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  債務整理の各手続きの選択

    債務整理手続きの流れ(相談から本当の債務額を確定すること)のとおり、利息制限法に基づき
    計算を終了したところで、本当の債務額がわかったことになります。

    この時点で、
債務整理のそれぞれの手続きを具体的に選択していくことになります。

    まず、大きな方向の違いですが 債務があるのか または 債務はないのか を確認しましょう。

    利息制限法に基づいて計算した結果、債務が残れば法律上の支払い義務はあります。
    同様に計算した結果、債務がない(払い過ぎにより貸金業者に過払い請求する場合も含む)場合は、
    返済することを考える必要がないからです。
    ⇒過払い金返還請求について 過払い金返還請求 をご覧ください

    債務が残るか、債務がなくなるか(過払いになるか)は利息制限法により引き直しの計算をした
    結果によります。ただ、この計算式は同じです。結果の違いは、
    
    *利息制限法の上限利率を超えている部分
     …利息制限法の上限が18%の場合で、20%の約定利率と29%の約定利率の場合は、
       29%の方が払い過ぎている部分が多くなります
    *取引の期間
     …利息制限法を超える取引を1年間している場合と10年間している場合では大きな差です。
      取引期間が長いほど、払い過ぎている部分は多くなります。
    *取引の回数
     …利息制限法を超えた取引をしていても、1年に1回しか取引をしていない場合と1か月に
      10回取引をしている場合には差が出ます。
      取引(貸し借り)の回数が多いほど、払い過ぎている部分は多くなります。
    
    といった要素で個別に変わってきます。

    債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生 という債務返済についての解決方法と
    過払請求 という払いすぎた利息(過払い金)の請求という解決方法があります。




  
 上の表はそれぞれの手続き(債務を返済していくための解決方法)を簡単に説明したものです。
   では、それぞれの手続きについてより詳しく見ていきましょう。

   
任意整理

  任意整理とは、裁判所を利用せずに、弁護士や司法書士が依頼者の代理人となって債権者(貸金業者)
  と私的に交渉をして、債務の減額や利息の全額免除(または一部免除)、分割弁済の方法などを決めて
  和解をする方法です。

  ⇒基本的な方針として、利息制限法に定められた範囲の額は返済をしていくことになります。
  
任意整理のメリット
 裁判所の関与がなく、弁護士や司法書士が依頼者の代理人となって交渉を行います。
    ・依頼者の方本人が裁判所に出頭したり、直接に債権者と交渉を行うことはありません
    ・自己破産や個人再生の場合に絶対必要になる、戸籍謄本、住民票、給与明細、家計収支表などの
     書類を準備する必要はありません
    ・債権者に対しての分割返済額は、債権者ごとに決めることができます。ある債権者には一括で返済
     をし、ある債権者は10回の分割、ある債権者は36回の分割ということも可能です

 和解交渉において、受任通知到達後から和解までの利息(経過利息といいます) 
   と和解後の利息(将来利息といいます)を免除してもらいます

   ⇒つまりは、確定した債務額のみを支払うことになり、完済のゴールが必ずやってきます
   ※利息の免除は法律上の根拠はありませんが、弁護士会・司法書士会の統一基準により、だいたい
    の債権者が応じてくれるのが現状です
   ※ただし、和解までの利息(経過利息)については免除しない債権者も最近は多い傾向にありますので
    利息制限法による債務額の計算ができた段階で、分割返済を開始する時期を早くすることも重要。
   ※経過利息及び将来利息の免除は必ずしも約束できるものではないことを予めご理解ください

任意整理のデメリット
 債務整理手続きの受任通知を債権者に発送することで、信用情報機関(いわゆるブラック
   リスト)に一定期間(5年程度と言われています)の間、債務整理をしたという情報が載ります

   (これは自己破産や個人再生の手続きをした場合、支払を延滞した場合も同様に載ります)

   ⇒信用情報機関に登録されることで、新たに金融業者から借入をすることは、審査の関係上困難となる
     でしょう。逆に、ヤミ金融業者などから借入の勧誘があったとしても、決して借入をしないようにご自身
     で強い意志を持っていただくことが必要です。

