=APERI= アペリ
アパレル実用評価研究所

品質管理の考え方
 …アパレル業界におけるものづくり…

アパレル実用評価研究所
代表     宮本 尚士
TQM(T5乗QM)の推奨

 アパレル業界における繊維製品の品質管理システム導入の本格化は、1970年の大手量販店の商品仕入前検査制度に端を発したと言える。この制度は商品仕入れの際に仕入先に対し受入れ基準を明示し、品質証明書の提出を義務付けたものである。以来、品質に対する取組は急速に高まり、メーカーから小売に至るまで各社とも品質管理部門の設置を図り不良品の撲滅に務めてきた。しかし、40年経った現状はまだ満足できる状態になく、品質上の事故は多く発生している状況である。

 この間、検査機関及び量販店の品質管理部門で経験し、見聞してきた観点から繊維製品の品質管理に対する一つの考え方を提言する。

1.品質とは

  良いか悪いか の観点からみた品物の ありのまま の内容である。

  @良いか悪いかを決める判断基準
     これは時代や用途によって変わるものであり恒久的なものではない。

  Aありのままの内容とは
     読んで字の如く、実際に流通している商品そのものの内容を指し、企画・試作段階の製品の評価ではない。

  ポイント     ○品質基準は時代や用途に合わせて考える。
           ○流通する商品そのものの品質確認をする

2.品質管理とは

  需要に合った品物を、ムラが無く、経済的に、生産するための、経営管理手法
     と定義されています。(日本語は最後に結論が来る。理解しにくい場合は、後から読むと分かりやすい)

  D経営管理手法
    品質管理とは、企業の存続・発展のために行なう管理手法=企業活動を行なう全部門がその対象となる。

   何の管理か
  C生産するための
    物を作ったり、サービスを提供したりする

   どのようにつくるのか
  B経済的に
    ひと・もの・金を最小限にする。費用対効果を考える(損益分岐点)

   その為にはどうするのか
  Aムラが無く
    安定した状態を保ち不良品や作り直しや修正によるロスを無くす

   何をつくるのか
  @需要に合った品物を
    消費者が望み、満足する商品

  ポイント    ○品質管理とは企業の存続・発展の為に行なう経営管理手法である。
          ○消費者が望み、満足する商品を提供することである。

3.品質管理の組立

 

   完成された品質管理のイメージを図示するとこんな感じになる。

   品質管理って、何をするのか、何のためにするのかという土台の考え方をしっかり捉え、その上でどのように進めるのかということを
   考え実行する。

  ポイント   ○「品質管理の土台」の把握が基礎となる。 管理の為の管理に陥らないことが肝要

4.繊維製品の品質管理の視点

  衣料品を対象にした時の品質管理の考え方は、機械生産が主体の工業製品とは違う。

  品質管理を考える上で衣料品が工業製品と違う点
  @広い意味での手作りである
       デザインを起こす
       生地を裁断する
       縫製する
       仕上げプレスをする

       など・・・

  ポイント   ○衣料品を作るには 手加減が必要  

  A消費者の段階で、工業製品程の緻密さが要求されない

  ポイント   ○衣料品は 許容誤差が大きい

5.T5QM(T5QualityManagement)

  これらのの前提条件を踏まえ、企画・製造・販売・消費の相互関連から実効性の高い品質のマネージメントとしてT5QMについて提唱する。

  @T5QMの基本原則(品質管理の取組姿勢

☆品質管理は掛け算である               ☆お客様の立場で考える

             

  全員参加の品質管理                  商品は誰の為に作るか

             

  信頼関係の上に成立つ                  管理の目的の把握

  ポイント   ○1人の不誠実な対応(=評価は0点)がその企業の致命傷になる。掛け算では0点は全てを無にする。
         ○売れて初めて商品としての価値が生ずる。
         ○買って使って不満が生じたものは、その場限りの商品となり、次への購買意欲を阻害する。

  A5QM・・・5つのキーワード

    ◎物づくりの基本要素として @.共同作業  A.生産期間  B.行動  C.思考 が主要なポイントとなる。
      この観点からそれぞれのキーワードを選び十字のセルに4つの言葉を配列し、、この言葉をキーワードとして複合的に
      連想してQMを考える。

      この言葉とは @.Together A.Time B.Try C.Think D.Total である

    ◎この5つのキーワードの頭文字のTを総合的に掛け合わせて考える事からTの5乗QMと名付けた。

 ポイント   ○Tの5乗は掛け算であることに注意する。
        ○5Tは足し算を意味しており一つの項目が抜け落ちていても(例えば、相手のことを全く考えずに企画したとしても)、
         物は作れるが,後でロット返品などの大きな問題を引き起こすことになる

※2
Try
※4
Together
Total
Time
※1
Think
※3

   Together 品質の作りこみは1人では何も作れない。その商品に関連する人や物が一緒になって作業しなければ出来ない。
          物作りの第一歩は周りを見回し連携を取ることから始まる。

   Time    次に品質は時代の変化に影響されるし、品質のチェックを含めて管理を行う時期・タイミングがポイントになる。
          時という観念を視野に入れる。

   Think    要求されている品質とは何か、どんな風に作るのか、どんな使われ方をするのか等じっくり考える必要がある。
           その商品を作るに当たって周囲へ及ぼす影響あるいは周囲から受ける影響等を考える。

   Try     品質の維持向上の為には決めた事には果敢に挑戦し、まず実行することが重要
           そして、効果の認められることは実行の継続が必要です。
           (TryにはDoと違い、ただ実行するだけでなく、成功を目指して実行する意味がある。)

   Total    この4つのキーワードを念頭に置き、総合的に取組もうということです。

  ポイント   ○この4つのTを眺めながら全体の関りを考えると、
          品質の安定と向上のために具体的に実施すべき事項が分かってくる。
         ○この分かってきたことを、4隅の桝※1〜4に記入し、実務上のキーワードとして発想する。

  B実務上のキーワード

    ◎ものづくりに当って、実務上のキーワードしてとして次のような事項が考えらる。


   TogetherとThinkからは

       ※1 思いやり
       相手のことを考える、あるいは思うということは、思いやりです。

  TogetherとTryからは

    ※2 意思疎通
       多くの人が同じ目的に向かって行動を起こすには意思の疎通を徹底する。

  TimeとThinkからは

    ※3 変化への対応
       10年1昔は遠い昔のこと。1年1昔のスピード感がある時代では、変化の把握を心がける。

  TyとTimeからは

    ※4 タイミングと継続
       時系列的な把握をするためにはタイミングと継続による着実な成果を捉える。

  C検討課題

    ◎実務上の各キーワードから考えられる具体的な課題をいくつか挙げると次のような検討課題が考えられる。

     ※1 思いやり
      ○消費者     ○次工程     ○製造工程     ○材料

     ※2 意思疎通
      ○PDCA     ○結果のフィードバック     ○情報伝達     ○生産能力

     ※3 変化への対応
      ○要求品質     ○ファッション     ○評価方法     ○検査レベル

     ※4 タイミングと継続
      ○タイムリーな処理     ○迅速な処理     ○ロット管理     ○納期管理

○    
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