風来のシレンDS 不思議のダンジョン


 参拾日 土曜日

 旅の途中で出会った女人に声を掛け、あからさまに怪しい、これは罠だ、と思いながらも選択肢に『はい』と答えると目潰しをされました。
 次の旅で再び先の女に出会います。今度は騙されないぞ、と固く誓いながら話してみると例の目潰しをした輩の妹を名乗るではありませんか。完全に信じたわけではありませんが選択の暇も無くまたもや目潰しをされました。
 すると今度は彼女が、竹林の村でごろつきに絡まれているのを見かけます。どうやらごろつきもあたしと同じ被害者みたいです。最初は傍観の姿勢を決め込み助けを乞われても拒みましたが、そのままでは何も進まないので助ける事にしました。すると目潰しのお竜と名乗った彼女は、これまでとは打って変わった殊勝な態度で、お礼、お詫びと称して、また目潰しを浴びせてくれました。ははぁん、つまりお竜の目潰しは可愛い照れ隠しだったのですね。愛い奴、愛い奴。
 ところでそんなお竜さん、仲間にした彼女がモンスターを斃した直後に話しかけると、「〜なんてちょろいもんよ。」と豪語してくれます。しかし「マムルなんてちょろいもんよ。」とか「豆山賊なんてちょろいもんよ。」とか、その程度の相手を斃しただけで偉そうに威張られても困ります(ぉ
 そんな事がありつつも、渓谷の宿場と奇岩谷を行き来してプレイヤーのレベルを上げる作業を繰り返します。そして武器が多少なりとも鍛えられ、そろそろ同じ場所の行き来にも飽きた頃、物は試しとテーブルマウンテンに突入する事にしました。まさかいきなりクリアが出来るなどと甘い事は考えていません。様子見のつもりで、本当に大切な道具は倉庫に残していきます。
 玉砕覚悟の旅なのですが、多くの敵を薙ぎ倒しながら意外にもスムースに進みます。これは、ひょっとするとひょっとするかも? 飽く迄も下見のつもりでしたが、うふふ、これはクリアしてしまうかも? 隠し得ぬ興奮と共にそんな希望が心を支配します。そして遂に、最終局面と相成りました。目の前に立ちはだかるボスを倒せばクリアとなる事は容易に想像が付きます。いざ、尋常に勝負!
 ・・・・・・・・・。・・・・・・・・・甘かった、甘かったです。意気込んだもののがいこつ魔王にかけられた攻撃で『封じ』の状態異常となりました。この時の為と用意した杖、巻物の数数が役に立ちません。手も足も、口も出ず、数分で撃退されました。そして鍛えた武器は貴重な道具を、倉庫の壺に入れて送り返すのを失念していたのに気付いたのは、死亡してからの事です。折角ナオキに貰ったブフーの杖は、遂に一度も使う事無く失われたのでした。死ぬ前に倉庫の壺を思い出してさえ居れば、おれはーっ! おれはよ――――っ!!
 へ、へへーんだ! さ、最初から、一度で突破出来るとは、お、思ってなかったですよーだ! こ、こんなの、分かり切っていましたよ。本当ですよ、本当ですからね!? た、大切な道具は倉庫に預けていますし、だ、だから、だから、べ、別に悔しくなんてないんだからね!
 強力なモンスターが屯するテーブルマウンテンの上層よりも、レベルも道具も奪われた丸裸で最初の辺りを歩く方が手強いものがあります。山頂の町に付くまで剣も盾も旅仲間も見付からなかった時は、どうしようかと思いました。
 それから改めて武器と防具の強化に精を出します。そして矢張りその行為に飽きが生じて来た頃、またもやテーブルマウンテンに挑戦する事にしました。大きな問題も無く前回の経験もあるので、よりスムースに太陽の大地に到達です。汚名返上、名誉挽回、今度こそ魔触虫を撃退して見せます!
 ・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・がいこつ魔王に今度はおにぎり状態にされました(死)。今度は倉庫の壺をちゃんと覚えていましたが、この状態では何も出来ません。敢え無く轟沈です(哀)。
 うー・・・あー・・・。過信と言えばそれまでですが、正直、自信と突破出来るだろうと言う楽観的な希望もあったので、この結末には激しく落ち込みます・・・・・・・・・。しかもまた武器と防具を一から鍛え直さなければなりません。その遥かに長く見える道程を思うと、絶望的な気分となります。人生の厳しさを思い知りました。はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 参日 水曜日

