USA−P in 
 ・ 2004/03/15 (前編)


○ 朝 (ペンシルバニアホテル)

 朝、5時に目覚める。
筋肉痛やら膝や腰が痛むものの、それほど苦ではないのはサプリメントのせいもあるが
多分昨夜のショウの幸福感も多分にあったのかなぁ… と、ボンヤリしつつ、昨夜延々と
黒人のスタンダップコメディをやっていたコメディ・チャンネルをつけてみると何故かまた
『Girls Gone Wild』のCMが延々とやっているのを見つつ煙草を吸う。疲れた頭に早い
カッティングとユロービートに合わせてネーチャンが乳出したり尻出したりしてキャ〜!
ってのを見ているとテロの危険とか犯罪との遭遇とかどうでも良くなってくるなぁ…
 と思いつつ柔軟をしていると妻も起きる。
「なに夫、このdvd欲しいの?」
「なんかこぅ馬鹿で陽気で罪が無い、ってのは魅力的だよね… 」
「まぁねぇ。ハァハァしてたらどうかとは思うけど」
 ってのも5年目の夫婦ならでは、か?
「なんだったらこういうのの男版、妻に買ったげようか?」
「いらんわ!(笑)」
 などとダラダラ昨夜の事や今日これからの事を話したり、朝風呂に入ったりしている
うちにホテルの『ジョーのバー&レストラン』の開店時間の7時になったので、そこで
朝食にすることに。高いのはわかっていたが、今朝は静かに喰いたかったし。

 目玉焼きにベーコンとポテトの炒め物。

「本当は全部の店での食事、撮っておきたいんだけどねぇ… 」
「そうだねぇ… でも、そういうのが出来る雰囲気じゃない店もあるしねぇ… 」
 と言いつつとりあえずフルーツジュースを飲む。
「美味しい」
「美味いね… 」
 アメリカが農業国である事をあらためて実感する一杯。と言うか、基本的に食い物に
関してここまでマクドナルドを除けば外れた!って気にならない。コーヒーにしても
どこで飲んでも香りといい味の濃さといい美味しいし、パンやピザなどの小麦系などは
日本で食べていたのが何だったのか?と思うくらいにいい風味と香りがする。喫煙者の
私らでもそう思うのだから、そうでない人にはもっと強烈な印象があるかもしれない。
 まぁ甘いモノはトコトン容赦無く、尋常じゃなく甘い、ってのは困りものだけど…
「しっかしさぁ、ツアーの他の人達ってどこで朝飯食ってるんだろうね?」
 店は賑わっているのだが、日本人は私らだけ。
「どこか別のトコロに何かあるのかなぁ… 」
「確かにホテルのレストランじゃ高い、ってんだろうけどね… 」
 とチェックしてもらうと二人合わせて$33、ってのに二人して苦笑。


○ 市内観光・その1 (MSG&ペンシルバニア駅)

 RAW観戦の為のバス集合が5時頃、というのもあって
「あまり遠出はしないで今日はノンビリとお散歩とお買い物をしよう」
 と提案し、受け入れられる。
妻に昨日の疲れが残っているせいもあるが、ずっと歩いていたとは言っても結構な時間
がかかっていた事を思うと自由の女神像等見てみたい名所はあれど… ってのもあるし
夫婦揃ってあんまり名所観光に興味が無いんで、それよりは市内をブラブラとお店を、
街を見て、歩いて… ってしたいのもあるし。韓国人街は近いが、わざわざNYに来て
まで行くのも… とパス。エンパイア・ステート・ビルも時間の余裕があったら… と
保留付きにする等、大まかに決めてからホテルを出た。

 まずホテル前でもう一回、ロック様を撮影。

  と、昨日と同じ場所で、昨日と同じ兄ちゃんらが
「募金お願いしま〜す。あなたのちょっとの余裕を善意で示しましょう〜」
 とやっているのに呆れるやら笑えるやら。
だって昨日、ここで注意されたばっかりだし、そもそも机にも金を入れる壜にもこれが一体何の
募金なんだか書かれていないし言ってもいない、実にうさん臭いのに堂々としている。
「懲りねぇのかなぁ?」
「あれ、募金のフリしたダフ屋とかそういうのじゃないのかなぁ?」
 と信号待ち。

