USA−P in 
 ・ 2004/03/15 (後編)


○ 午後 (タイムズスクエア)

 今日は月曜日だから多少人出は少ないかなぁ? と思っていたが、若干の客層の雰囲気の違い…
遊びに来た、とか、観光、ってのではなく、日常って感じ… はあっても結構な人出のタイムズ・
スクエアだったが、NYにいて人の多さが不快に繋がらないのは人々が周囲をキチンと見ている
からだろう。それはNYという街の
 人の数の多さもあるのかもしれないし、
 様々な人種、国籍、宗教の寄り合いだからかもしれないし、
 西欧的な個人主義、パーソナルスペースの概念からかもしれないし、
 犯罪発生率の高さもあるのかもしれない。
だけど携帯を持っていても喋りながら歩いている人なんて殆どいないし(いてもアジア系だった、
ってのは偶然なんだろうか?)、手をブンブン振り回して歩いている人もいないから、カバンや
火のついた煙草がブチ当てられる心配もいらない。マフラーやショールを後ろにデロデロとたな
びかせている人もいないし、歩道の真中で立ち止まって話している人もいない。お互いの歩く
スピード、テンポをなんとなく見て、相手のパーソナルスペースや進行の邪魔にならないように
見て歩いているから混雑はあっても日本の街中と違ってスムーズに人は流れてゆく。チョイと
お互いの領域に重なりそうになったらまず
「Excuse Me」
「Sorry」
 って声をかけあう、ってのは私にはとっても気楽だがその反面、日本での日常を思うと情け
なくなってくる。兎に角、邪魔な事このうえもなく、馬鹿を怒鳴ったり蹴りつけたりしているが
別に好き好んでやってるワケじゃぁない。でも、しなきゃならんくらいにどいつもこいつも自分
自分で邪魔だから排除しているんであって、そういうストレスがNYでは全く無いのがとにかく
気楽だし気分がいい。

 年寄り連中の戯言だけど
「昔の日本には譲り合いとか、そういう精神があったが… 」
 ってなのがあるが、そんな事をヌカしてる当のオッサンやオバサンにジジイにババアって世代が
傘や火のついた煙草を持った手を振り回したり、カバンやショッピングバッグのスペースに無頓着
だったり、道路の真中で立ち話してたりしてるのが今の日本じゃ当たり前、ってのだから当分…
いや、もぅ多分そんな昔には戻れないんだろうて。
 ホテルでもツアーデスク前に集合、ってなってたってロビーの一部なのを解っていない人が結構
いてすごく他の宿泊客の邪魔になってたけど、その邪魔になってる当人らが気がついていない姿に
腹が立つよりハラハラしていたが、とりあえず文句を言われなかったらOK、なワケねぇっての。
「衣食足りて礼節を知る」と言ったがそんなの嘘だよ…

 とか思ってるので、記念撮影したくなるような街並みでも、立ち止まってカメラ構えても通行の
邪魔にならないスペースが見当たらないと撮れないんだよね、私…


○ トイザラス

 元はマンハッタン・モールの近くにあったのが去年だったかな? ブロードウェイの近くへと
移店と言うか進出したトイザラスのカラフルな外観が楽しいが、入場口の回転扉が通常のものより
スペースが大きく、ゆっくり回るようになっているのは多分、親子連れへの配慮なんだろうなぁ。

 店内で見上げる観覧車(ちなみに1階で撮影)

 地下1階から3階までブチ抜き構造になっているが、その中心にこの観覧車が鎮座。大きさの
ワリに回転スピードが結構速いのでどうやって乗り降りするのかと思って見てると、乗り降りの際
に停止させていた。これなら幼児だけでなく障害者でも気軽に乗れるよな… と思うが、
「やだやだ〜 もっと乗るの〜 」
 とダダをこねてお父さんに怒られてる子供を見ると、昨日のセントラルパーク動物園といい子供
に国境の違いは無いもんだと笑えてくる。1階のフロアはどちらかと言えばベビー系だったので
(これも妊婦さんへの配慮、か?)エスカレーターで2階に上がると今度は

 動いて吼えてました

 ティラノサウルスがお出迎え。っか実物大だからデカイよ。
女の子向けのバービーや気持ち悪いほどリアルな赤ん坊人形、男の子用のスパイダーマンの
人形やベイブレードの中で『YU−GI−OH!』(日本の『遊戯王』)のカード売り場が結構大きい
スペースを確保していたのには驚く。もぅポケモンでもないらしく、『YU−GI−OH!』はほぼ
フロアの中心に位置していて、2メーターはあろう主人公の遊戯の人形型ディスプレイといい
勢いが感じられる。
 3階は家具系らしいのでパスして地下に降りるとここは電子系。TVゲームコーナーにはゲート
が設置されていてものものしいがダークなライティングがオシャレ。子供用CDプレイヤーや電子
キーボード等も売られているが、ここだけでなく全般的に高価ではない(大体$2〜50程度)の
オモチャだらけなのを思うとゲームって結構高価なんだな… 本体だけで$100以上だもんな…
と思う。まぁ日本の場合は少子化ゆえ、ってのもあるんだろうけどさ。


