「母と子供の映画鑑賞後の風景」 − 2000・07・31

 夏休みに入って街には家族連れの姿も多い。
私の職場は名古屋は伏見というトコロにあってワリとビジネス街っぽいん
だけど映画館もあり、ここんとポケモン目当ての家族連れが多い。
 そんな家族連れを昼食時の待ち時間に観察すると
「とりあえずポケモンの描写に満足したらしい子供」
「最近のアニメとCGに驚いている親」
 ってなのが普通のようで。

 正直言えば昼食時くらいは静かな方がいいんだけど、親と子が一つの映画
で楽しそうに語らうのはいい事だと思うのよ、やっぱり。
 
 あれは去年の夏だった。
職場の近所にある「びっくりドンキー」で昼飯してた時に聞こえてきた親子の会話。
「ぴかちゅー、かわいかったね!」
 元気な小学1年生くらいの女の子の声の後、
「フッ」
 と鼻で笑う声。どうやら母親らしい。
「まぁ、子供向けだからね」
 その後、子供は母親に映画について話しかけるが、
「前作の方がよかった」
「カット割りとかダメじゃん」
「CGがわざとらしい」
 と、にべもない。子供はやがて黙ってしまった。
何だか飯がマズい。帰り際、声のした辺りを見る。暗い顔をしてピカチュウの
ヌイグルミを抱き締めてる女の子と、卑しい顔をした女がいた。
 ここに来るまでの事情は知らない。それに他人の家の事でもある。
 でも、腹が立って仕方なかった。



 … あれは、どれくらい前だったか…
「天空の城ラピュタ」を観終えて映画館を出た時に、青い空をじっと見上げる
男の子がいた。手をひく母親がその子の見つめる先を見た時、笑ってその子
の頭をなでてやった。男の子は、母親の顔を見て笑った。 
 その風景に、赤の他人の私は胸が暖かくなった。
 
 それは私の勝手な印象… いや、感傷ではある。
そんな事は百も承知しているが、それを笑う人とは私は「お付き合い」が出来ない
でいる。それを「仕方ない」「世の中そんなもの」としか言えない人ともやっぱり
「お付き合い」が出来ないでいる。 怒ったり、憤ったり、悲しむだけで何かがなる、
とは思わない。一応、30過ぎてるし。

 でもね…

「若い」「青い」と言うのなら、私はいつまでもこのままでいてやろう… と、思う。
そう思う自分を忘れないでいよう… と、思う。


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