 出発前の話し合いの途中で煙草が切れたので、まずは通りの向かいの… 初日の夜に新聞を
買ったスタンドでラッキーストライクを2つ買う事にするが
「いくら?」

「$15」
 と言われてビビる。
「ひょっとして観光客だからボラれたんじゃぁないのか?(汗)」
 と釈然としなかったが、このまま無しで済ますのも… 本国での煙草を吸ってみたか
ったし… と払って渡されたBOX、まず外装のフィルムに『BRAND NEW!』の文字が
あるのをはじめ、背の部分にも「私達は常に…」と和菓子とかに入っていそうな宣伝文
が印刷された紙が入れており、さらに中の『PULL』の銀紙を引き抜くとそこにも宣伝の
カードが入っている念の入れ具合にロディ・パイパー主演のSF映画『ゼイ・リブ』を
思い出したりする。何枚か集めると1つの絵柄になりそうなデザインのカードを見つつ
吸ってみたラッキーストライク、日本のよりも遥かに味が濃く… 一番近いのは両切り
かなぁ… 油断していて咽る。落ち着いて吸ってみるが、やはり味が濃い。友人・知人
らからよく貰う免税店でのお土産でのモノよりもずっと煙草臭くて個人的に好みなんだ
が2個で$15ってのはな… と閉口しつつMSGの外周に沿うように歩く。

 聳えるMSG

 ここが昨夜の宴のあった場所か… と、感慨に浸りつつ周囲を見渡してみると
【VHS&DVD】【RENT&SELL】【USED】
 ってネオンサインの出ている店に入ってみるがAmazonより高い中古商品価格より
商品の中にヤフオクでよく見る中国・香港製の海賊版がかなり混じっているのが気に
入らないので何も買わずに出て、再びMSGの外周を歩いているとKマートがあった
ので早速入ってみる。
「昔、ここでも銃、売っていたのかなぁ… 」
「価格帯からいけばあっても不思議じゃぁないよね… 」
「いくらくらいだったの?」
「リボルバーの小さいのだと$35くらいからあった筈。そう、この組み立て家具より
ずっと安いんだよ、銃は」
 等とマイケル・ムーアの『恐るべき真実』の事を話しつつ、紳士服売り場でサイズを
必死に探す事なく好きな商品を選べれる幸せに浸りながらインチキ臭いピカチュウの
Tシャツとインチキ臭い半袖のシャツを購入… しようとするがレジが見当たらない。
 仕方なく店員に聞くと
「1階には無い。2階か地下に行け」
 と言われて大いに疑問。
「万引きしまくられなんじゃないの、こんなんじゃぁ?」
「少なくないと思うよ… このシャツのハンガーもただのプラだし… 」
 エスカレーターで行った地下のレジの前に、列だか冷やかしの客がいてどこに並べば
いいのか解らずマゴついているとレジの黒人のオバチャンが
「こっちに来な!」
 と手招きしたのでそこに行く。
「ハンガーいる? いらないんならここで回収するけど」
「あぁ、いらないです」
 と答えると思いっきりハンガーを捻じ曲げてシャツから引っこ抜く様に
「それじゃぁ回収する意味無いじゃん…
 っか、襟伸びそう… 襟口のボタンが千切れそう… 」
 とは思うがこれもアメリカ流と観念して見守り、代金を支払う。
「Thank You.いい日を」
 って言葉と笑顔もアメリカ流なんだよなぁ… マクドナルドは別だけど… とシャツ
の入ったビニール袋を手に妻を見ると
「夫、ここの地下ってどうなっているんだろう?」
 言われてみるとこのKマートの地下階の出口の向こうには地下街のような… という
事で出てみると…

 ペンシルバニア駅の地下街(?)

 さながらショッピング・モールのように色々な店が… デリやマクドナルド、酒屋に
ドラッグストアなどなど… が並んでいた。
「これは気がつかなかったなぁ… 」
 駅へと繋がっているせいもあって人通りも結構あって賑やかな地下街に安心して歩い
てゆくと段々と人が減ってゆき出口階段周辺が結構危ない感じ… ホームレスや蹲って
ジッと人を見てる黒人とか… に妻がまた早足になるのに
「頼むからそれは目立つから止めてくれぇ…」
 と、心の中で言いつつ外に出て一息ついてから、一旦ホテル近くまで戻る事にした。


○ 市内観光・その2 (ゲームショップにて)
 
