『アニマトリックス』 − 2003/06/03

 まぁ「リローデットとのブリッジ」ってのにさして興味も無かったんだけど、安価
(日本版でも¥2980)で世界発信のショートフイルム形式のアニメーション作品
を観れる、ってのに興味もあっての『アニマトリックス』だったが…

 正直、観終えてなんとなくリローデットを観に行く気が30%ほど失せましたわ。

 というのも。

 出来のいい作品とそうでないのと差があり過ぎて… って、まぁボチボチっとネタ
バレも含めて感想を書いてみます。

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1・『ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス』
 CGとしてのレベルは高いものの、決して驚く程でなし。
っか、主人公の女性が衣装も含めて『ソウルキャリバー』のタキにソックリって点だけ
でもマイナスなんだけど、映像としても凡庸なのがあまりにも辛い…

 と言うか、今更リアルなCGを目指されてもしょうがねぇでしょ。
作品内的にリアリティのあるCG、ってのならまだ別なんだけど、そうじゃないのはね…

2・『セカンド・ルネッサンス・パート1』
3・『セカンド・ルネッサンス・パート2』

 もぅ観ていて
タルィの一言。
「あぁ、大友克彦って偉大なんだなぁ… 」
 と、つくづく思ったくらいに、お話も絵もありきたりで凡庸、っか貧困。
どこかで観たり読んだり見たり聴いたりしたもののツギハギと寄せ集めだけで繋ぎ目
を取り繕おうともしてない世界観だから、絵もてんでバラッバラ。同じ世界の中にある
ものとは思えない人物、服、メカのデザインってだけでも相当に萎える上に、お話まで
チンケじゃぁ話にならん。
 っか、こんなのが監督の設定した『マトリックス』って世界のバックグランドだったら、
実写の辿る話なんて『風の谷のナウシカ』か『天空の城ラピュタ』、最悪『太陽の王子・
ホルス』… って宮崎しかねぇのか、あのタク野郎。

4・『キッズ・ストーリー』
 実写のフイルムをセルにトレースしたかのような人物描写だけならともかく、それが
リアルな背景との融合をし、動きもダイナミズムに溢れた秀作。まぁ竜頭蛇尾なトコは
あるかと思ったが、いかんせん前3作が駄目過ぎなのを考慮しても個人的には面白く
思えた作品。お話的には甘いが映像的にちょっと普通に無い感覚でイカス。

5・『プログラム』
 もぅ川尻節炸裂しまくりっす!
マトリクスの世界を題材にしつつも溢れ出映像美と「間」の妙。ストーリー的にも過不足
無く、スピード感と滴るような色彩のコントラストに燃えましたな… 

6・『ワールド・レコード』
 脚本の妙もあるが、思わず
「JoJoかよ!(笑)」
 とか思った画面の造りもあって期待していなかったものの実に結構楽しく観れた。オチ
も含めて無駄らしい無駄が無く、外伝という枠を拡げたけれど踏み散らかす事も無いし
独特な絵の感じが1〜3のバカおたくガイジンのモドキと違ってとてもよろしい。

7・『ビヨンド』
 まぁ要するに「
デフラグ」&「スキャンディスク」なお話、って着眼点の良さもさる事ながら、
一見、普通のセルアニメに見えて実はデジタルアニメーションでなければ実現出来ない事
をさりげなくやっているとこに惚れた。キャラの絵には好みは分かれるとは思うが、CGだ
からと目先の奇抜さや技術に酔ってマスターベーションしてるよりも、可能性や未来はこの
作品の方にある、と思う。

8・『ディクティブ・ストーリー』
 … 美術はいいんだけど、お話作りがあまりに稚拙。
っか押井守の初期OVA『迷宮物件』のパクリかと思える展開で、まとめはまぁ悪くは無いが
先の4作が
「デジタルアニメーションの妙」
「お話の妙」
 が良かっただけに凡作以下。
多分、この脚本と監督の人は、想像(創造)力が乏しいんだろう。
でなきゃこんなイメージから何からパクリだらけでまとまってないものは出来ないって。
日本製作らしいが… これは明らかに一段落ちる。

9・『マトリキュレーション』
 
最悪。
 っか、
「代々木アニメーション学院の卒業制作の方がマシ」
 と思った、実にヒドイ代物。
最後を飾る筈の作品なのにCGの出来は悪い、アニメの動きも駄目、お話も禅でリ・プ
ロラミングするってトコ以外全部駄目、美術・トータルの画面構成・画作りも
「お父さんの撮った子供の運動会のホームビデオ」
 よりはマシ、という程度で、
コレ、金を取る代物じゃねぇよ。
 いいんだよ、CGとセルとのミックスは。
でも、同じキャラをセルで描いたかと思えばCGで描いたりするのなら、その使い分けに
意味が無ければ駄目なんだよ。意味も必然も無くやられたって駄目だっ〜の。
 ホント、観るのに潰れた時間返してくれや…

 PSの初期の頃のムービーよりひでぇもんなぁ…

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 ってコトで通しの感想を言うと
「とにかくエピソードの並べ方が悪い。」
 ってのと、
「1〜3、8、9は駄目過ぎ。
絵、キャラの存在意義・意味、説得力があまりに無いし散漫で稚拙」

 ってなるかね。
9編中、クズが1本(「9」)、カスが2本(「2」「3」)、まぁ一見なら… って程度が2本(「1」
と「8」)、 マトモなのが4本… ってんじゃぁねぇ…

 だって、例えばレンタルしてきたとして、コレ、一泊二日で3百円でも微妙なラインだと
思うもん、特に「9」の出来のヒドさは犯罪もんだから。
 友人が持っていたら、「4」〜「7」だけ観ればOK。
 ど〜しても気になるんなら「1」くらいはいいかもしれませんが…

 でもコレじゃぁなぁ…

リローデット、レボリューションの盛り上げ役にはあんま、ならないような気が…

 ん〜…


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