「 悪い事をした…  」 2000年9月28日 木曜日 ・ 採集   

  
5大都市だの何だのと言われていても、名古屋での
 ゴミの分別収集が始まったのは最近のハナシで。
  しかも、
 例えば電車やバスなどでキチンと列をつくって並ぶ事
 は「とろくさい」とし、降りる人を突き飛ばしてまで
 乗り込み自分の席を確保するのが「常識」の名古屋人
 が面倒くさいゴミの分別や指定日・場所を守れる筈も無く、
 街のあちらこちらで
 
「これは回収出来ません」
「ちゃんと分別してください」
「指定ゴミ袋を使ってください」

  と印刷されたステッカーが貼られたゴミ袋が山積み
 放置されている。浮浪者や野良猫・犬にとっては
 「お宝」
  なのかもしれんが、衛生上はとても疑問ではある。
 先日の記録的豪雨でこれらのゴミ袋達も流されたが、
 あれから2週間も経過すれば元通り、相も変わらずの
 状況、である。
 
  さて、
 これという事もないごくごく平凡な今朝の信号待ちに
 50代後半と思しきキチンとした背広姿のオジサンが
 そういうゴミ袋を
 
「うりゃうりゃくぬやろ、どぉ〜だこのやろ♪」
  とか言いつつ踏みにじってらっしゃる。
  私は寝呆けていた。
 その私の眼にはオジサンの顔がとっても嬉しそうだった
 のでつい、
 「おっちゃん、えらい楽しそうやなぁ… 」
  と、呟いたつもりだったが、自分でも惚れるくらい
 
大きく通る声が出ていた。
  時が一瞬止まり、
  そして
 信号待ちの人々の間から、一斉に笑い声があがった。
 
 悪い事をした…
 
  クラクションを浴びながら、オジサンは走り去った。
 その後ろ姿、というより禿げあがった後頭部が真っ赤
 になっていたのに胸が、痛んだ。

 


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