USA−P in 東京
 ・ 06月07日 (後編)



「なんか自分の事をパーパー一方的に喋ってただけだよなぁ… 」
 わざわざ仕事明けの休日の時間を割いてもらってアチコチ案内していただいたというのに、
何かショップの件といい子供だよなぁ… っと思う気分にいささか沈みつつ、先に案内してもらう
道すがらにあったPCのパーツショップの地図を頭の中で記録&再生しつつ歩く秋葉原の街は
人は確かに多いが呑気と言うかとても平和で。
 明日は歩行者天国になってもっと凄い人出になるそうだが今日だけで充分と言うか、なんか
臭いのと相まって次第にゲンナリしていって。

 … 。

 夕方にこれまたネットで知り合ったY君と会うのでニー氏と別れたものの、Y君がちょっと遅れる
という連絡もあったので一人で歩いていると改めて何とも居心地が悪いと言うか気持ち悪い感じ
がしてきくる。それが、苛つきになる。

 実はニー氏と歩いている途中でも相当な気持ち悪さを感じて苛ついていたんだが、何故に?と
思うに多分、所謂「オタクの街」としての秋葉原で当たり前になっている事柄が私にはちっとも
当たり前の事とは思えないってのからなんだろうなぁ… っと。

 例えばあちこちでお店のビラ配りをしてるのも携帯電話の呼び込みをしているのもメイドさん、
ってのは一見秋葉原「らしい」んだろうし、ビルの壁面に萌え絵の女の子がでかでかと描かれて
いるのも「らしい」んだろうけど、それらは私から見ればセクシャルな記号で、それが一般的か
どうかは兎も角としてセクシャルというパーソナルなものを当然と公共の場に公然としていると
いうのはどうも居心地が悪いというか…

 建前としての「個人」は置いておいて己の欲を曝け出している事に何の疑問も無く、ここはそう
いう街で場所なんだという共通意識っか認識をやっている事の疑問とか不安とかを特に抱くの
でもないままに振舞っている様というのはちょっと理解が出来ないと言うか。この無責任さは祭り
と似てなくもないがしかし何かを奉るのでもなく、これだけの人出がありながらも決してそれらは
管理も統制もされていないのにどっぷりと皆、安心と平和を前提にしているというのはどういう事
なのだろう? それが日本という事なんだろうか?

 確かに、これは東京の、秋葉原という街でしか無い光景だと思うし、平和な事が悪い事だとは
思わないのだがしかし…

秋葉原駅前にて。

 秋葉原駅前にて、何組ものメイドさんのグループがビラ配りしたり、観光客との記念写真を撮
ってたりする光景ってのはやっぱり何かおかしいとしか思えないのだが。観光地として、例えば
忍者村とかみたいにここがメイドテーマパーク、メイド観光特区になってるとかなら兎も角、こう
言っちゃぁ角が立つけど風俗嬢が着るコスプレ用みたいな安いぺらぺらしたメイド服を着た人間
がぞろぞろ普通にいるってのは私にはなにかこぅ理解出来ないと言うか…
 
 
 
 
 
 …というのも旅行者だからこその印象というか感想なんだとも思う。
何も昨日今日秋葉原がこうなったわけではなく、おおよそ10年ちょっとの時間をかけての変化
なり推移があっての現在であって、こうなる迄には色々な事があった上での結果だろうから勝手
な決め付けなんだろう、とは思う。

 思うんだけども、

 この緩やかな「みんな」意識の元に欲情を滲み出してはいるものの解放とまではいかない上で
の平和さ、安全さ、呑気さというのはひどく危ういと言うか脆い気がしてならないのだが… 所謂
【悪所】は非日常の場ならではの危険も罠も一杯あるかわりにその場ならではの【理】【筋】って
のがあるもんで、だからこそ日常から解放されるのと比べると売る側にしても買う側にしても
【理】も【筋】もあまり感じれない、なし崩しげな流されての横溢に見えてしゃぁないのだが…

 肉体の強調と露出という点ではここ数年過剰になっていっているのを思うと何もアニメ絵の女
の子やメイドに目くじらを立てるのもどうだろう? って気もする。意識としては特に大きな違いが
あるでなし、それも平和で安全という認識だから出来る事だろうしなぁ… これは感受性っか許
容度が老化で萎縮したオッサン思考なんだろうか… そういう部分もあるのかもしれんなぁ…
 でも平和や安全ってのは当たり前とは思えないんだけどなぁ… あれだけ駅構内やらも街中に
も警察官がうようよいるのに何で「みんな」そんなにノンビリしていられるのかなぁ… 別に疎外
感を抱くワケではないけれども、ただただこれでいいのだろうか?っという気持ちだけがあって。

 背後どころか周囲に気を使う事なく、己のバッグや体が占めるスペースの事に無頓着に陳列
ケースに貼りつく人だらけでまともに見る事もならぬPCショップをいくつも巡ってるうちに何だか
こんな事をぐるぐるぐるぐると考えていた。



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