・『レザボア・ドッグス』 − 2004/02/24
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かつてジャック・ニコルソンが『チャイナタウン』(1974年)でスラングを
リアルに使ってみせた事が後のアメリカ映画に多大な影響を及ぼしていった
ように、タランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』(1991年)はより生の、
リアルなスラングと雰囲気を出したが故に、後の映画への影響を与えた…
と、思うのだが
「それ以上の映画か?」
となったら
「う〜ん… 特には… 」
って公開当初劇場で観た時も、13年後に観直してみた今も、私は同じ答え
になんだよね、私には。
冒頭のマドンナ談義からチップの話、そしてタイトルが出るまででこの映画、
充分だと思ってんですけども。
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時系列イジリや懐メロの使い方等は確かに巧いが、あくまでも『巧い』であって
彼独自の手法では無いし、『友よ風の彼方に』等の香港映画からの画面構成まで
まんまな点も含めて作家性という点ではこの作品に対して若干辛くなってしまう
部分があるんよね…
後の『トゥルー・ロマンス』(1993年)のように、滅茶苦茶なんだけど私小説的な
側面と思い入れのある映画(あ、コレ脚本か)や『パルプフィクション』(1994年)
『ジャッキー・ブラウン』(1997年)のような作家性(自分が大好きだった映画の
スタイルへの徹底… ってのね。勿論、作品それぞれにスタイルは違う)や俳優へ
の思い入れ(『パルプ〜』のトラボルタのカッコよさを越える映画を私は知らない)等
と比較してしまうと… ってのは厳しいかなぁ。
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でも、
タランティーノの饒舌さだけでなく、根の真面目さと陽気さが思う存分出た『キル・ビル』
(2003年)を観てしまった今では正直言って『レザボア・ドッグス』のスタイルの良さと
語り口の巧みさは解っていても物足りないんよね…
観ていない人には、映画という歴史の1つのピース、って点でのオススメをします。
登場人物の少なさやまるで舞台劇のような限定された舞台なんで、彼の時系列イジリ等
も楽しみやすいかと。
ただ…
字幕が戸田”「FUCK」を「オマンコ」としか訳せない”奈津子、なのは大きなマイナス。
「てにおは」が狂ってるだけでも赦し難いんですが、人種差別ネタ等を丸々全部カットって
のはねぇ… もぅ何を考えてんだこのババア、だから手前ぇキューブリックに降板させられた
のによぉ… って改めて思うくらいに日本語字幕が酷いので、出来ればDVDで英語字幕と
見比べながらの方がいいかもしれません。
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タランティーノ作品の、特に会話こそがウリのこの映画にとっては致命的でありますな…
あ、だから『KILL BILL』でダルマ女にされちゃったんだよね。