USA−P in 東京
 ・ 06月06日 (後編)



 特に景色以外に見るべきものもないので展望台から一階下に、階段で下りなければならない
不便なトイレの個室にて一応監視カメラが無さげなのを確認して靴の中に入れた【装備品】を
腰に戻してから外に出る事にして。

閑散としてる分、威圧感がありましたな…

「なんか古代の闘技場みたいだね… 」
「ちょっと殺し合ってもらいます、ってか?(笑) まぁ地震とかの避難場所とか何か非常時の時
の為のスペースってのもあるんだろうけどねぃ」
 てれてれと歩いてちょっと新宿駅構内で迷いつつも何とか東口に到着し、とりあえず今夜行く
寄席新宿末広亭の場所を目視確認。 



 小屋としては小奇麗で雰囲気があるしでチョイと期待値が上がりながらもとりあえず時間は
まだ余裕があるので一旦戻って思い出横丁から歌舞伎町の辺りを散歩する事にしたのだが…

 色々な整備もあったからなんだろうが、なんか随分と雰囲気が変わったような気が。
新しい道が出来たワケでもないし拡張されたワケでもないから地理感覚は記憶と大差無いんだ
けどもかつての歌舞伎町にあった昼間でも剣呑な雰囲気は今や無くて。
「なんか… この前行った大阪の梅田みたいだなぁ」
「風俗の案内所ばっかりになっちゃってるもんねぇ…」
 そこかしこにその筋の方やらがお見受け出来るものの、剣呑さで言えば飛田や松島新地の
方がずっとあるような気がしなくもなく、歌舞伎町って事でちょっと気負っていた分だけ拍子抜け
した気分で。
「まぁ夜になるとまた違うんだろうけどね」
「そうかもねぇ…」
 っと、妻もかつての思い出の跡形の無さもあってかぐるりと歩いた程度でアッサリとさてどうしま
しょう? って事で、ちょっくら私の我侭で末広亭の近くのマンガ喫茶で御休憩する事にして。

 日差しから逃れての薄暗い効き過ぎない冷房の店内でシートに座ると疲れがどっと出て来る。
発汗の負担もあるがまず今日はかなりの距離を歩いていたし自分で思っていたよりも相当に
疲れが溜まっていた感じ… なのは妻も同様で時間一杯使ってうつらうつらと過ごした後で飲む
エスタロンモカ錠。
「じゃぁとりあえず様子見だけしようよ。で、まだ誰もいないんだったらザッと軽く何か食っておい
て… だって夜の9時までだしねぇ… そうでなけりゃぁもぅ並びましょうや」
 とは言いつつも一時間以上前だしと気楽に行ってみたらば。

あぁもぅこんなに人が並んでいるなんて…

 幸い、とでも言うべきか、吉祥寺での昼食が結構なボリュームだったのに加えて日差しと湿度
のせいであまり食欲も無いんでもぅ並ぶ事にしたのだが、それにしても… 先代小さんの人気と
今夜の出演者の人気、ってのかもしれんし、『小さんまつり』というパッケージング、イベント性が
人を呼んだのか、まぁほかにも理由は色々あるんだろうけど通常の夜席と比べて出演者が豪華
で多い分だけ一人あたりの持ち時間は短いだろうしそない魅力的な番組とも思えないんだが…
 新宿って場所ならではなのかもしれんけれどもねぇ… と冷静さを持とうと思うもこういう賑やか
さってのは気分が盛り上がるもので、妻とアレコレ話しつつもやっと迎えた開場時間、とりあえず
真ん中あたりに座っての開演待ちの間にもぅ見る見るうちに座席が埋まっていっての人いきれと
いい雰囲気は悪くないかとは思っていたのだが…

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 小屋を出る人の顔が笑顔よりも… ってのが全てなのではないかと。
寄席という場所は毎日ってのが前提で、だからこそ満足をさせてはいけない代わりに次にまた
来ようと思うくらいの満足度は与えさせてくれなければならないものだと思っていたんだけど、
どうも昨日の浅草演芸ホールといい、トリってのは別に大根田をやるって事でもないと思うんだ
がなぁ… とかボンヤリ考えた私もまぁ笑顔ではなくて。と言ってヤケ酒を飲むくらいの残念さで
もない中途半端な気分なんだけど真っ直ぐホテルに戻るのも癪に障るんで
「とりあえず一杯行っとく?」
 って思い出横丁に行ってみるも、流石は金曜日の夜9時でもぅ良さげな店はお客で一杯。妻が
お気に入りだった店なんかもぅギュウギュウで、まぁ飲めない事も無いが明日に備えてスッパリ
諦めて上野に戻りコンビニで酒肴を買い込んでからホテルでチョイと飲むだけにしておく。


 さて明日、である。
ニー大兄からのメールでも言われたが、一応腰の【装備品】は外す事にした。丸腰で外出、って
のも久し振りで若干の不安が無くもないのだが、万が一職質を受けて… なんて破目になって
ニー大兄にご迷惑をかけるのは絶対に避けたい、ってのが第一にあるけれども、昔日の記憶に
比べれば何処もかしこも大きな不安を抱かせない平和と言うか呑気さにコチラ側がそないに
【装備】をする必要をあまり感じなくなっていて… ってのもあって。

 そりゃまぁ油断はいけないけれども、少なくとも明日会う人達はそないな身の心配を私がしな
きゃぁならないような人ではなかろうし。まして、大立ち回りをするには東京という街は狭いんです
よな… 元々【装備品】は私の日常生活で想定出来る状況での選択されたブツで、この街の狭さ
はその想定外なんですよな。ならば外しておいてもまぁ何とかなるんじゃぁないのかねぇ? それ
よりも検討すべき課題があって…



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