ひげコンサルティング塾
  グループ学習
3−2.問 題:殺してくれりゃよかった−2

 大学で教えられた医療は、 病院の玄関をうれしそうな顔で退院する姿でしめくくりがつ
く。そのあと傷を持った人や障害を持った人がどんな思いで暮らしていくのか、考えること
はなかった。医療は近代化し、機械化するなかで、治していくために臓器に注目してきた。
脳梗塞の患者さんには、脳の閉塞した血管や、それによって壊死に陥った脳細胞のことに集
中して治療してきた。急性期を脱すると病院のリハビリは、片麻痺のために、動かない側の
手足に集中して治療する。もちろんそれが効率を考えた合理的な治療なのである。
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 しかし、障害をもって退院する患者さんは、ときには動く側の手足を利用して、その人ら
しく生きたい。そのことをいっしょに考えていく視点を忘れていたように思った。 医療は
もっと生活や暮らしを見ないといけない、と教えられた。 和助さんの「殺してくれればよ
かった」のひと言から、病院の医療だけでは充分ではないと考えた。 大事なことは、患者
さんがその後の生活のなかで生きててよかったなと思える支援をしていくことだ。
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 このあと、諏訪中央病院では、患者さんのその人らしい生活を支えるために在宅ケアを始
めた。そして、一人ひとりが孤立してばらばらで病気と闘っていくのではなく、仲間と生き
ていることの楽しさを分かちあえるように、「お風呂に入れちゃう運動」や病院デイケアを
始めた。
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 和助じいちゃんから、生活に寄り添う医療の大切さを教えられた。ぼくらの病院にとって
も、ぼくにとっても、進む方向を変える大きな道しるべになった。
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 じいちゃん。ありがとう。
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                  『がんばらない』(鎌田實著、集英社 P.198より)


1.【殺してくれりゃよかった−2】を読んで、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  あなたはどのように感じましたか? なぜそのように感じますか?
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2.自身やグループでの意見と著者との違いはどこでしたか?
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3.仕事で発生する問題やクレームとの向き合い方でどんな点が重要と思いますか
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