治療方法

子宮筋腫=必ずしも手術が必要というわけではありません。
生理痛などの辛い自覚症状がある場合や、貧血、他の臓器への圧迫による苦痛、また妊娠・出産の妨げになっている場合など、何らかの症状を改善するために治療が必要になってくるのです。
その治療方法も、各々のライフプランや価値観によってさまざまです。
おおまかには次のようなものがあります。

1.経過観察
辛い自覚症状や貧血などの症状もなく、日常生活に支障のない場合は、特に何も治療せず、定期的に経過を見るだけでよいこともある。
大きさや状態にもよるが、およそ3ヶ月〜半年に一度の検診を行う。

2.薬物療法(GnRHアゴニスト)
「リュープリン」「スプレキュア」「ナサニール」などのホルモン剤を用いて、エストロゲンを抑え疑似閉経状態を作りだし、筋腫の血流を鈍らせるとともに一時的に小さくする方法。
生理がなくなるので、月経過多による貧血の改善にも効果がある。
ただし一度に使用できる期間は4ヶ月〜半年に限られており、根本的な治療にはならないため、閉経が近い場合の『逃げ込み療法』や、手術前の治療の一環として行うのが一般的。
副作用として、のぼせ、異常発汗、肩こり、頭痛、うつ状態、肝機能障害、不正出血、骨量の低下などが見られる。

3.手術
●開腹手術
お腹を開けて行う手術。 およそ10日〜2週間程度の入院が必要。
【子宮筋腫核出術】 子宮筋腫のこぶ(筋腫核)のみを摘出する方法。子宮を温存でき、妊娠・出産も可能という利点があるが、筋腫の再発の可能性が残るという欠点もある。
【腹式単純子宮全摘術】 下腹部を切開して子宮そのものを摘出する方法。筋腫の再発はなくなるが、妊娠・出産はできなくなる。

●膣式単純子宮全摘術
膣壁を切開して子宮を摘出する方法。 下腹部を切開しないので、下腹部に傷ができない、痛みが少ない、などの利点がある。筋腫の再発はなくなるが、妊娠・出産はできなくなる。

●腹腔鏡手術
お腹に小さな穴を開け腹腔鏡を挿入し、テレビモニターでお腹の中を観察しながら行う手術。開腹手術と比べて傷が小さくて済む、体への負担が少ない、術後の回復も早いというメリットがある。ただし視野が狭いので、出血点がわかりにくく止血操作がうまくいかない場合もあり、手術の途中で急に開腹手術に移行せざるを得ない場合もある。Dr.の技術に寄るところが大きい。

●子宮鏡下手術
筋腫を子宮鏡で観察しながら摘出する手術。手術の傷ができないこと、術後の痛みが少なく、早く退院できる、などの利点があるが、一定の条件(子宮筋腫が子宮の中に突出していることなど)を満たしている必要がある。

●子宮動脈塞栓術(UAE)
右太股の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を挿入し、両方の子宮動脈まで先端を誘導した後、その動脈の中に詰め物(塞栓)をすることにより、子宮筋腫を小さくする。子宮は温存され、外見上は太股の付け根に5mm程度の傷ができるだけ、入院期間が短かく(4-〜7日間)日常生活への復帰も早いというメリットがあるが、新しい技術のためまだ実施している病院が限られている。また、この手術は保険適応外の治療手技なので入院中の諸経費の支払いは自費となる。
*子宮動脈塞栓術(UAE)についての詳しい情報はこちら

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