ひげコンサルティング塾 

 IT短歌集

54.診断は 部分、虫の眼




 20世紀における物理学の成果は「還元主義」という意見があります。「還元主義」とは、
割り切って言えば、物事を要素に分解(ブレークダウン)し、その一つ一つの要素の特徴から
全体を理解しようとするアプローチと言えるでしょう。これに対し、21世紀は「複雑系」が
科学の基礎になる、と。個々の要素の特徴を把握・理解しても全体を理解・表現できないとす
る考え方です。脳細胞を分析しても、知恵を生むしくみは説明できないというように説明され
ます。
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 先日、黒澤明監督の映画「赤ひげ」を見直しました。そこには赤ひげが病気だけでなく、病
人の心までも診察してしまうというシーンが出てきます。『「北島康介」プロジエクト』(長
田渚左著、文芸春秋、 \1400)では、メンタルトレーニングはしない。古来、柔道、剣道など
道のつくものは、心と身体をいっしょに考える、とあります。
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 企業の診断や審査に臨んだ場合も、より良い経営の観点を意識して、特徴・関連を鳥瞰し、
全体を丸ごと把握・理解するアプローチが求められます。個々の現象を追求する虫の眼の分析
的視点だけでなく、また単に分析情報を総合するだけでもない、全体としての理解に基づく診
断、そこから、今、一番優先すべき効果的な取り組みが明らかになるでしょう。
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