て、てーへんなことをしちまっただぁ!!! かじ屋の娘がお腹を空かせているだろうとおにぎりを投げてみたら、何とダメージを与えてしまいました。しまった、と慌てて話しかけようとしたら、あろう事かミオ(シレン)はパンチを繰り出すではありませんか。その一撃で昏倒したのか、娘は何処かへ消え去りました。もう二度と出て来ないのでは、と不安になりましたが、改めて竹林の村に来ると変わらぬ位置に居て一安心です。しかし会話が進まずもう長い事同じ台詞しか言わないのですが、まさかパンチが原因ではありませんよね?
 上のと似た様な過ちが未だあります。道具が一杯で持ち切れなかったので、持て余していたおにぎりをペケジにあげたら喜んで食べました。だから他の仲間にも分け与えようとお竜に投げたら、何とダメージを受けているではありませんか。幸い、それだけで死ぬ事はありませんでしたが、何か悪い事をした気分になりましたよ。
 妖怪にぎり変化と戦っていたら、重宝していたころばぬ先の杖をおにぎりに変化させられてしまいました。その厄介な能力は承知しているつもりでしたが、未だ考えが甘かったようです。暫し呆然としました。それ以来妖怪にぎり変化が恐くて、見かけたら一目散に退散、旅仲間に対処を任せます。仲間が居ない時は杖や巻物を駆使してとにかく道具を変化させられるのを回避するのに努めています(最も、出会い頭に能力を使われ、道具を詰め込んだ保存の壺をおにぎりに変化させられる事も屡ですが)。貧乏性なのか普段は余り道具を使わず、道具が溜まる一方で持ち切れなくなって四苦八苦していますから、偶にはこれくらい使っても丁度良いのかも知れません。それでも妖怪にぎり変化の存在は恐怖の象徴です。
 せっせとカタナを鍛えていたのですが、ある時かじ屋に渡すと、火迅風魔刀なる名前も見た目も格好良い刀剣に生まれ変わりました。嬉しいのですが基礎攻撃力と強化限界が高いだけで、特殊な能力は何も持ち合わせていないのですね。名前から切り裂くと同時に炎で相手を巻き込むみたいな描写を期待していたので残念です。尤も、仮にそんな能力がありましたら「え〜ん、え〜ん、幾ら切っても火炎入道が死なないよぉ! 斬る度にパワーアップしているよぉ〜!」となって困る事必至でしょうが(ぉ ところで火迅風魔刀の入手に喜んでいるのですが、冷静に考えたらカタナ+50と火迅風魔刀+0では、前者の方が強力なのですよね。将来性は別にしてその瞬間のみで判断するなら、パワーアップしたとは言えません。
 それにしてもころばぬ先の杖を失ったのは痛いです。すっ転んで壺が割れて困る事が多いので必須なのですが、それ以来、一度として手に入りません。あの杖が無いと恐くてテーブルマウンテンに進む気にもなれないのです。結果、武器と盾は異常に鍛えられる事となりました。過去二度の挑戦に比しても引けは取らないどころか大きく上回ります。そろそろ同じ場所を行き来するのにも飽きが生じたので、テーブルマウンテンに三度目の挑戦を行いたいのです。もう手に入りそうもないので先に行ってしまいますかねぇ。いやでも、あれが無いと不安です。そして杖の件とは別に、今度の挑戦でも敗北を喫したら、こんなに強化した武器を失う事になるのかと言う不安もあって踏み出せないで居ます。またこれだけ強化するのにどれだけの労力が掛かる事か、考えるだけでうんざりします。

 伍日 金曜日

 探せども探せどもころばぬ先の杖が手に入りません。おかしいな、以前はこんなに苦労しなかったのに。もうこの作業の繰り返しにも飽きたので、見付からないままでテーブルマウンテンの攻略に向かいました。
 ボス以外はこれまでも然程苦労せずにこなせた事ですし、過去の二回よりも武器が強化された今回はより楽でした。道具も殆ど使わなかったです。
 ある部屋で二匹のドラゴンから火炎を繰り出されたので通路に引き返すと、入れ替わりにペケジが突入して敢え無く蒸し焼きとなりました。一匹のドラゴンがスカイドラゴンにレベルアップしたので「ペケジめ、余計な事をしおって」とも思いましたが、覚悟をして挑むと大した強敵ではありません。またある時は、がいこつ魔王に出会ったので「唸れ! 火迅風魔刀!」と直接攻撃で撃破しましたが、今から思えば余りにも迂闊な行動です。もしも特殊攻撃でおにぎりにされていたら助からなかったでしょう。反省です。
 そして本題、慎重に歩を進めて滝壺の洞窟に突入です。先ずはバクスイの巻物を読んで敵の動きを止め、めぐすり草を飲んで罠を避けながら眠りに落ちたがいこつ魔王を叩きます。こいつに辛酸を舐めさせられましたからね、要注意です。しかも一匹だけだと思っていたらもう一匹居ました。危ないです。そして厄介事を排除してから、魔触虫にマムルの肉を食わせてマムルに変化させます。後は簡単、剣を一振り、それで片が付きました。卑怯極まりない戦法であるのは重重承知していますが、今の武器を失うのは耐えられません。手段を選んでいる余裕は無いのです。
 クリア後、番付に登録したら今月の番付で三十三位でした。誇れる記録ではありませんがそれでもランクインして名前が載るのは嬉しいものです。

 壱拾弐日 金曜日

 かじ屋の娘が故郷に帰って鍛冶屋を開くと、竹林の村から去りました。それから少し経ち、おじいさんを通して彼女からどうたぬき+30を貰いました。かじ屋の娘・・・おにぎりをぶつけて殴り倒した事もあるのにこんな頂き物をくれるとは、うぅ、ええ子やないか。愛用している武器と比べれば性能では大きく劣りますが、その気持ちが嬉しいのです。渓谷の宿場の倉庫に大切に取っておきませう。
 ふらふらと彷徨っていたら武器を拾いました。おぉ・・・おぉ・・・! こ、これが・・・これが音に聞いた妖刀かまいたち! 吸い込まれそうな輝きを湛えた刀身、優美な曲線、まるで全身が飛び跳ねる様な切れ味・・・素晴らしい武器を手に入れました!! またその後に変化の壺でも妖刀かまいたちを入手です。何度か使っている変化の壺ですが、こんなに良い道具が手に入ったのは初めてです。
 未だクリア後のダンジョンを一つも突破出来ていないのですが、明日にはポケモンを買うので暫くシレンをやる事は無さそうですなぁ。それにしても本当に面白いゲームです。