○ ブロードウェイ

 どうも妻、昨日の疲れを回復し切れなかったのか弱りはじめる。
それじゃぁ… と、昨日の帰り道で見かけたスシ・レストランの『すし膳』ってのに入ってみるが
「いらっしゃいませ」
 と日本語で日系の禿げてるしオッサンだけどボーイにちょっと安心するも、こちらの服装を見て
「御予約は?」
 って慇懃な物言いになんとなく嫌な気分を感じつつもフリの客だと言うと
「カウンターでよろしければ5分ほどで御案内出来ますが… 」
 ってなお返事。あからさまに嘘言ってるよなぁ… でも、妻の希望も叶えたいしなぁ… と我慢
して待ってみるが20分過ぎても何も言わないし眼も合わさないボーイとお高い背広を着た客層に
「違う店にしよう。なんかこの店は気分、悪い」
 と妻に言って外に出る。
貧乏そうな観光客風情が… ってなのがアリアリだったが財布にいくら入ってると思ってんじゃ〜
と思うもそれもロウワークラスの遠吠えだろうな(確かに夫婦合わせて$600くらいだけどさ)。
ミドル・アッパーのトコロに紛れ込んで来たお前らが悪い、って向こうも思ってたのかもしれんが。
 さて困った、どうしよう?
もぅ1時だってのにどこの店も結構混んでいるのは流石ブロードウェイ、って感心してる場合じゃ
ねぇけど、ナカナカに落ち着いて座れて落ち着いて食事出来てそれなりにオシャレな店なんて…
「いっそスタンドでホットドッグかバーガーでも買って、それで昼飯にした後でカフェでノンビリ
する、ってのはどう?」
 と提案するも
「落ち着いて座って食事をしたい」
 と妻に却下。でもその気持ちは解るんだよなぁ… って事でロブスターハウスに入ってみたが、
受け付けにネーチャンが座っているけどなんかスタッフとダベってる。仕方なく空席に座ってみる
ものの誰も来ない。階上が賑やかなので上がってみるとお客はそれなりにいるが満席って程でも
なかったので空席に座ってさぁ注文! と思ったらボーイが
「一階の受付を済ませたのか?」
 そりゃぁねぇよ… 入り口にでも書いといてくれよ… と思いつつ降りてみるが、何人も客が
待ってるっぽいのに受け付けのネーチャンは相変わらずスタッフと思しき人とダベってるんで
「すまん。こんな店選んだ私が悪かった!」
 と妻に謝ってまた店探しになるが、相当妻がヘバってきている。もぅこうなったらマクドナルド
でも… と思うが昨日の事を思い出すといまだにハラワタが煮えくりかえるんでパスしたいし…
と、目的地の1つのマダムタッソー蝋人形館の辺りまで来ても見つからないので困っていると
「ここにしない?」
 と一軒の店の前で妻。
ガラス越しに店内を見るとそれなりにオシャレで綺麗で落ち着いたカンジ。入り口のメニューの
お値段はそれなりにお高そうだがワケわからんメニューでもなさげだったので入ってみた。
 照明を必要以上につけない落ち着いた雰囲気に似合う案内係に導かれて着席するとメニューを
持ったボーイが現れる。おぉ本格的ではないか。アレコレとメニューを見つつも英語とフランス語
混じりなんでイマイチ正体が掴み難いんでバーガー系にしようと通りかかった人を呼び止めると
「わたしはウェイターじゃぁない。今、呼ぶから待っていてね」
 と言われて赤面。暫くこんなカンジの店って来た事ねぇぞ(汗)、と焦りつつ来たウェイターに
私は以前飲んだ事がある天然炭酸水のサンペレグリノを1ボトルとベジタブルソテーバーガーを
注文(野菜が喰いたかったのよ)。妻がチキンカツと野菜のバーガーにクラムチャウダー。
「しかしクラムチャウダーですか」
「いいじゃない。飲みたかったんだし」
 とか言っているウチにまず、スパークリングワインのフルボディのような外見をした天然炭酸水
のボトルが来て妻驚く。私も以前飲んだ時のと違ってややグリーンかかっているボトルに
「間違えた? 勘違いした?」
 と焦るが音をたてないように開けられ、ワイングラスに注がれたのを飲んで
「美味い〜」
 と喜んでもらえて一安心。高度はペリエより高いんだけど飲みやすいんで料理と一緒に… って
事でオーダーしたんだけど、好んでやってたとはいえ結構歩きづめなこの数日のせいか、よく冷や
されたサンペレグリノがとても美味い。

