「好みの問題なんですけども」 − 2002・12・02


 購入した『アメリ』の特典ディスクには珍しく日本版のTVスポットと
劇場予告が収録されていた。通常、本国以外のTVスポットや予告編
は各国の映画配給会社や宣伝会社による製作が成される為、よほど
の事… 例えば全てオリジナルの監督製作、とか… でない限り収録
されないし、されても参考資料程度なので実は興味津々で
観てみたのだが、
「幸せになる」
「愛と感動の… 」

 といったキャッチコピーが日本独自のものでしかない事は犯罪的な
ような気がしてしまったのだが。


 オリジナルの仏版予告編では明確にコメディ映画としての予告をして
いるように、別に『アメリ』って大層なラヴ・ロマンスもんじゃないし、人生
の深淵とか愛の奇跡とか人生の旅立ちの輝きとか(←最早、意味不明)
そういった映画じゃぁないんだけども。

 まぁ、お洒落でお知的な「オ・フランセ」ってイメージ戦略の結果なんだ
ろうが(実際、画面とか音楽とかとてもオシャレですけども)、この戦略に
よって
「どうせクソつまんねぇ映画だろ」
「ベッタベタの恋愛映画だろ」

 と、猫跨ぎしている人も少なくないんじゃぁないのかな? って言うか、
私もその予告で敬遠してたクチではあるんだけど。


 思い返せば『シザー・ハンズ』にしたって日本での当初の予告編では
ティム・バートン監督の前作が『ビートル・ジュース』だった為にコメディと
して扱われてたものだが、実際の内容はと言えばそういう要素もあるに
せよ、基本的には「寓話(フェアリー・テール)」であり
悲しくも苦く、そしして切なく美しいお話だった。

 商売だから何をしてもいい、とはどうしても思えない。
邦題の付け方といい、こういう安易な姿勢ってのがどうも私には抵抗感が
あるんだが…

 まぁ好みの問題で好けども。
実際、この宣伝によって日本でもヒットした、って部分は認めるけれど…

 でもさぁ、『アメリ』って男性の映画じゃない?

 そう思うとちょっとねぇ… と、思ってしまうんですけど、ね。


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