  任意整理に関するQ&A はこちら


特定調停

  特定調停とは、裁判所に債権者と債務者(依頼者の方)が同席して、裁判所の調停委員がまとめ役
  となり、話し合いで返済方法や返済条件を決めて債務問題を解決する方法です。

  債権者は実際には裁判所に来ないことがほとんどで、調停員が債権者に電話で交渉をします。

特定調停のメリット
 申立の費用が安い
   必要な経費は、申立手数料と郵便切手です。申立手数料は債務額によって変わりますが、債務額
   が不明の場合には1社につき500円です。郵便切手は裁判所によって異なりますが、1社につき
   4000円程度。

 調停委員がまとめ役となってくれる
   調停では、調停委員と呼ばれる人が両者の話し合いを主導していくので、一般の裁判のような専門
   的な法律知識がなくても、依頼者の方本人で十分に対応ができます。

特定調停のデメリット
 債権者に有利な結果となることがある
   任意整理の場合には、依頼者の方の依頼を受けた弁護士や司法書士は依頼者の利益を最優先に
   考えます。ですが、調停委員はあくまでも中立の立場に立って、話し合いをまとめようとするので、
   債務者に妥協を強いる、つまりは債権者側に有利な内容で調停が成立することもあります。

 利息が免除にならないこともある
   将来の利息は免除されるのが原則ですが、経過利息(実際に支払を開始するまでの利息)は免除
   されません。

 調停が成立しなかった場合には解決にならない
   調停は債権者と債務者の双方が合意に達した場合に成立します。どちらかが、調停内容に不服で
   合意をしなかった場合には調停は不成立となります。その場合は、新たに任意交渉をする必要が
   あります。

 調停が成立した場合はその内容をもとに強制執行されることもある
   調停が成立すると、裁判所では調停調書という書類を作成します。調停成立後に、「やはりこの金額
   では支払は無理だ」となってしまった場合でも、調停調書の内容をもとに即時に強制執行を申し立て
   られることもあります。

 他の債務整理手続きと同様に、信用情報機関(ブラックリスト)に特定調停をした記録が登録
   される

   5年程度は新たな借入をすることはできないと思ってください。
 

個人再生

  個人再生とは、地方裁判所に申立をして、債権者の同意を得た上で、債務額を大幅に圧縮した上で、
  返済を続けていく手続きです。その際、今後の返済計画プラン(再生計画案)を作成します。

  裁判所に申立をして、債務額を減額するという点では自己破産と似ていますが、減額された債務を
  再生計画案にしたがって、今後も返済をしていくという点では任意整理と似ています。

個人再生のメリット
 裁判所が関与して、債務額を大幅に圧縮させることができる
   ただし、圧縮される額については一定の決まりがあります。圧縮された額を原則3年分割で返済
   します(特別な事由がある場合は5年で返済します)。
  
債務総額 最低弁済額
100万円未満 その額 *減額はされません
100万円以上1500万円未満 債務額の5分の1 または 100万円 のいずれか多い額
1500万円以上3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 債務額の10分の1
※この表は 小規模個人再生手続き の場合です
  給与所得者等再生手続きの場合は、再生計画案提出前の2年間の可処分所得を3年で返済します

 自己破産と異なり、住宅を持っている債務者(=住宅ローンを返済中の債務者)は、
   住宅を失うことなく債務問題を解決できる

   ⇒住宅ローン特則と呼ばれる手続きで、この点が個人再生の一番の特色です。
     住宅ローンは圧縮されません(いくつか方法はありますが、今の約定のまま支払っていく場合や
     支払方法を住宅ローン債権者と交渉をして変更してもらう場合もあります)。
   ⇒住宅ローン特則を適用する場合には、居住用の不動産であることや住宅ローン以外の抵当権が
    不動産に設定されていないことなどの条件があります

