宮筋腫。
子宮の壁に約7cm大、子宮の外側の後ろの方にもう少し小さいのがひとつある。
普通はこれくらいになると手術する、ということだった。
しゅ、手術・・・! 恐れていた事態になってしまった。
Dr.の話では、手術は開腹で行い、筋腫のみを取り除く。 入院は2週間前後必要、仕事は1ヶ月くらいは休まなければダメ、とのことだった。
予想していたとはいえ、事の展開のついていけない私。 黙ってしまった私を見て、Dr.は「ひどい自覚症状がないということだから、今すぐ決めなくてもいいでしょう。お家の人ともよく相談して。子宮がん検査の結果が1週間後に出るから、そのときまでに考えてきてください」と。
どうしよう、どうしよう・・・ 手術!? お腹を切る!??
1ヶ月も仕事できないなんて! お金はどうするのよ??
自問自答しても答えは出て来ない。
頭が真っ白のまま、家路についた。
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