 しかし…

 妻が想像していたのはモスバーガー等で出てくるカップに入ったものだったが、出てきたクラム
チャウダーが御立派な大きさに並々とはられたものだったのは妻のリアクションも含めて私の想像
通りだったので良いとしても、まず私のベジタブルソテーバーガーなんだがこれが珍妙な一品で、
生のレタスとトマトはまぁいいとしても日本大根に椎茸、そしてナスのソテーされたものが赤ん坊
の頭くらいの大きさのパンにみっしりと挟んである様に悩みつつも喰ってみたが…
 半分飲み込むのが限界でした(涙)
 っか私、ナス嫌いなんだよ。味も和風のダシ系なんでもぅTAPもんです。
妻のほうのチキンカツも量はあって見た目もオシャレなんだけど、肝心のチキンがパサついている
し、味も淡白なんであまり食が進むようなものでもなく。とりあえずお互い、日本のマクドナルド
だったらLLサイズ並の量の添えもののフライドポテトをメインに喰う。
「無理して全部食べるこたぁねぇよ。お隣りさんとかも結構残してるしさ」
「 … 御免ね、夫。」
「うん?」
「夫の言ってたように御飯はスタンドとかで買ってた方が良かったよね… 」
 と、いつになくしおらしくなっている妻。
「まぁ料理はアレだったけどいいじゃん。静かでオシャレで落ち着いてて落ち着けてさ、店員も
みんな丁寧っかちゃんとしてる店だったし、この水は美味かったでしょ? それでいいじゃん。
コレ、嫌味とかじゃなくてさ、本心。だから、ね?」
「うん」
 と御会計してもらうがそりゃぁ結構なお値段に苦笑しつつ外に出て妻が一言。
「あ〜ホンッとに不味かった」
 でも怒る気にならんのは店員の接客態度、なんだよね… 

 マダムタッソー蝋人形館は見学を諦めた。
$19.50という入場料はどうでもいい。国際秘宝館なんか$50くらいするし(謎)。それに
NY観光協会発行の観光パス所有者を優先ってのも当然だと思うがチケット売り場のネーチャンは
ボサ〜ってしてるし、案内係やセキュリティがダラダラ立ち話してるだけで20分待っても行列が
一歩も進まないってのには付き合ってらんねぇっての。

 時間も時間なんでホテルの方向へと適当に歩いてゆき、【ULTIMATE DVD】とあった店に入って
みたらポルノ専門だったりとか、煙草はどこでも高いとか、お前んトコはバーガーを焼くのに廃材
でも使ってんのか!?と言いたくなるくらいにキナ臭い煙だらけのスタンドに笑ったり、絵や本を
売ってる露店を冷やかしてみたり、まず人の目の前に手やカップをつきつけてから小銭を要求する
物乞いのアグレッシブさに当惑したりしながら最後は我ら夫婦の憩いの場(笑)、

 3日間、お世話になりました

 ジャックの99¢ショップにて日本へのお土産兼今晩の夜食のお菓子やパン、その他モロモロ
を購入してホテルに戻るともぅ3時を大幅に過ぎていた。エンパイヤー・ステート・ビルに行こうと
思えば行けない時間ではなかったが、疲れてたしマダムタッソーの所での事もあったので断念。

 サプリメントを飲んでからシャワーを浴びつつマッサージをして出てきた頃には妻はベッドで
倒れこむような姿で眠っていた。TVをつけるとえらく皆アダルトな声で英語吹き替えされている
『遊戯王』がやっていたのでトイザラスでのディスプレイを思い出しつつ柔軟したりサロンパスを
塗ったり旅行鞄の整理などをしてRAW観戦集合時間までの時間をボンヤリと潰す。
「あぁ、明日の朝にはもぅここを離れるんだよなぁ… 」
 寂しさのようなものを感じるが、それほど強くはない。
次にいつ来れるのか? となると皆目検討もつかないくらいに致命的な貯蓄額の無さなんだけど、
でも、次にまた来れる、ってのと、来たい、って気持ちがしているから、寂しさとか後悔とかより
この数日のドタバタ歩き回っていた楽しさの方が大きくて。
 住んでいるならまた違うだろうけど、一人の観光客として過ごしたNYって街は楽しくて、素敵
な街だよな… と、思う。

 煙草がムチャクチャ高いのは困りものだけど。


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