個人再生のデメリット
 地方裁判所に申立をするため、司法書士は代理できず、書類作成のみの関与となります
   司法書士は簡易裁判所の一定の金額についての紛争・手続きのついてのみ代理ができます
   (地方裁判所で代理人となれるのは原則として弁護士のみです)。
   ⇒そのため、依頼者の方本人が地方裁判所に出頭する場合もあります
   ⇒司法書士はあくまで書類作成人ですので、裁判所によっては再生委員と呼ばれる再生計画案が
    きちんと守られるのかをチェックする専門家を選任することもあり、その場合は15〜20万円程度
    の再生委員に対する報酬が必要となります。

 申立のために準備する書類が多くある
   裁判所で厳格な審査がありますので、収入を証する各種の書類や会社に勤めている場合には退職金
   の見込み額証明書などを発行してもらったり、住宅ローン特則を利用する場合には不動産の鑑定書も
   必要になり、書類の事前準備が多く必要です。

 官報に住所と氏名が掲載される
   他の債務整理手続きと同様に、個人再生手続きをすることで、信用情報機関(ブラックリスト)に情報が
   登録されます。さらに、官報と呼ばれる国の広報(毎日発行されており、国民に広報されていますが、
   普通の人は官報を見ることはまずありません)に住所と氏名が掲載されますので、信用情報機関の
   登録内容が削除された後も、個人再生をした事実が分かり得ます。そのため、将来にわたって住宅
   ローンや公的融資を受けることが難しくなることがあります。

 自己破産へ移行することもある
   個人再生手続きは、債務額を圧縮したとしても、圧縮した額を3年間で返済することになります。
   そのため、裁判所では今後の支払いができるか?という点をチェックしますので、裁判所が支払いが
   無理と判断すれば個人再生手続きは却下され、自己破産を選択せざるを得ない状態になります。

 個人再生手続きに関するQ&A はこちら

自己破産

  自己破産とは、債務者の現在及び将来の収入や財産によって、借金を返済することが困難であることを
  裁判所に認めてもらい、高価な財産(一般には不動産や20万円以上の価値のある車や貴金属など)を
  処分する代わりに、法的に借金を0にしてもらう(これを免責といいます)手続きです。

自己破産のメリット
 法的に借金が0になる
   一番のメリットは、法的に借金がなくなり、今後は一部の債務(不法行為による賠償金、慰謝料、
   養育費、税金など)を除いて、一切の借金を返済する義務がなくなるということです。

   ⇒自己破産は債務を0にした上で、今後の生活を立て直すという点で、最も効果的な債務整理手続き
    ということができます

自己破産のデメリット
 高価な財産は処分しなければならない
   ここでいう高価な財産とは、99万円を超える現金及び時価20万円を超える財産をいいます。
   家具や家電製品で、日常の生活に必要と認められる財産については一切処分されませんので、自己
   破産をしても一般的な生活を送ることは可能です。

 一定の期間は一定の職に就くことができない
   自己破産の申立から免責の決定が出るまでの間(数か月)に限って、一定の職種に就くことが制限
   されます。
 
   ※制限される職種としては、弁護士・税理士・司法書士などの士業、宅建主任者、生命保険外交員、
    警備員等があります。医師や教員、特別な職を除く国家・地方公務員は制限されません。
   ※会社法の改正により、自己破産をしても免責が出れば会社の役員になることはできますが、
    自己破産の申立をする前に会社の役員をしている場合には、民法の規定により、いったん退任す
    ることになります。

 申立のために準備する書類が多くある
   裁判所で厳格な審査がありますので、収入を証する各種の書類や会社に勤めている場合には退職
   金の見込み額証明書などを発行してもらったり、各種財産の評価を明らかにしなければなりません。

 官報に住所と氏名が掲載される
   他の債務整理手続きと同様に、自己破産手続きをすることで、信用情報機関(ブラックリスト)に情報
   が登録されます。さらに、官報と呼ばれる国の広報(毎日発行されており、国民に広報されていますが、
   普通の人は官報を見ることはまずありません)に住所と氏名が掲載されますので、信用情報機関の
   登録内容が削除された後も、個人再生をした事実が分かり得ます。そのため、将来にわたって住宅
   ローンや公的融資を受けることが難しくなることがあります。

 自己破産手続きに関するQ&A はこちら

払いすぎた利息を請求する手続き、過払い金返還請求手続きについてはこちらをご参照ください。
 過払い金返還請求

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