 昨日発見していたんだけど、ホテルの向かいにも
【GAME&DVD】【NEW&USED】
 というネオンサインのある綺麗な店があったので入ってみると、日本もアメリカも
ゲームショップの雰囲気ってあんまり違わないんだなぁ… XBOXが多いけど。
「さて、映画のdvdはどこかなぁ… 」
 とショウケースを覗いていると、カウンターの向こうから黒人の兄ちゃんが
「よぉ。お前ら、何を探してるんだ?」
「dvd。映画の」
「そうか… 」
 と出てきて今、私達が見ていた壁面一杯のケースを指差し
「オレんトコロにあるdvdは中古だけなんだけど、一番揃っているのは日本のアニメ
なんだ」
 パッと見アニメ絵だったのでどうせPS2のかと思って(←偏見)気にもしなかった
その棚をあらためてよく見ると、バンダイUSA等の正規版をメインに揃えた日本の
アニメdvdがズラリと並んでいて、それはそれで壮観な図だった。
「一応、映画もあるにはあるんだけどな… 」
 と、店先の小さなケースへと案内されてみると、確かに映画が20枚程度あったが
『チャーリーズ・エンジェルズ フルスロットル』など既に買っていたものか、買う気
がハナから無いものばかり。
「これくらいしか無いんだ。『マイノリティ・リポート』とかあるけど、あんまりウチ
には新しいのは無いぞ」
「そうですか… すんません。欲しいモノは持ってますわ」
「そうか。それは残念だったな。」
「いえいえ、気にしないで」
 と、店を出ようとすると
「ちょっと待て。」
 とブラザー。後ろから財布を取り出し、私達の目の前で開けてカードを取り出す。
「ここ、見てくれ。この店だと新品しか無いけど映画のdvdが一杯ある。住所はココ。
あそこのモール… ここを出て右に行ったらその角にあるモール、な? そこの地下、
階段を降りるとそこにこの店があるから行ってみるといい。もう一軒、モールの中には
ここと同じ ような中古もある店もあるけど、そこも映画は駄目だった筈だ。」
 と言われて何か嬉しいやら申し訳ないやら英語の語彙が少なくて言葉が出てこない。
「どうした? 解るか?」
 ってのにしどろもどろになりつつ礼を言って店を出たが、旅先の親切って本当に有り
難いんだが、異国故にせめて伝えたい謝辞でさえうまく伝えられないもどかしさに悩む。
「あぁ… 海外ゲームもやってりゃぁ何か買ってたんだけどなぁ… 」
 とボヤキつつ、ブラザーに教えられる前に、もともと覗いてみるつもりだったマンハッタン・
モールへと向かう事にした。


○ マンハッタン・モール

 建物が大きいから、さぞや店数も多かろう… と期待していたモールだったが、店舗が
入っているのは2階まで。そこから上はトランプタワー同様にマンションかオフィスにでも
なっているようで意外とこじんまりとした感じで拍子抜け。とりあえず2階に上がってはみた
が、妊婦専門ファッション服屋とか私らには用の無い店ばかり。

 綺麗は綺麗、なんだけどね…

 とりあえずと地下に降りる事にすると煙草屋があり、やはり1箱$7.50だったのを見て
ボラれたワケではない事に一安心するも、自分へのお土産としての購入は断念。でも、
この税金のかかり方っての凄いよなぁ…

 中地下一階にゲームとdvdのショップがあるので入ってみたがブラザーの言っていた
通りアニメは揃っていても映画は殆ど無いようで。それでも一応… と探ってみると、
去年秋頃に全米公開されてそれなりにヒットしたものの今だ日本公開予定の無いスプラ
ッタ映画『CABIN FEVER』の中古dvdが$18とあったので買う事にし、他に何かないか、
見落としていないか… と探していると妻に、
「夫、コレ、日本のMANGAの描き方で、お手本の本、というかのなぁ… 」
「うん?」
「巫女さんとメイドさんばっかりなんだよ」
 って言われてコケる。
見てみるとその300pくらいのぶ厚い本、確かにメイド服と巫女服の女の子の色々な方向
からの図や様々なポーズの絵だけが収録されている。妻によると他にもこのシリーズは
あるそうだが、エロ絵だけのものもあるのも含めて
「コレ、エロゲーとかの設定資料集を勝手にこっちで複製編集したのじゃないの?」
「さぁ? そういうのあるの? それにしても立派な作りなんだけど… 」
「まぁどうでもいいけどさ… こういう嗜好も万国共通なのかねぇ? それとも児童
ポルノ系げな特殊嗜好なのかねぇ?」
 としか思いつかないが、レジの兄ちゃんの長身で痩せ、眼鏡をかけた青白い外見で
眼を合わそうとせずに何かブツブツ言いながら会計をする姿に
「若者のバイトのありようってのは万国共通なのかなぁ?」
 と思わないでもないが… どうなんでしょうね?
中地下にあったスポーツウェアショップでTシャツに「あおい」とか「すごい」とか
平仮名や漢字が入ったのが結構な値段がついていたのと同じようなものなのかどうな
のか? スタイリッシュなのか、エキゾチックなのかなぁ… とか思いつつ地下に降り
るとブラザーが教えてくれた店があった。
 dvdとVHSだけのショップだったが、新品だけなのはいいんだけど定価販売って
のは税金の事も思うとかなり割高感がしてしまって気が引ける。モノによっては日本版
の方が安いタイトルもあるが、折角教えてくれたブラザーの事もあるしなぁ… と、
『W.E.W 4EVENTS』($9.99)と『Girls Gone Wild : Spring Break 2k2』($19.99)を手に。
「女子プロレスと乳見せのdvdっすか」
「ポルノが欲しいワケじゃないよ。ただ、あの罪の無い能天気さがなんか… ね」
「まぁね。馬鹿っぽくて能天気だし罪は無かったよね…
 夫の好きにしたら?」
 とお許しが出たので購入。
 
 地下の残りの店はデリやカフェ系ばかりで。そろそろお昼時も近いとあって、それ
なりの人で賑わっている中、
「どうですか〜? 美味しいですよウチの店は〜」
 と、さながらデパートの食品コーナーの試食と同じように楊枝に刺したチキンなどを
配っていたりしていて楽しい。ちなみに妻が挑戦してみるも
「このテリヤキ、すげぇ甘い」
 だそうだが、一応イタリアン、中華、日本のコンビニ弁当系、と色々揃っていたが
「やっぱり一度くらいはそれなりのトコロでお昼は食べたいなぁ… 」
 と言う妻の意見に賛同して出る事にした。



 とりあえず荷物を一旦、ホテルに置く為の帰り道のこと。
「ひょっとして夫… さっきああいうdvd買ってたけど… この近所の【のぞき部屋】
とか【ポルノショップ】とかも行ってみたいの?」
「う〜ん… 正直言って【ポルノショップ】は全く興味が無い。旅行前にMやんとか
何人からも「御禁制の品を買ってくるなよ〜(笑)」とか言われたけどさぁ、まず日本
にいても手に入るモノをわざわざ危険を冒してまで買う気も必要も無いもの」
「まぁそりゃぁそうだ… って、そんなに簡単に手に入るもんなの?」
「名古屋のセントラルパークでドラッグ系は揃うし、後はネットで何とかなるでしょ。
 ただ、【のぞき部屋】の方はなぁ… 」
 と言ったトコロで脇腹に妻の肘が入る。
「ゲッ、結婚してない独り身だったら、必然性とか必要性じゃなくて好奇心で行きたい
なぁ… って思ってたんじゃぁないかなぁ? 正直に言えば今も興味っか好奇心が全く
無いワケじゃぁないし。だけど実際に行くか? ってのとは別だよ。」 
「やっぱり恐そうだから?」
「それもあるけど… さっきのブラザーとの事もそうだけど、言葉でのコミニュケート
に自信が無いからねぇ… 」

 昔から洋楽、洋画を好んでいるし、最近ではWWEをはじめとする海外dvdを観て
いるのもあって言葉を聞く事自体の慣れはあるし、簡単な会話くらいなら出来るけど、
それを越えての心情の機敏や言葉のあや、なにげない会話となるともぅ駄目で。そりゃ
たった一言であっても気持ちが伝わる事だってあるんだろうけど人種も宗教も国も違う
状況で『気持ち』ってどれくらい伝わるものなのだろう? ってなったら矢張り『言葉』
しか無いんだけれど… それに備えていなかった自分の事を悔いてみてももぅ明日の朝
にはこの地を離れる訳で… と、思うとなんか余計に情けない気分になってくる。

「まぁ、あれはあれでいいんじゃない? 夫の気持ちは伝わった、と思うよ」 
「そうかな」
「変な事言ってたんなら、あんなに親切にはしてくれないんじゃない?」
「うむ… 」
 旅先での借りは返せない、と言う。
この気持ちも抱いて、これからの自分が何をしていくか… なんだろうな、と思う。

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